【②ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用】消防法に関する規定 vol.779

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用』について5回に分けて書いていきます。今回は2回目になります。

用途によって異なる4つの基準

Contents

1.ケーススタディ7:福祉転用の条件
 1⃣「建築基準法」上の用途変更
 ◉特殊建物のに分類される建築物の用途(表)
 2⃣用途によって異なる4つの基準
 ❶耐火基準
 ❷採光基準
 ◉採光が必要な居室の種類と採光面積(表)
 ❸避難設備
 ❹階段の寸法
 3⃣「消防法」に関する規定
 ◉「消防法」上の建築用途区分(表)
 ◉必要となる主な消防設備(表)
 4⃣その他の法令への対応

1.福祉転用の条件

現在、全国各地で使われなくなってしまっている空き家が急増しています。このような貴重な地域資源を福祉用途に転用することは、高齢者や障害者の生活環境の改善に大きな期待が出来ます。

しかし、福祉転用は簡単なことではなく、多くな課題が存在します。そこで、福祉転用の概要や実際の進め方についてまとめていきます!!

5回に分けて書いていきますが…全体の流れとして、

  • ①福祉転用とは
  • ②福祉転用の条件
  • ③福祉転用の実例
  • ④福祉転用の注意点
  • ⑤福祉転用のあるべき姿

となっています。

良かったら、前回の「【①空き家・空きビルの福祉転用】福祉転用が注目を集めている理由 vol.778 」から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

今回は、「②福祉転用の条件」について書いていきます。

1⃣「建築基準法」上の用途変更

全ての建築物は、建設時に「建築基準法」に基づき「一戸建ての住宅」「小学校」「病院」などの『用途』が定められています。

用途は大きく分けて「特殊建築物」とそれ以外に分類できますが、福祉用途の建物は「特殊建築物」に該当することが多いです。

◉特殊建築物に分類される建築物の用途(表)
【建物の用途:区分1】
・劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など

【建物の用途:区分2】
・病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎など

【建物の用途:区分3】
・学校、体育館など

【建物の用途:区分4】
・百貨店、マーケット、展示場、カフェ、キャバレー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場など

【建物の用途:区分5】
・倉庫など

【建物の用途:区分6】
・自動車車庫、自動車修理工場など

※「建築基準表」別途第一に基づく区分

例えば、特別養護老人ホームは「児童福祉施設等」に、高齢者住宅は「共同住宅」と指定されることが多くなります。

「建築基準法」では、もともとの用途と異なった用途として建物を使用することを「用途変更」といいます。

また、特殊建築物以外の用途から、特殊建築物に用途変更を行い、かつ用途変更に該当する部分の面積が200㎡を超える場合は、原則として「建築確認申請」を行わなければなりません。

建築確認申請とは、対象の建物が、用途や規模に応じた法規定を満たしているか、工事を始める前に行政機関等に確認を依頼することです。

なお、用途変更による建築確認申請が不要な場合であっても、建物の用途を変更した場合は、変更後の用途・規模に応じた法規制を満たさなければならないので注意が必要です。

2⃣用途変更の際に発生する法規制

特殊建築物には、「建築基準法」により、それ以外の用途の建物より厳しい基準が設けられています。

また、「特殊建築物」に限らず、「建築基準法」上の用途を変更する場合、用途によって異なる基準が設けられていることがあります。

それらの基準の主なものには、

  • 耐火
  • 採光
  • 避難設備
  • 段差寸法

に関する基準などがあります。

❶耐火基準

耐火基準について、特殊建築物はその「用途」と「面積」及び「階数」に応じて、耐火建築物または準耐火建築物としなければなりません。

例えば「寄宿舎」の用途について、3階以上の階を寄宿舎とする場合、あるいは2階に300㎡以上の寄宿舎を置く場合などには、原則として建物を耐火建築物または準耐火建築物とすることが義務付けられています。

耐火建築物・準耐火建築物とは、「建築基準法」で定める耐火性能を備えた建物のことです。

一般的に、木造の住宅は、耐火・準耐火性能を満たしていないことが多く、用途変更を考える際の最も大きなハードルとなります。

なお、既存建物のストックの活用を促進するため、2018年(平成30年)に、建築基準法が改正され、3階建て以下で延べ床面積が200㎡未満の戸建住宅棟を福祉施設に転用する場合については、自動火災報知設備等が設置され、また階段が間仕切り壁や防火設備等で区画されていれば、壁・柱等を耐火構造とする改修は不要となりました。

❷採光基準
◉採光が必要な居室の種類と採光面積(表)
【区分:住宅】
・居住のためのに使用される居室
・採光面積:1/5

【区分:学校等(1)】
・幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、幼保連携型認定こども園の教室
・採光面積:1/7

【区分:学校等(2)】
・保育所、幼保連携型認定こども園の保育室
・採光面積:1/7

【区分:学校等(3)】
・病院、診療所の病室
・採光面積:1/7

【区分:学校等(4)】
・寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室
・採光面積:1/7

【区分:学校等(5)】
・児童福祉施設用の寝室
・児童福祉施設等(保育所除く)の居室のうち入所者・通所者に対する保育、訓練等に使用されるもの
・採光面積:1/7

【区分:学校等(6)】
・区分:学校等(1)以外の学校以外の学校の教室
・採光面積:1/10

【区分:学校等(7)】
・病院、診療所、児童福祉施設等の居室のうち、入院患者、入所者が談話・娯楽等のために使用されるもの
・採光面積:1/10

採光基準について、住宅の居室や病院の病室などには、一定の採光面積(開口部の有効面積/居室の床面積)を確保することが義務づけられています。

住宅などを転用する場合には、既に採光面積が確保されているので問題はありませんが、採光面積の基準がない事務所などを福祉用途に転用する場合は、採光が確保されているか確認が必要です。

❸避難設備

避難設備について、特殊建築物の用途と規模によっては、2つ以上の直通階段(建物のある階から、その階段を通って直接地上に出ることのできる出入口がある階に間違いなく到達することが出来る階段)を備えならなければなりません。

例えば「寄宿舎」用途であれば、居室のある階の延べ床面積が200㎡を超えた場合、2つ以上の直通階段が必要となります。

❹階段の寸法

階段の寸法について、用途によって、階段の幅や、蹴上げ、踏面に求められる寸法が異なります。

例えば…

  • 一般的な住宅:階段の幅75cm以上、蹴上げ23cm以下、踏面15cm以上
  • 寄宿舎(直上階の面積が200㎡以下):階段の幅75cm以上、蹴上げ22cm以下、踏面21cm以上

が必要となります。

3⃣「消防法」に関する規定

「建築基準法」に加え、「消防法」でも建築用途が定められています。

「消防法」の建築用途は「建築基準法」の建築用途よりさらに細かく、下記の表のように分類されています。

◉「消防法」上の建築用途区分(表)

【区分:防火対象物の建築用途 →(5)イ】
・旅館、ホテル、宿泊所、その他これに類するもの

【区分:防火対象物の建築用途 →(5)ロ】
・寄宿舎、下宿または共同住宅

【区分:防火対象物の建築用途 →(6)イ】
・病院、診療所または助産所

【区分:防火対象物の建築用途 →(6)ロ】
(1)老人短期入所施設、養護老人ホーム。特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム。小規模多機能型居宅介護施設、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、その他これに類するもの
(2)救護施設
(3)乳児院
(4)障害児入所施設
(5)障害者支援施設・短期入所を行う施設又は共同生活援助(グループホーム)を行う施設(避難が困難な障害者等を主として入所させるものに限る)

【区分:防火対象物の建築用途 →(6)ハ】
(1)老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、有料老人ホーム、老人介護支援センター、小規模多機能型居宅介護施設、その他これに類するもの
(2)更生施設
(3)助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設等
(4)児童発達支援センター、児童発達支援もしくは放課後等デイサービス事業を行う施設等
(5)身体障害者福祉センター、障害者支援施設、生活介護・短期入所・自立支援・就労移行支援・就労継続支援・共同生活援助(グループホーム)を行う施設、福祉ホーム等

※「消防法施行令」別表第1に基づく区分から

◉必要となる主な消防設備(表)
【消防設備:誘導灯】
・全ての施設

【消防設備:消火器】
・全ての施設
・延べ床面積150㎡以上

【消防設備:自動火災報知設備(警報機)】
・全ての施設
・入居・宿泊させる施設はすべて、それ以外は延べ床面積300㎡以上

【消防設備:消防機関に通報する火災報知設備】
・全ての施設に設置(自動火災報知設備と連動)
・延べ床面積500㎡以上

【消防設備:スプリンクラー】
・原則すべての施設(一部の施設は275㎡以上)
・床面積合計6,000㎡以上

上記の用途に従い、必要な消防設備が定められています。

ここで、最も注意が必要な項目は、上記の用途に従い、必要な消防設備が定められています。ここで、最も注意が必要な項目はスプリンクラーになります。

2013年(平成25年)12月までは、上記の表に該当し、かつ275㎡以上の施設にのみ設置が義務付けられていましたが、2013年12月の法改正後は、介助がなければ避難できない人を概ね8割以上入所させる施設すべてに義務付けられました(2015年(平成27年)4月1日施行(2018年(平成30年)3月31日まで経過措置あり))。

例えば、認知症高齢者グループホームは、上記に該当するため、原則としてスプリンクラーの設置が必要となります。

4⃣その他の法令への対応

これらの法律に加え、

  • 「都市計画法」
  • 「バリアフリー法」
  • 「食品衛生法」
  • 「各自治体の条例(特に間服氏のまちづくり条例)」

など、用途によっては対応が必要になる法令があります。

これらも、事前に確認しておかなければなりません。

今回はここまで。次回は 「③福祉転用の実例」について書いていきます。よかったら見に来てください。

ケーススタディ

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