こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修』について4回に分けて書いていきます。今回は2回目になります。
課題の把握
Contents
1.脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修
1⃣課題の把握2
(1)主な4つの課題
◉課題1:居室の雰囲気の維持
◉課題2:安全なトイレの使用
◉課題3:危険のない浴室
◉課題4:快適な生活動線の確保
2⃣課題の検討
(1)課題1への対応
(2)課題2への対応
(3)課題3への対応
(4)課題4への対応
1.脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修
今回は、事例として「脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修」について書いていきます。
全体の流れとして、
- 1⃣対象Fさんのケース概要
- 2⃣課題の把握1・2
- 3⃣課題の検討
- 4⃣課題への対応
- 5⃣評価と新たな課題
- 6⃣まとめ
となっています。今回は「2⃣課題の把握2」と「3⃣課題の検討」について書いていきます。
良かったら、前回の「 【①ケーススタディ3:脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修】ヒアリングで課題の整理 vol.757 」から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。
- 🔵建物の概要
- ・状況:木造2階建て(築25年)
・増築不可
- ◉Fさんの概要
- ・性別:女性
・年齢:76歳
・疾患・障害:脳梗塞による左片麻痺
・入院中のADL(生活基本動作):排泄・入浴は介助
・移動方法:室内は杖歩行、屋外は介助用車椅子
・介護認定:要介護認定2
・介護の状況:息子夫婦
・家族構成:息子夫婦(夫59歳、妻50歳)、孫(女性・30歳、20歳)
1⃣課題の把握2
(1)主な4つの課題
前回に書いた、ヒアリングを行ったことにより見えてきた「主な課題のポイント」は下記の4つになります。
◉課題1:居室の雰囲気の維持
1階にある部屋は、ダイニングキッチン以外は1部屋のみで、ベッドを置いてしまうと病室のようになってしまうことをFさん自身が躊躇しています。居間の雰囲気を残して、友人や来客を招きたいと思っています。
◉課題2:安全なトイレの使用
トイレの面積は狭く、片開き戸であるため、室内を多点杖で歩行するFさんによってはアプローチがしにくく、手すりがないことも危険になります。
◉課題3:危険のない浴室
浴室入り口には10cmの段差があり、また和式浴槽で深く、浴槽内には手すりもなく危険になります。
在来工法であるタイル張りの浴室は、冬場は非常に寒く、高齢のFさんの体にはヒートショックなどの悪い影響を与える心配があります。
◉課題4:快適な生活動線の確保
現在、家中に建具が開き戸で移動が困難な状況です。
特に、今後Fさんが1日中過ごすことになる1階の部屋からダイイングキッチンへの動線は、間仕切り壁があるため不便になります。
以上の4つの課題に関しては、対象者の動きを実際に見せていただかなければ適した提案ができないので、後日Fさんの一時外出許可が出された日に、動作を試してもらい、確認をしてから詳細を決めることにしました。
2⃣課題の検討
4つの課題への対応案として行われたプランニングは、下記のようになりました。
(1)課題1への対応
【和室におけるカーテン設置】
和室の床をフローリングに張り替えて、ベッドを置き、カーテンでベッドを見えないようにします。
これに関しては、友人に来てもらうことにこだわっているFさんは、ベッドを置くことで居間が病室的になるのかと懸念から納得はしていません。
(2)課題2への対応
【トイレスペースの拡張等】
まず、自立のために右側の壁と正面の手すりを取り付け、入り口は開き戸を引き戸にこう交換します。
トイレ面積を少しでも広くするため、階段下のスペースを利用し、便器を奥に下げて、前方に余裕を持たせます。これは将来、介助スペースが出来るような視野を入れた変更になります。
夜中の排泄のためのポータブルトイレは、介護保険制度の「福祉用具の購入」を利用することになりました。
このポータブルトイレもFさんのこだわりで、家具調のものになりました。
(3)課題3への対応
【浴室における段差の解消等】
浴室は、入り口の段差を解消して、手すりを付けます。
浴槽は、和洋折衷式にして、「座位またぎ入浴」がしやすいものにします。
福祉用具の入浴用椅子を購入し、浴室暖房を設置します。
(4)課題4への対応
【間仕切り壁の撤去等】
室内の建具は出来る限り引き戸にし、将来車椅子になっても使えることを視野に入れます。
ダイニングキッチンと和室との間仕切り壁は撤去し、広いLDK空間とすることにしました。
それにより1階の動線はよくなり、Fさんが将来車椅子を使用することになっても、居間である寝室から食堂、トイレに行くことが可能になりました。
ただし、Fさんの住宅の面積では、完全に車椅子のままトイレの中に入るという設計は、面積確保上出来ませんでした。
あくまでも立位が可能で、トイレの近くまで車椅子で行くことが出来れば、手すりを握って2~3歩の伝い歩きができ、トイレが使用できるという前提の改修になりました。
今回はここまで。次回は、 「4⃣課題への対応」について書いていきます。良かったら見に来てください!
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