相談援助と福祉住環境整備

【⑤ケーススタディ5:地域密着型・有料老人ホームの開設】「風の丘」の機能や特徴 vol.772

2022-07-25

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ5:地域密着型・有料老人ホームの開設』について6回に分けて書いていきます。今回は5回目になります。

地域密着型複合施設「風の丘」

Contents

1.地域密着型有料老人ホームの開設
 ◉建物の概要
 1⃣地域密着型複合施設「風の丘」
 (1)「風の丘」の機能
 (2)「風の丘」の間取り
 (3)「風の丘」の住む機能
 (4)「風の丘」の設計・施行
 (5)「風の丘」の特徴

1.地域密着型有料老人ホームの開設

今回は、事例として「地域密着型有料老人ホームの開設」について書いていきます。

全体の流れとして、

  • 1⃣対象ケースの概要
  • 2⃣経緯1:住民主導の福祉の胎動
  • 3⃣経緯2:「デイ愛甲原」開設
  • 4⃣経緯3:「風の丘」開設に向け
  • 5⃣地域密着型複合施設「風の丘」
  • 6⃣まとめ

となっています。今回は、「5⃣地域密着型複合施設「風の丘」」について書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

●建物の概要
・名称:風の丘
・所在地:神奈川県伊勢原市
・運営:NPO法人一期一会
・事業:食事サービス、居宅介護支援事業所、小規模多機能型居宅介護(登録定員25名)、介護保険外の生活支援サービス、住宅型有料老人ホーム(14室)
・構造・規模:個室14室(11.7~13.83㎡/木造2階建て/建物面積688.71㎡・延床面積499.80㎡(うち、有料老人ホーム337.68㎡)
・開設:2006年5月

1⃣地域密着型複合施設「風の丘」

地域密着型複合施設「風の丘」は、戸建て住宅地に溶け込む木造2階建てで、内装も木をふんだんに用い、あくまでも普通の住宅らしい雰囲気を大切にしました。

玄関の石碑には、この土地を提供してくれた津﨑納子さんの、「この地で信頼できる人たちと暮らし続けたい」という言葉が刻まれています。

(1)「風の丘」の機能

地域密着型複合施設「風の丘」は、

  • 住宅型有料老人ホーム(14室)
  • 「通う・泊まる・訪問する」といった切れ目のないケアを提供する小規模多機能型居宅介護施設
  • 介護保険外事業として、地域への配食・夕食サービスを提供する「町の台所・風の丘レストラン」
  • 緊急ショートステイ(1床)
  • 介護保険外の生活支援サービス「そよ風サービス」

といった多様な機能を持たせました。

(2)「風の丘」の間取り

地域密着型複合施設「風の丘」の間取りは、玄関を入った左側が小規模多機能の通所の空間で、右側が事務所スペースになっています。

認知症のある人も、馴染みのスタッフと利用者に囲まれ、穏やかに過ごします。

また、ここは「町の台所」でもあり、地域の人に手作りのお弁当を配達するとともに、通所の利用者が帰った夕方、「1人で食べるのは寂しい」からと、近所の高齢者が夕食を食べにやってきます。

有料老人ホームの入居者やスタッフと食後も歓談して過ごします。

川上さん(愛甲原住宅で住民参加福祉を主導していく人物)は、利用者も地域の人も含めて「拡大家族」なのだと考えています。

なお、2階に緊急ショートステイ用に1床を設けています。介護保険外の自費サービスになりますが、緊急の泊りに対するニーズは高く、年間の半分以上は埋まっています。

(3)「風の丘」の住む機能

「風の丘」の『住む』機能として、居室が1階に4室、2階に10室あります。

当初、住宅型有料老人ホームは6室からスタートしましたが、入居希望者が増え待機者が多く出たことや、職員配置の効率性や採算を考えると、最低でも12室が必要であることがわかりました。

さらに、より安全性を高めるため、スプリンクラーの設置も必要でした。

そこで2009年(平成21年)に、隣の土地を取得し、8室増設しました。

この時の費用約6,200万円も住民からの出資金を募募りましたが、瞬く間に集まりました。返済は順調で、「デイ愛甲原」の借入金も10年できれいに返済できる目途がつきました。

地域密着型サービス
(4)「風の丘」の設計・施行

「風の丘」の設計・施行は、入札を勧める人も多かったですが、何十年も付き合い「信頼」出来る人にお願いするのが1番良いと川上さんは考え、福祉のまちづくり勉強会のメンバ-でもある伊勢原市内の事業者に依頼しました。

意思の疎通もスムーズで、思い通りの居心地の良い空間を作ってくれたと満足しています。ここでは、「信頼」という価値観が何よりも優先されます。

それは、利用者やスタッフの多くが愛甲原住宅の住人であり、ご近所同士であるから、なおさら感じるのかもしれません。。

居室は、13㎡程度で、トイレとベッド、簡単なクローゼットがあるだけで、非常にシンプルな造りになっています。それは「使い慣れた家具」をここに持ち込む必要がないからです。

居室の窓から自宅が見える人、ほんの100m先に自宅がある人など、入居者14人中13人が、愛甲原住宅の住民になります。

自宅の庭の手入れをしたり、仏壇にお参りをするために、自宅とホームを行き来する人も多いです。川見さん曰く、ここは「隠居部屋」のようなものなのです。

また、国の政府度改正を鑑みて、入居一時金をやめて、敷金30万円を預かり金としました。住み替えても、それまでと同じような暮らしを継続できます。

(5)「風の丘」の特徴

「風の丘」の特徴は、いつでも自宅に帰ることができ、他の利用者やスタッフとも様々な場面でよい関係を構築できているため、大きな安心感があることです。

入居者は90歳前後の人が多くなります。

多くの人は1階の小規模多機能型居宅介護を利用しながら暮らしています。

心身の状況は低下しても、地域の繋がりの中での暮らしが継続できているため、多様な刺激もあり、意識がしっかりしています。

皆がここで最期まで暮らしたいと願い、法人全体でも看護師が8人いることから、地域の医師と連携し、看取りも行っていきたいとしています。

現状でも、亡くなる直前まで「風の丘」で過ごす人がほとんどです。

次の展開として、男性の1人暮らしの孤立問題が顕在化してきたため「デイ愛甲原」の隣の電気店が閉店することになったので、男性や、より軽度の人が利用しやすいように、2012年(平成24年)4月に、男性が通いたくなる短時間のデイサービス「CoCoてらす」と、「コミュニティスペースCoCoてらす」を開所しました。

午前中を短時間デイサービス(2021年現在は休止中)、午後をコミュニティスペースとして活用し、地域のボランティアの協力を得て、健康麻雀やカラオケ、子どもアート教室などのプログラムを提供しています。

これで、軽度の時から最重度の段階まで切れ目なく支えることができるサービスがすべて整ったことになります。

また、この拠点で子どもたちとの交流を始めており、若い世代に戦中・戦後世代の経験と、愛甲原住宅で暮らす知恵を伝えたいとしています。

今回はここまで。次回は、「6⃣まとめ」について書いていきます。よかったら見に来てください!

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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