【④ケーススタディ5:地域密着型・有料老人ホームの開設】住民から土地の提供を受ける vol.771

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ5:地域密着型・有料老人ホームの開設』について6回に分けて書いていきます。今回は4回目になります。

「NPO法人一期一会」の設立と「風の丘」の開設

Contents

1.地域密着型有料老人ホームの開設
 ◉建物の概要
 1⃣経緯3:「風の丘」開設に向け
 (1)「信頼できる人とこの地で暮らしたい」と住民から土地の提供を受ける
 (2)「NPO法人一期一会」の設立と「風の丘」の開設
  ◉主な6つの機能

1.地域密着型有料老人ホームの開設

今回は、事例として「地域密着型有料老人ホームの開設」について書いていきます。

全体の流れとして、

  • 1⃣対象ケースの概要
  • 2⃣経緯1:住民主導の福祉の胎動
  • 3⃣経緯2:「デイ愛甲原」開設
  • 4⃣経緯3:「風の丘」開設に向け
  • 5⃣地域密着型複合施設「風の丘」
  • 6⃣まとめ

となっています。今回は、「4⃣経緯3:「風の丘」開設に向け」について書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

●建物の概要
・名称:風の丘
・所在地:神奈川県伊勢原市
・運営:NPO法人一期一会
・事業:食事サービス、居宅介護支援事業所、小規模多機能型居宅介護(登録定員25名)、介護保険外の生活支援サービス、住宅型有料老人ホーム(14室)
・構造・規模:個室14室(11.7~13.83㎡/木造2階建て/建物面積688.71㎡・延床面積499.80㎡(うち、有料老人ホーム337.68㎡)
・開設:2006年5月

1⃣経緯3:「風の丘」開設に向け

(1)「信頼できる人とこの地で暮らしたい」と住民から土地の提供を受ける

前回の「デイ愛甲原」のオープンから1年後、利用者の家族が、「知人が沢山いて、母が喜んで通っているデイ愛甲原に、小規模多機能ホームを作って欲しい」と、資料を持って川上さん(愛甲原住宅で住民参加福祉を主導していく人物)に会いに来ました。

川上さんは、他の利用者や家族、地域の人からも、

  • 「1人暮らしを続けるのが不安」
  • 「家族の都合でショートステイを利用するときに心細い。家族も辛い思いをしている」
  • 「知らない施設に行くのは怖い」

という声を沢山聞いてきました。

川上さんは、日中の「通い」だけでは支えきれない、より介護度が重い人も地域で暮らすことが出来るよう、新しい事業を起こそうと考えました。

「通い・泊り・訪問」を組み合わせて連続的なサービスを提供する小規模多機能型居宅介護施設や、ケア付き住宅の勉強会を行うと同時に、土地も探し始めました。

2005年3月の小規模多機能型居宅介護施設に関する勉強会終了後、勉強会に参加していた津﨑能子さんが、「うちの土地を使って。その代わり、最後までここで暮らせるようにしてちょうだい」と川上さんに声を掛けました。

川上さんは、この申し出に強く心を動かされましたが、津﨑さんの自宅に20年近く親しく出入りしていたことから、言葉巧みに自宅を取り上げたと非難されるのではないかと危惧しました。

事実、津﨑さんの甥や姪は、「おばさんは、騙されているのではないか?」と反対しました。

しかし、津﨑さんの決心は固く、「今の私には、遠くの親戚より近くの他人。信頼できる人たちと、ここで暮らしたい」を言い切りました。

それは、1人暮らしの津﨑さんの生活を20年近く親身になって支え続け、地域福祉の向上に貢献している川上さんへの厚い信頼と期待が根底にあったからです。

川上さんは、悩んだ末、野崎さんの申し入れを受ける決心をし、弁護士の助言を受けました。まずは2人で公証役場に行き、川上さんが理事長を務めるNPO法人に土地を寄付すること、その代償として、NPO法人が毎月川上さんに支払う金額、津﨑さんが亡き後の残った資産は寄付することなど、詳細に決めていきました。

(津﨑さんは、風の丘が完成すると、2階の1室に住み、2007年(平成19年)2月に89歳で亡くなりました。)

川上さんは、津﨑さん夫婦が戦後、中国から無一文で引き揚げてこられて、ゼロから自分の地位を築くとともに、愛甲原でもゼロから地域づくりをされてきた経緯に深く共感し、「この地域のお年寄りは貴重な財産」と話し、彼らの生き方やその志を町の人たちに伝え続けていく責任があると感じています。

(2)「NPO法人一期一会」の設立と「風の丘」の開設

津﨑さんの土地にこれから造る「施設」をどんな形にするのか、勉強会で検討を重ねました。

◉主な6つの機能

そこでまとめられた機能は、

❶暮らす:6室のケア付き共同住宅

❷通う:デイサービス

❸泊まる:5人+緊急ベッド1人

❹伺う:訪問介護サービス

❺食事:町の台所、風の丘レストラン(地域への配食・夕食サービス)

❻集う:地域の人が集まる

の6つなりました。

❶は、後の2006年「老人福祉法」改正により、定員が10人未満であっても食事等のサービスを提供すれば、有料老人ホームの定義に該当することに変更されたため、神奈川県と協議し、住宅型有料老人ホームとして届け出を行うこととなりました。

❷~❹は、介護保険制度の地域密着型サービスとして、小規模多機能型居宅住宅の指定を、伊勢原市から受けることにしましたした。

❻は、地域に開いた独自事業として行います。

この新事業は、「NPO法人MOMO」から独立して、住民自身が運営主体となるよう、2005年7月に「NPO法人一期一会」を設立。参加型福祉の輪を一層広げ、地域で「自分らしく生き続けることを支援する」ことを理念としました。

◉新事業に必要な建設費・創業費

新事業に必要な建築費・創業費は、約1億円と試算しました。国。地方公共団体からの交付金1,500万円以外の多くは、再び市民・地域住民から広く出資を募りました。1口100万円で呼びかけたところ、65人から約7,100万円が集まりました。

川上さんは最初から、銀行から資金を借り入れるという選択肢はありませんでした。

参加型福祉は、お金を貸す人、働く人、知恵を出す人など、様々な形で大勢の人に関わってもらうことが何より重要だからです。また、出資者が身近な地域に沢山いることにより、常に多くの目が注がれて、良い意味での緊張感を持続できると考えました。

そして、2006年4月1日、「風の丘」はオープンしました。

今回はここまで。次回は、「5⃣地域密着型複合施設「風の丘」について書いていきます。よかったら見に来てください!

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