こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修』について4回に分けて書いていきます。今回は1回目になります。
Fさん及び家族の希望
Contents
1.脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修
◉転居前の建物の概要
1⃣対象Fさんのケース概要
2⃣課題の把握1
(1)ヒアリング
◉Fさん及び家族の希望
◉PT(理学療法士)の見解
1.脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修
今回は、事例として「脳梗塞による障害を持つ高齢者の住宅改修」について書いていきます。
全体の流れとして、
- 1⃣対象Fさんのケース概要
- 2⃣課題の把握1・2
- 3⃣課題の検討
- 4⃣課題への対応
- 5⃣評価と新たな課題
- 6⃣まとめ
となっています。今回は「1⃣対象Fさんのケース概要」と「2⃣課題の把握1 」について書いていきます。
- 🔵建物の概要
- ・状況:木造2階建て(築25年)
・増築不可
- ◉Fさんの概要
- ・性別:女性
・年齢:76歳
・疾患・障害:脳梗塞による左片麻痺
・入院中のADL(生活基本動作):排泄・入浴は介助
・移動方法:室内は杖歩行、屋外は介助用車椅子
・介護認定:要介護認定2
・介護の状況:息子夫婦
・家族構成:息子夫婦(夫59歳、妻50歳)、孫(女性・30歳、20歳)
障害を持つ高齢者にとっては、その障害に起因する不都合な、物理的に解消する住宅改修は、最小限の行為に過ぎず、よりよい生活のためには空間を豊かにデザインする必要があります。
当事者の生活ニーズを住環境整備に反映させるうえで、コミュニケーションの工夫を行い、継続的にコーディネートすることにより、生活意欲の向上と精神的な豊かさを実現することが出来た事例を今回はまとめていきます。
1⃣対象Fさんのケース概要
Fさんは、半年前に脳梗塞を発症。前日よりしゃべりにくい、唇がしびれるといった前兆があったものの、それが脳梗塞の前触れである「一過性脳虚血発作」とは気付かずに就寝。翌朝Fさんの変化に家族が気付き、Fさんは救急車で運ばれましたが、左半身に麻痺が残ってしまうことになりました。
病院ではまず脳梗塞の治療が行われましたが、落ち着くと早い段階から簡単なリハビリテーションが行われ、時間の経過とともに辛いリハビリ訓練を経て、Fさんは退院することが出来ました。
当初はFさんの年齢を考えても、重い片麻痺が残るであろうとPT・理学療法士から言われ、車椅子の使用も覚悟しなければならないと、家族は心配していましたが、Fさんはリハビリ訓練を一生懸命頑張り、PTさんが驚くほどの回復で、杖歩行ができるまでになりました。
Fさんの家族は全員が働いており、病気になる前は、家事一切をFさんが行っており、それはある意味Fさんの生きがいでもありました。
歳をとっても家族の役に立っているということが、Fさんの若さと元気の源でした。
Fさんは突然の病で「自分は役に立たなくなった。迷惑をかけているだけだ」と常に涙ぐむようになり、家族も困惑しています。
常に泣くことに関しては、脳血管障害によくある「感情失禁」という症状であると、医師からは聞いていますが、家族は元の明るいFさんに戻ってほしいと願っています。
住まいは1階がダイニングキッチン(DK:食堂・キッチン)と、和室(客間兼居間)、洗面室、浴室、トイレであり、寝室は2階にありました。
在宅生活では、日中、家族が全員仕事に出掛けてしまうことによって、1人になってしまうFさんのことが息子夫婦は心配でした。
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【高齢者に多い脳血管疾患】脳梗塞や脳出血の原因や症状について vol.223
2⃣課題の把握1
(1)ヒアリング
具体的な対応に入る前に、まずヒアリングを実施し、課題の整理を行いました。
◉Fさん及び家族の希望
Fさんは、麻痺側の足は5cmぐらいの高さなら問題なく超えることが出来ますが、階段の1段の高さ18cmは日常的に使用することは危険です。
そこで、まず2階にあった寝室を1階にもってこなければなりません。
家族によると、寝室を1階に移せば生活に困ることはないであろうとのことで、退院後は1階で寝ることになりました。
今回の家族の依頼は、Fさんが退院直後から、昼間1人で留守番をすることになるので、トイレに1人で行けることと、家族の一部介助を受けながらでも、自宅で安全に入浴ができるようにしたいということでした。
◉PT(理学療法士)の見解
一方、PTの見解では、Fさんの年齢から、今だけのことを考えるのではなく、加齢と主に身体機能の衰えは否めないので、将来、車椅子を使用することになっても自立できるトイレに改修しておいたほうがいいのではないか、とのことでした。
また、入浴に関しても浴槽が深く、入りにくいといったこと以外にも、寒い浴室は病気の再発を招く危険があるので、浴槽内の暖房に関しても配慮をしたほうがいいとの意見をもらいました。
将来、車椅子を使用することを前提とするならば、日中留守番をすることになった際に、家の中を車椅子で動きやすくする動線の確保も考えなくてはなりません。
最低限、車椅子で寝室から食堂、トイレ、洗面所、玄関には行けるようにしておく必要があります。
そのため、現状の片開き戸の建具に関しても、出来るものはすべて引き戸に変更したほうが良いという結論に達しました。
今回はここまで。次回は、 「2⃣課題の把握2」と「3⃣課題の検討 」について書いていきます。良かったら見に来てください!
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