相談援助と福祉住環境整備

【❻ケーススタディ8:施設の大規模改修:従来型→個室ユニット型】工事中の留意点 vol.788

こんにちは♡介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ケーススタディ8:施設の大規模改修:従来型→個室ユニット型』について6回に分けて書いていきます。今回は最終の6回目になります。

事業スケジュール

Contents

1.事業計画の立案と法人の心構え
 ◉建物の概要
 1⃣事業計画の立案
 (1)事業スケジュール
 (2)基本計画・基本設計
 (3)実施計画・工事計画
 (4)工事中の留意点
 (5)職員のサポート

1.事業計画の立案と法人の心構え

わが国には介護保険制度開始以前に建設された多床室型の高齢者施設が多数あります。多床室型から個室への転換は、プライバシーの確保に加えて、感染症対策という点からも重要になります。

また、ストックの活用は温室効果ガスの削減にも寄与します。今回は、集団的な介護を前提とした多床室の特別養護老人ホーム(特養)から個室ユニット型への転換事例を6回に分けて書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

◉建物の概要
・名称:あしや喜楽苑
・所在地:兵庫県芦屋市
・運営:社会福祉法人きらくえん
・構造・規模:鉄筋コンクリート造4階建て
・改修期間:2020年12月~2021年10月
・敷地面積:3076.0㎡
・建築面積・延床面積:1737.0㎡/6096.9㎡
・事業内容:特別養護老人ホーム、ショートステイ、ケアハウス、デイサービス、認知症デイサービス、訪問介護事業所、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター
・設計:kt一級建築士事務所+山口健太郎氏(近畿大学)

1⃣事業計画の立案

改修工事は、新築工事と比べて建築に関わる時間が長くなります。

複数のサテライトを建設する場合には、事業開始から本体施設の工事終了まで、10数年間に及ぶこともあります。

事業に着手する際には、法人内にプロジェクトチームを作り、継続的にかかわることが出来る体制を構築することが必要です。

(1)事業スケジュール

課題の把握から目標・指針の設定は、運営法人の管理職及び職員により行われます。

改修に際しては、建物による制約が大きくなりますが、目標設定時には建物のことは除外して考える方がよいとされています。

法人や職員がどのような施設を運営していきたいのか、これから数十年を見据えたケアの在り方についてまとめておきます。

改修時には様々な課題が生じてくることから、方向性がぶれないためにも明確な指針を作る必要があります。

指針作成については、ワークショップ形式など、多様な職種の職員が自由に意見を出せる環境を作ることも大切です。

(2)基本計画・基本設計

目標が定まったら設計事務所を交えての議論を行います。

ここでは、法人が目指すビジョンと機能を伝えます。

設計事務所側は、法人の考えを踏まえて基本計画を立案します。

敷地面積や建蔽率なども勘案し、増築の可能性についてもこの時点で検討し、基本計画時点で建物の耐震診断を行うことが大切です。

劣化状況によっては事業計画全体が異なってくるため、建物の性能を確認しておく必要があります。

そして基本計画がまとまった段階で、行政への相談を行います。

定員増や機能の追加がある場合には、介護保険事業計画との整合を図ります。改修整備にかかる補助金が申請可能な場合もあるため、行政とは定期的に意見交換を行う必要があります。

基本計画の時点で、全体のスケジュールの大枠を固めていき、その後は、平面計画などの基本設計の検討を重ねていくことになります。

運営法人としては、設計事務所からの提案に加えて、法人としての希望をリストアップしていくことが大切です。

介護浴槽など福祉用具の機種や、トイレや特質に設置する手すりの位置など、既存建物などを運営していく中で培ったノウハウや、各種の展示会などでの知見を資料としてまとめていくことも重要です。

(3)実施計画・工事計画

運営法人としては、基本設計案がまとまった時点で、入居者の家族に説明を行います。

工事中の生活や、工事終了後の生活、料金について家族に説明を行い、多床室から個室への転換の場合には、居住費が異なることから、丁寧な対応が求められます。

また、同時に工事中の入居者の生活空間の確保についての検討が必要になります。

工事中も施設内に生活空間が確保できる場合には、騒音や粉じんなどへの対応を協議し、感染症の発生・拡大を防ぐため、工事事業者と入居者、職員の動線を分離することが求めらえます。

別敷地に一時移転を行う場合には、まずはその場所の確保が必要となります。

一時移転時の留意点として、一時であっても該当する施設種別の設備基準を満たす必要があります。

特別養護老人ホームの場合、各種の基準に適合する一時移転先を見つけることは非常に困難になります。

そのため移転により使われなくなった特別養護老人ホームなど、類似の施設が近くにないか常に確認しておく必要があります。

また、東京都では現地建て替え時に利用する一時移転施設を整備しており、大規模改修時にもこれらの施設を活用することが想定されます。

改修時も事業は継続していく必要があり、入居者の生活空間の確保は大きな課題となります。

(4)工事中の留意点

改修工事は、工事中に新たな課題が生じてくることも多いため、計画外の事態への備えが必要です。

予想よりも配管の劣化が進んでいるケースや、材料の一部にアスベストが含有しているケース、材料費の高騰など様々なケースが想定されます。

追加の工事や費用が生じる可能性があることから、工期や予算には一定の余裕を見ておくことが大切です。

着工後は、工事事業者との綿密な打ち合わせが必要です。

工事の都合で一時電力が使えない場合や、大きな音や振動が生じる工事の時には、入居者・職員共に大きなストレスを感じることになります。

それを防ぐための事前協議を行うことで運営上の負担を軽減します。

(5)職員のサポート

改修工事は、職員の協力が必要不可欠になります。

例えば…

  • 工事中の生活場所の確保
  • 騒音等への対応
  • 新しい生活・ケアへの移行

など、職員にも変化が求められます。

管理者は、職員がこの変化を負担ではなく成長としてとらえることが出来るように、職員のモチベーションのコントロールを行うことが必要です。

目標を明確に定め、改修意図を職員に浸透させるとともに、個別ケアの推進に向けての共通理解を深めることが重要です。

そのためにも、食事提供についてのシミレーションや、廃棄物の動線の確認など、新しい運用を想定した協議を行います。

協議に関しては、グループワークや改修プロジェクト委員会への参画、先進事例の見学を通して改修プロジェクトへの当事者意識を高めておくことが大切になります。

ケーススタディ」

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