相談援助と福祉住環境整備

【①ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用】福祉転用が注目を集めている理由 vol.778

2022-07-31

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ケーススタディ7:空き家・空きビルの福祉転用』について5回に分けて書いていきます。今回は1回目になります。

福祉転用の難しさ

Contents

1.ケーススタディ7:福祉転用とは
 1⃣空き家・空きビルの福祉転用の概略
 2⃣福祉転用が注目を集めている理由
 3⃣福祉移転の難しさ

1.福祉転用とは

現在、全国各地で使われなくなってしまっている空き家が急増しています。このような貴重な地域資源を福祉用途に転用することは、高齢者や障害者の生活環境の改善に大きな期待が出来ます。

しかし、福祉転用は簡単なことではなく、多くな課題が存在します。そこで、福祉転用の概要や実際の進め方についてまとめていきます!!

5回に分けて書いていきますが…全体の流れとして、

  • ①福祉転用とは
  • ②福祉転用の条件
  • ③福祉転用の実例
  • ④福祉転用の注意点
  • ⑤福祉転用のあるべき姿

となっています。

今回は、「①福祉転用とは」について書いていきます。

1⃣空き家・空きビルの福祉転用の概略

現在、住宅に占める空き家の割合が急激に増加しています。

その原因として、戦後大量に建設された住宅や団地が、住み手の高齢化による転居や死亡などにより使われなくなったことが指摘されています。

空き家・空きビルの福祉転用とは、そのような「使われていないがまだ十分に使用できる」建物を、福祉用途に転用して使おうとするものです。

これまで日本では、原則として1つの建物の用途は1つに限れらてきました。

そのため、建物自体が寿命に達していなくても、用途が寿命を迎えると建物は使われなくなり、取り壊されることが多くなります。その典型が、少子化によって使われなくなった学校などです。

そのような、1つの用途の寿命に達してしまった建物を、福祉用途に転用して、出来る限り利用しようとする試みが、「空き家・空きビルの福祉転用」であり、近年大きな注目を集めています。

2⃣福祉転用が注目を集めている理由

なぜ、既存建物の福祉転用が注目を集めているのでしょうか? それには、いくつかの理由があります。

まず、新築に比べ福祉転用は、イニシャルコストが大幅に抑えられるという利点があります。

最近はNPO法人など、比較的小規模な法人によってきめ細やかなサービスが展開される傾向が強まっていますが、その最も大きなハードルとなるのがイニシャルコストですが、既存建物を利用することによってそのハードルを大きく下げることが出来ます。

次に転用した建物の「なじみやすさ」が挙げられます。

特に住居系の施設の場合、新築建物にはどうしても「施設的」な雰囲気が生じてしまい、入居者が環境になじむことが難しい場合が多くなります。

それに対し、例えば住宅をグループホームなどに転用した場合を考えると、住宅として既に生活が営まれてきた建物は、入居者とってもそれまでの生活とさほど変わることのないなじみやすい環境を提供することが出来ます。

なじみやすさとは、入居者にとってだけでなく、地域にとっても重要になります。

突然近所に新しい建物が建つことは、その近所でずっと暮らしてきた人にとっては違和感や驚きを覚えることも多くあります。

既存建物を福祉転用することによって、このような違和感をなるべく軽減し、地域の人に新たな施設を受け入れやすくする、それも福祉転用の重要な効用の1つになります。

地域にとって受け入れやすいということは、施設を地域に「開く」ことにもつながります。

福祉施設を新築する際は、「地域開放スペース」などをつくり、地域に「開く」ことを意識することが一般的になっています。しかし、突然見知らぬ建物や事業者に地域の人が関わることは簡単なことではありません。

それが、今まで目にしてきた建物であればどうでしょうか?

ちょっと覗いてみて、「ここは何をしているんですか?」と聞いてみることは難しいことではありません。

地域との関わりが極めて重要な福祉施設で、自然と地域に「開いた」環境を実現することができる、それが福祉転用になります。

3⃣福祉移転の難しさ

福祉転用は、コスト的にも環境的にも、優れた手法といえます。しかし、実際に福祉転用を行うことは簡単ではなく、多くの場合は極めて難しくなります。

その理由には、まず法規的な問題があります。

もともと福祉用途として建てられたものではない建物を福祉用途として使用する場合、

  • 「建築基準法」
  • 「消防法」
  • 「バリアフリー法」

などが求める基準に合わせる必要があります。

環境面では、段差や階段など、福祉用途として利用する場合に大きなバリアとなる要素を解決しなければなりません。

今回はここまで。次回は、福祉転用を行う上で把握しておかなければならない 「②福祉転用の条件」について概略を書いていきます。よかったら見に来てください。

ケーススタディ

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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