相談援助と福祉住環境整備

【⑤ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用】相次いだ小規模福祉施設の火災 vol.782

2022-08-04

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用』について5回に分けて書いていきます。今回は最終の5回目になります。

「なじみやすさ」と安全性

Contents

1.ケーススタディ7:福祉転用のあるべき姿
 1⃣相次いだ小規模福祉施設の火災
 ◉近年の小規模福祉施設の火災(表)
 2⃣「なじみやすさ」と安全性
 3⃣良い建物を長く使う
2.まとめ

1.福祉転用のあるべき姿

現在、全国各地で使われなくなってしまっている空き家が急増しています。このような貴重な地域資源を福祉用途に転用することは、高齢者や障害者の生活環境の改善に大きな期待が出来ます。

しかし、福祉転用は簡単なことではなく、多くな課題が存在します。そこで、福祉転用の概要や実際の進め方についてまとめていきます!!

5回に分けて書いていきますが…全体の流れとして、

  • ①福祉転用とは
  • ②福祉転用の条件
  • ③福祉転用の実例
  • ④福祉転用の注意点
  • ⑤福祉転用のあるべき姿

となっています。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

今回は、「⑤福祉転用のあるべき姿」について書いていきます。

1⃣相次いだ小規模福祉施設の火災

2006年(平成18年)1月8日、2003年(平成15年)に新築・開設された認知症高齢者グループホームで火災が発生し、入居者9人中7人が亡くなるという大惨事が起こりました。

この火災をきっかけに「消防法」等が見直され、小規模な福祉施設に対する防火義務も強化されました。

しかしながら、その後も下記の表にある通り、小規模福祉施設における火災は相次いでいます。

◉近年の小規模福祉施設の火災(表)
◉2006年1月8日
・認知症高齢者グループホーム
・死者7名、負傷者3名

◉2008年6月2日
・障害者ケアホーム
・死者3名、負傷者1名

◉2008年12月26日
・小規模多機能型居宅介護
・死者2名、負傷者3名

◉2009年3月19日
・未届け有料老人ホーム
・死者10名、負傷者1名

◉2010年3月13日
・認知症高齢者グループホーム
・死者7名、負傷者2名

◉2013年2月8日
・認知症高齢者グループホーム
・死者5名、負傷者7名

特に、2010年(平成22年)3月の火災で、7人が亡くなった認知症高齢者グループホームは、民家を改築して開業した際、「建築基準法」に基づく建物の住宅から寄宿舎への用途変更手続きをしておらず、「建築基準法」違反状態であったとされています。

しかし、規模が小規模だったため用途変更を行ったとしても、当時の基準ではスプリンクラーの設置義務は生じず、火災通報装置の取り付けについても猶予期間中のため義務ではありませんでした。

また、住宅用火災報知器(非連動型)は設置済みでした。

2⃣「なじみやすさ」と安全性

福祉転用の意義の1つとして、これまで地域で長く使われてきた建物を利用するため、利用者や地域にとって「なじみやすい」施設になることをこれまで書いてきました。

しかし、この「なじみやすさ」は、もともと福祉用途ではない建物であるという点で、上記の表の火災に対する安全性や、地震に対する安全性などと常にせめぎ合いを迫られています。

ここで重要になるのが、2010年の火災が示すように、設備が完全であれば安全であるというわけでは、必ずしもないということです。

その後、スプリンクラーの設置が義務付けられましたが、スプリンクラーは原則として避難する時間を確保するためのものであり、防火について万能であるわけではありません。

大切なことは、日頃から地域の消防や住民組織と密接なつながりを持ち、非常時には素早く連携した対応を取れるような関係を構築しておくことです。

3⃣良い建物を長く使う

福祉転用を考えるとき、ともすればコスト面にばかり目が行ってしまうことがあるかもしれません。

確かに、既存の建物を改修して利用することは、全てを新築することに比べれば安価であることが多いです。

しかし、結果としてできた建物が、快適性や安全性を十分に担保できないものになるようでは、むしろ新築を選択するべきでしょう。

福祉転用の意義は、地域にとって価値のある建物を、福祉用途という、社会的に意義のある目的のために再利用することにあります。

単に安価であるからといって、質の悪い建物を再利用することは、福祉転用の本質から大きく逸脱しています。

2.まとめ

これまで日本では、建物を造っては壊すことを繰り返してきました。

しかし、今後の人口減少が予想される状況で、そのような建物の造り方、使い方を考え直す時期に来ています。

建物を新築するときから長期的な使用を前提として、なるべく良質な建物をストックとして蓄積すること、これが福祉転用の本質的な意義になります。

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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