【❺ケーススタディ4:重度身体障害者・グループホームの開設】資金計画(設備資金/内訳) vol.765

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:重度身体障害者・グループホームの開設』について7回に分けて書いていきます。今回は5回目になります。

使い勝手を重視したトイレ

Contents

1.重度身体障害者・グループホームの開設
 ◉建物の概要/開設当初の入居者の概要
2.課題への対応3
 1⃣用地決定まで
 ◉資金計画(設備資金/内訳)
 2⃣実際の設計内容
 (1)十分な広さのある浴槽
 (2)十分な広さのある脱衣室
 (3)「家」としての雰囲気
 ◉使い勝手を重視したトイレ

1.重度身体障害者・グループホームの開設

今回は、事例として「重度身体障害者・グループホームの開設」について書いていきます。

全体の流れとして、

  • 1⃣対象ケースの概要
  • 2⃣課題の把握
  • 3⃣課題の検討
  • 4⃣課題への対応1・2・3
  • 5⃣評価と新たな課題
  • 6⃣まとめ

となっています。今回は、「4⃣課題への対応3」について書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

●建物の概要
・所在地:東京都
・構造・規模:定員4名/木造2階建て/敷地面積116㎡/建物面積69㎡・延床面積139㎡
・開設:2006年5月
◉開設当初の入居者の概要
・性別・年齢:男性24歳(Kさん)/男性31歳(Lさん)/女性20歳(Mさん)/男性27歳(Nさん)
・疾患:脳性麻痺
・身体障害者手帳:1級
・移動方法:介助用車椅子(Kさん・Lさん)/標準型電動車椅子(Mさん・Nさん)

2.課題への対応3

1⃣用地決定まで

要望の取りまとめと平行して、グループホーム用地選定が本格化しました。都内で土地を購入し建物を建設する場合、一般的には多大な費用負担が生じます。

そのため、まず行われたことが借地探しです。

この過程で非常に条件の良い候補地が見つかり、他の候補地探しと並行して半年ほど協議・基本計画の検討が行われました。

ここでは、平屋でも十分に開設者Oさんの要望を盛り込んだ計画が可能でしたが、土地の所有権者全員からの同意が得られなかったため、この計画は頓挫してしまいます。

その後も、土地選定は続けられましたが、最終的にグループホームに適した土地・建物を借りて転用することは以上に困難だという結論に至りました。

それは、都内である程度まとまった土地を見つけることが難しい、という一般的な状況に加え、

  • ❶土地所有者にNPO法人へ土地を貸す経験がなく、二の足を踏んでしまう
  • ❷土地所有者が障害者グループホームに対する知識を持たないため、どのような用途に使われるのか理解されない

などの理由が挙げられます。

このため、時間的な問題もあり、Oさんは土地貸借や既存建物の利用を諦め、土地を購入し新たな建物を建てることを決意します。

そしてグループホームに建設が可能な広さの土地が売りに出ていることを知ったOさんは、購入を決定しました。

その際、東京都ではグループホームを増やし障害者の地域居住を促進するため、グループホーム建設に対する「東京都緊急整備費補助金」制度を運用中でした。

これは、基準額400万円と実際の建設費を比べ、低い方の額と8分の7を補助するものです。

◉資金計画(設備資金/内訳)
【設備資金:約8,000万円
・東京都緊急整備費補助金:2,100万円
・法人自己資金:300万円
・入居者の初期負担金:600万円(初期入居者より1人当たり150万円)
・融資額(金融機関等からの借入金額):約4,600万円
・自治体からの福祉整備基金:300万円

【内訳】
・土地所得費用:4,700万円
・建設費用:約2,600万円+税
・諸費用:約500万円

本事例では、この制度を活用することが認められたものの、結局は約4,600万円という巨額の借金が必要になりました。

これは、金融機関からの借り入れと、複数のNPO法人理事による個人的負担によって賄われました。

2⃣実際の設計内容

Oさんからの要望に加え、設計士が慎重な検討と確認が必要である、としていたことに、「トイレの設計」があります。

トイレは使う人によって必要寸法が様々であり、2~3cmの違いで全く使えなくなることもあります。

今回は、設計士が福祉住環境コーディネーターであったため、設計後に問題が生じることはありませんでしたが、このような具体的な使用を念頭に置いた各部位、特に水回りの設計に対する確認は、福祉住環境コーディネーターの役割として欠かせないものでしょう。

今回、実際の建設用地となった敷地の面積は116㎡であり、極めて狭く厳しい条件になります。

その中で、前項のような設備的条件を満足させるため、まず体験室の設置は早々に断念されました。また、法人本部事務所を併設することも同様に不可能となりました。

このような限られた条件の中で、十分な浴室や脱衣室、トイレの面積を確保するためには、建物全体の計画がカギになります。

ここで建築士が採用した計画の要点は、

  • 1階に水回り、リビングダイニング(集会室・談話室)をコンパクトに集める
  • 2階は田の字型プラントし、居室とする
  • 結果として玄関ホール、廊下等を最小限とする

というもので、これによって浴室・脱衣室に十分スペースを確保することができ、トイレにも必要最低限の面積を振り分けることが出来ました。

次項は、Oさんからの要望に対する具体的な計画内容をまとめていきます。

(1)十分な広さのある浴槽

浴槽の周りに3方介助可能なスペースを確保し、また不随意運動が強い人にも適した浴槽の大きさとしました。

洗い場も、臥位でも清拭が十分に可能な面積が確保されました。

(2)十分な広さのある脱衣室

浴室とほぼ同じ広さの脱衣室が設けられました。実際には、洗濯機や収納棚、洗面台などが設けられますが、臥位での脱衣や着衣十分に可能な広さになります

(3)「家」としての雰囲気

一般に建物内で車椅子が利用される場合、床から35cmほどに車椅子あたりであるキックガードと呼ばれる保護材(幅木)が使用されることが多いですが、これは一般の家庭には、ほぼ使用されない材料になります。

ここで建築士は、仕上げ材に工夫を凝らし、合板で腰までの立ち上げ仕上げとすることで、傷がつかず、また家庭的な雰囲気を損なわない仕上げとしました。

また、手すりについては、手すりを利用する入居者がいなかったため採用しませんでしたが、これは「家」的な雰囲気づくりに配慮したためでもあります。

◉使い勝手を重視したトイレ

トイレについては、前項の通り建築士が最も注意を要する個所と認識していたため、衛生機器メーカーのショールームにて、設計図通りの大きさを再現したモックアップを利用し、実際の機器を配置して使い勝手を確認しました。

同時にスイッチやリモコンなどの取り付け位置も検討され、設計に反映されました。

なお、上下階でのトイレは、アプローチが逆転していますが、これは脳血管障害などで片麻痺を持つ入居者がいた場合、左右どちらの麻痺にも対応可能とするためになります。

今回はここまで。次回は、「5⃣評価と新たな課題」について書いていきます。良かったら見に来てください!

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