発達と老化の理解

【高齢者の疾患7つの特徴】廃用症候群の3種類と老年症候群の3分類 vol.588

2022-01-22

こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「発達と老化の理解」の中から『高齢者の疾患の特徴』について書いていきます。

廃用症候群の7つの項目と内容

Contents

1.高齢者の症状・疾患の特徴
 1⃣慢性的に経過しやすい
 2⃣複数の疾患を持つ
 3⃣非定型的な症状
 4⃣痛みを感じにくい
 5⃣閉じこもり
 6⃣廃用症候群
 (1)廃用症候群の3種類
 (2)廃用症候群の7つの項目と内容
 7⃣老年症候群
 ◉ 老年症候群の3分類

1.高齢者の症状・疾患の特徴

1⃣慢性的に経過しやすい

高齢者の場合、病気に罹ると完全に治癒することが望めない場合が多々あります。いったん発症してしまうと回復することが困難で長期的・慢性的な経過を辿りやすいといえます。また、若い時から継続する慢性疾患を持つ場合も稀ではありません。

高血圧症や糖尿病などの高齢者によくみられる疾患は、老化が基盤となって起こっています。そのため慢性的な経過を辿ります。

骨折など治る可能性がある疾患でも、回復力が低下しているために治癒に時間が掛かります。

2⃣複数の疾患を持つ

高齢者は加齢とともに病気に罹りやすくなります。後期高齢者の場合1つだけでなく複数の疾患を持っていることが多くなります。

いつどのような病気に罹り、どのような治療を受けたのかはっきりしないことも多々あります。今まで掛かった病気や治療について知ることは、現在の病気との関係性や注意すべき点の理解に繋がるため、丁寧に聞き取ることが重要です。

特に複数の疾患がある場合、注意すべき点はどのような薬を飲んでいるかということです。

例えば、高血圧で内科、腰痛で整形外科、白内障で眼科を受診しているとします。3か所も受診していると、かなりの量の薬を服用している場合もあります。

薬の中には組み合わせてはいけない薬、急に中止してはいけない薬もあります。

最近では、「お薬手帳」の普及により、同じような薬が重複して処方されることが少なくなりました。

3⃣非定型的な症状

高齢者の疾患は、青年期や壮年期にの人達が同じ疾患にかかった場合に比べて、症状が「非定型的」という特徴があります。

例えば、青年期や壮年期の人が肺炎にかかった場合、高熱を出して苦しそうな咳をすることが多いです。しかし、高齢者の場合、肺炎にかかっても微熱のことが多く、顔色が悪くても平気でいることがあり、顕著な症状を示さないことが多いのです。これが「無熱性」の肺炎です。

また、呼吸器の症状とは異なる、思考力の低下や意識の低下等が現れることも特徴です。

さらに、心筋梗塞でも軽い症状を示すことがあります。青年期や壮年期の心筋梗塞では、強い胸痛を訴えます。しかし・・・

  • 50歳代の人では75%
  • 60歳代の人では50%
  • 70歳代の人では26%
  • 80歳代の人では9%

というように、年齢とともに強い痛みを訴えなくなります。これが「無痛性」の心筋梗塞です。

したがって、いつもより元気がない、背中や肩の痛みやコリを訴える、食欲が落ちているなどの症状の観察が重要になります。

4⃣痛みを感じにくい

前項と重複しますが、高齢者では痛みを感じにくいという特徴があります。

青年期や壮年期では、骨にひびが入っただけでも強い痛みを感じますが、高齢者の場合、背骨が骨折していても約80%の人が傷みを感じないと言われています。

知らない間に骨折し、知らない間に治っていることもあります。

5⃣閉じこもり

病気や身体の不調が続くと、外に出ることが億劫になり家に閉じこもがちになります。その結果、人との交流も少なくなり、活動性が低下し「閉じこもり」のような状態になります。

閉じこもりが続くと生活が不活発になり、心身機能の低下や精神機能の低下をきたし悪循環が生じます。

適切に心身機能を使わないことによって起こる病態を「廃用症候群」と呼びます。(次項で詳しくまとめます。)

6⃣廃用症候群

廃用症候群とは?

「動かない状態・動けない状態」が続くと身体の活動性が低下し、意欲や知的活動などの精神機能の低下、骨、筋肉の萎縮、関節の拘縮や褥瘡などを引き起こしやすくなります。このように安静状態が長期に渡って続くことによって起こる様々な心身の機能低下を「廃用症候群」といいます。

廃用症候群は生活不活発病とも呼ばれ、特に寝たきり状態が原因で起こる症状が多くみられます。

(1)廃用症候群の3種類

【局所性廃用症候群】
・関節拘縮、廃用性筋委縮、廃用性骨萎縮、皮膚萎縮、褥瘡、静脈血栓症など

【全身性廃用症候群】
・心肺機能の低下、起立性低血圧、易疲労性、脱水、消化器機能低下など

【精神・神経性廃用症候群】
・知的活動低下、うつ傾向、自律神経不安定、姿勢・運動調節機能低下など

(2)廃用症候群の7つの項目と内容

①《起立性低血圧》
・自律神経障害の1つで、血管のコントロールが低下するため、身体を起こすと下肢や腹腔臓器に血液が降りて貯留し、脳に行く血流が不足してしまうこと。その結果、寝た姿勢から急に座ったり、立ったりすると、めまいや頭重感、吐き気などを引き起こす。

②《関節拘縮》
・関節を構成する靭帯や関節包、筋や皮膚などの短縮により、関節が硬くなる状態。そのため関節の動きが制限される。

③《筋委縮》
・筋繊維が細くなる状態で、筋力の低下がみられる。

④《骨粗鬆症》
臥床が続くと、骨に対し重力による機械的刺激が減少し、その結果骨が弱くなり、折れやすくなる状態をいう。

⑤《褥瘡》
・過度の持続的圧迫により、その部分の組織が壊死を起こしてしまう状態。特に、褥瘡となりやすい所は骨の突出部で、「仙骨部」「肩甲骨後方部」「踵部」「大腿骨上外側部」などである。

⑥《静脈血栓症》
・静脈が詰まる状態で、下肢に生じやすく、うっ血やむくみが出る。

⑦《知的・心理的障害》
・長期臥床により、身体的にも精神的にも刺激が少ない状態が続くと、知的能力の低下や他者への依存のほか、興味・自発性の低下、食欲低下、睡眠障害が起こってくる。

7⃣老年症候群

老年症候群とは?

老年症候群とは、加齢に伴い高齢者に多く見られ、原因は様々ですが医師の診察や介護や看護を必要とする症状・兆候の総称のことです。老年症候群の症状・兆候は50項目以上が存在します。

◉ 老年症候群の3分類

老年症候群の3分類と頻度の高い症状所見
1⃣【加齢により変化しない症候群】
《特徴》
主に急性疾患に付随する。若年者と同等くらいの頻度でみられるが、対処方法は高齢者では工夫が必要になる。
《頻度の高い症状所見》
・下痢、睡眠障害、転倒、骨折、めまい、意識障害、感染症、頭痛、低体温、息切れ、腹痛、腹部主流、黄疸、胸腹水、リンパ節主張、喀血、吐下血、睡眠時呼吸障害

2⃣前期高齢者で増加する症候群
《特徴》
主に慢性疾患に付随する。
《頻度の高い症状所見》
・かゆみ、脱水、便秘、視力低下、しびれ、言語障害、認知症、麻痺、骨関節変形、関節痛、腰痛、発熱、体重減少、食欲不振、悪心・嘔吐、喀痰・咳嗽、喘鳴、呼吸困難、浮腫

3⃣後期高齢者で増加する症候群
《特徴》
ADL低下と密接な関連を持ち介護が重要となる。
《頻度の高い症状所見》
・摂食・嚥下困難、低栄養、尿失禁、頻尿、難聴、骨粗鬆症、ADL障害、椎体骨折、抑うつ、せん妄、褥瘡、貧血、出血傾向、胸痛、不整脈

※「高齢者に特有な症候」日本老年医学会編『老年医学的テキスト 改定第3版』から抜粋

  • 1つ目は、加齢により変化しない症候で、主に急性疾患に付随する下痢、睡眠障害、転倒や骨折、めまい、感染症などがあげられます。若い人と同じくらいの頻度で起きますが、高齢者への対処方法は、若い人と異なり工夫が必要です。
  • 2つ目は、主に慢性疾患に付随する症候で、65歳以上の前期高齢者から徐々に増加する症候群で、痒み、脱水、便秘、視力低下、認知症などがあります。
  • 3つ目は、75歳以上の後期高齢者に急激に増加する症候で、摂食嚥下困難、低栄養、尿失禁、難聴、骨粗鬆症、抑うつなどがあります。

上記3つめの分類は、ADLの低下と密接に関係を持ち、医療と合わせて介護が重要になります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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