【④ケーススタディ1:住宅編(脳性麻痺のある子ども)】リフト設置後の2つの課題と3つの変化 vol.751

こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:脳性麻痺のある子どもがいる家族の転居』について4回に分けて書いていきます。今回は最終の4回目になります。

転居前→転居後の入浴状況の変化

Contents

1.脳性麻痺のある子どもがいる家族の転居
 1⃣評価と新たな課題
 (1)リフト設置後の結果
 (2)転居後の新たな2つの課題
  ❶課題1:入浴回数の減少
  ❷課題2:父親のリフト不使用
 (3)1年後のフォローアップ
  ①変化1:母親がリフトの操作に慣れた
  ②変化2:訪問看護の回数が増えた
  ③変化3:父親の役割が変わった
  ◉転居前→転居後の入浴状況の変化
2.まとめ

1.脳性麻痺のある子どもがいる家族の転居

今回は、事例として「脳性麻痺のある子どもがいる家族の転居」について書いていきます。

全体の流れとして、

  • 1⃣対象Aさんのケース概要
  • 2⃣課題の把握
  • 3⃣課題の検討
  • 4⃣課題への対応
  • 5⃣評価と新たな課題
  • 6⃣まとめ

となっています。初回は「1⃣対象Aさんのケース概要」「2⃣課題の把握」について、前々回は「3⃣課題の検討」、前回は「4⃣課題への対応」、そして今回は「5⃣評価と新たな課題」と「6⃣まとめ」について書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、わかりやすくなると思います。

1⃣評価と新たな課題

リフトの助成制度の申請が済み、新築工事が着工されました。その後順調に工事は進み、約半年後、いよいよ新居の引っ越しが決まった前日にAさんは誤嚥性肺炎にかかり入院してしましました。

約1週間の入院後、退院時には夜間のみ人工呼吸器を使うことになりました。

また、入院中に胃ろうの増設の手術を行ったため医療的ケアが必要になりました。退院後は、病院からの紹介で訪問介護を利用することになりました。

福祉住環境コーディネーターのBさんは、Aさんの退院から約2週間後に介助用リフトの動作確認作業のため新居を訪問しました。

この時、リフトメーカー代理店、市役所のケースワーカー、福祉機器センターのPT(理学療法士)もリフトの完了検査を行うため同席しました。

(1)リフト設置後の結果

新築後には、特殊寝台である介護用ベッドを導入していたため、母親はAさんに吊り具を着けるときは、ベッドの高さを約70cmに上げ、腰に負担がかからないようにしていました。

ベッド上で吊り具を着けた後、Aさんを府リフトで吊り上げ、その状態で脱衣室を通過し浴室の洗い場まで移動します。

そして、洗い場の入浴用椅子に下ろして体を洗いますが、この時吊り具はリフト本体から外します。洗体後は、再び吊り具を着けてリフトで吊り上げ浴槽に入ります。

母親は洋服を着たまま、洗い場で入浴中のAさんと会話をするなど、ゆったりとした入浴時間を楽しむことができるようになったと話しました。

入浴後、Aさんは洗い場でリフトに吊られた状態で待ち、水滴が落ちないように吊り具の上からバスタオルで体を包まれ、その状態で脱衣室を通過してベッド上まで移動します。

ベッド上は防水シーツを事前に敷いておき、その上で吊り具を外し、体や頭を拭いてからパジャマに着替えます。

このように、母親はリフトを使うことにより、Aさんへの抱きかかえ介助が全く必要なくなり、介助負担は大幅に軽減されたといいます。

また、入浴時に母親自身も裸になって子供と一緒に入浴する必要もなくなり、服を着たまま介助できることは、母親側に時間的な余裕が生まれ、介助に対する安全性が向上したことがわかりました。

(2)転居後の新たな2つの課題

転居前後でAさんの入浴介助の環境や方法は大きく変わりました。特に浴室が広くなったため、全体的に介助はしやすくなりましたが、介助用リフトについてはいくつかの課題が残りました。

❶課題1:入浴回数の減少

母親はリフト操作にまだ慣れておらず、母親の介助で入浴する日は、週2回程度にとどまっていることがわかりました。

訪問看護による週1回の入浴介助を受けることができましたが、転居前と比べると、入浴頻度は週2回程度に減ったことになります。

❷課題2:父親のリフト不使用

訪問看護の際は看護師がリフトを使い入浴介助を実施していますが、依然として父親はリフトを使うことはせず、抱きかかえ介助で入浴を行っていることがわかりました。

身長180cmの体格の良い父親は、吊り具の着脱が面倒であり、リフトを使うよりも抱きかかえ介助のほうが早くて楽であるといいます。

福祉住環境コーディネーターのBさんは、全体的には介助負担が軽減している状況であり、リフトに対する2つの課題については慣れの問題もあると判断し、しばらく様子を見ることにしました。

(3)1年後のフォローアップ

転居から約1年後、福祉住環境コーディネーターのBさんは、再度家庭訪問を実施し、母親からヒアリングをするとともに、一連の入浴介助の流れを確認しました。

1年前と比べて、大きく変わったのは以下の3点になります。

①変化1:母親がリフトの操作に慣れた

訪問看護以外の日はすべて母親が1人で入浴介助をするようになりました。母親の話では、リフトの操作に慣れるまで、約半年かかったといいます。

また、リフトを操作するリモコンを首から下げていると介助の邪魔になるので、今では胸ポケットのあるメッシュ地のベストを着て介助をしていました。

胸ポケットにリモコンを入れておくとすぐに取り出せるためとても便利であり、ベストはメッシュ地のため夏場でも蒸れずに快適であると、手慣れた様子で話してくれました

②変化2:訪問看護の回数が増えた

訪問看護の利用は、週1回でしたが、週2回まで利用できることを知り、現在は週2回に増やしています。

③変化3:父親の役割が変わった

1年前までは土曜日及び日曜日は父親が入浴介助をしていましたが、リフトの操作に慣れた母親が1人で容易に入浴介助ができるようになったので、父親は入浴介助をしなくなりました。

その背景には、父親自身、中学生の娘と一緒に入浴するという異性介助への抵抗感もあったいいます。

父親は入浴介助をしない代わりに、その時間は晩御飯の支度をするなど、これまで以上に家事に対して協力的になりました。

母親は、父親に娘の入浴介助をしてもらうよりは、晩御飯を作ってもらうほうが助かっているいると感謝していました。

◉転居前→転居後の入浴状況の変化
曜日転居前転居後1年後
母親(抱きかかえ)母親(リフト)母親(リフト)
母親(抱きかかえ) 入浴なし訪問看護(リフト)
母親(抱きかかえ) 訪問看護(リフト)母親(リフト)
母親(抱きかかえ) 入浴なし訪問看護(リフト)
母親(抱きかかえ) 母親(リフト) 母親(リフト)
父親(抱きかかえ) 父親(抱きかかえ) 母親(リフト)
父親(抱きかかえ) 父親(抱きかかえ) 母親(リフト)
入浴頻度毎日入浴週5回入浴毎日入浴

2.まとめ

障害のある子どもの入浴については、体格が小柄な子どもが多いことからどうしても母親が育児の一環として、乳幼児期から抱きかかえ介助を継続していることが非常に多いです。

Aさんのように、子どもが小学校高学年になっても、母親1人で腰痛を抱えながら介助をしていることは決して稀ではありません。

なるべく早い段階で、ヘルパーを利用することや、訪問入浴や施設入浴など、福祉サービス等を利用していくことが望ましいものの、これらのサービスを毎日利用できることは少なく、決まった時間にしか利用できないことや、利用年齢に制限があるなど、まだまだ個々の家族の生活スタイルやニーズに合っていないことが多いです。

また、子どもの場合は、親が他人に介助をさせたくないなど、様々な理由からヘルパー等のサービスを利用していないこともあります。

そう考えると、父親など、ほかの家族の協力が得られない場合や、母親1人にによる介助が長期化・増大化する場合は、リフトを検討することが望ましいです。

一方、このリフトについては、吊り具の着脱に手間がかかり、抱きかかえ介助のほうが早く介助ができるという意見や、リフトのデザインが住宅と調和しないなどの理由により導入には積極的になれない家族が多いのも事実です。

しかし、事前に何度も使用しながら介助方法のイメージアップを図ることや、設置する環境を十分に検討したうえで導入すれば、長期的な視点から見ると、リフトの有用性は極めて高いと考えられます。

さらに、リフトの役割は、介助者にかかる身体的な負担を軽減する以外に、Aさんのケースのようにリフトの導入によって介助がより安全になり、父親の役割が変わるなど、家族のQOL(生活の質)の向上にまで大きく影響を及ぼすことが期待できます。

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