相談援助と福祉住環境整備

【❸ケーススタディ8:施設の大規模改修:従来型→個室ユニット型】ユニット型への3つの手法 vol.785

こんにちは♡介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ケーススタディ8:施設の大規模改修:従来型→個室ユニット型』について6回に分けて書いていきます。今回は3回目になります。

多床室型から個室ユニット型への転換

Contents

1.ケーススタディ8:居住系施設への改修
 ◉建物の概要
 1⃣多床室型から個室ユニット型への転換
 (1)立地条件
 (2)改修前の建物概要
 (3)改修前の課題
 (4)ユニット型へ転換する3つの手法:全体計画

1.ケーススタディ8:居住系施設への改修

わが国には介護保険制度開始以前に建設された多床室型の高齢者施設が多数あります。多床室型から個室への転換は、プライバシーの確保に加えて、感染症対策という点からも重要になります。

また、ストックの活用は温室効果ガスの削減にも寄与します。今回は、集団的な介護を前提とした多床室の特別養護老人ホーム(特養)から個室ユニット型への転換事例を6回に分けて書いていきます。

良かったら、

から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。

◉建物の概要
・名称:あしや喜楽苑
・所在地:兵庫県芦屋市
・運営:社会福祉法人きらくえん
・構造・規模:鉄筋コンクリート造4階建て
・改修期間:2020年12月~2021年10月
・敷地面積:3076.0㎡
・建築面積・延床面積:1737.0㎡/6096.9㎡
・事業内容:特別養護老人ホーム、ショートステイ、ケアハウス、デイサービス、認知症デイサービス、訪問介護事業所、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター
・設計:kt一級建築士事務所+山口健太郎氏(近畿大学)

1⃣多床室型から個室ユニット型への転換

(1)立地条件

兵庫県芦屋市は、阪神間の主要都市の1つであり、人口規模は9.5万人(2020年(令和2年)4月1日現在・住民基本台帳より)、高齢化率は全国平均よりやや高い29.0%となっています。

あしや喜楽苑が立地する海沿いには、戸建て住宅地に加えて大規模団地が広がっており、同施設は、芦屋市南部地域の介護拠点としての役割を担っています。

(2)改修前の建物概要

あしや喜楽苑は、1997年(平成2年)に開設されました。建物の構造は鉄筋コンクリート造で、1階がデイサービスと地域交流スペースなどの在宅部門、2階・3階がショートステイと特別養護老人ホーム、4階がケアハウスとなっていました。

ショートステイと特別養護老人ホームの介護職員の担当範囲は分離されていますが、浴室などは特別養護老人ホームと共有されていました。

2階・3階に1か所ずつ食堂があり、浴室は2階に1か所、3階に2か所設けられていました。

居室は4人部屋が主体となっていましたが、各部屋の境界には扉が設けられており、個室のような環境になっていました。

(3)改修前の課題

建物面では、各居室に間仕切りが設けられていますが、完全な個室ではなく、入居者のプライバシーや居場所の形成が困難であること、食堂と居室の動線が長く、移動の負担が大きいこと、各所の改修された食堂(スタッフルームを改修)の使い勝手が悪いことなどが挙げられました。

ケア面では、ユニットケアを実施するものの、環境面での整備が不十分であり、職員の身体負担が大きく、また、モチベーションの維持も難しくなっていました。

そこで、2018年(平成30年)より、全面的な個室ユニット化に向けての検討が行われました。

(4)ユニット型へ転換する3つの手法:全体計画

多床室主体の従来型特別養護老人ホームを個室ユニット型へ転換するには、下記の3つの手法があります。

  1. 敷地内に個室ユニット型を増築し、本体の定員を削減した上での改修
  2. 近接地域にサテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型特別養護老人ホーム)を整備し、本体施設の定員を削減した上での改修
  3. 定員を削減して改修

の3パターンがあります。

増築、サテライトの必要理由としては、

  • a)従来型特別養護老人ホームの居室面積は、現行基準の10.65㎡より狭い場合が多く、改修に伴い必要面積が増える
  • b)増設部分への移転を先に行うことで、本体に空室ゾーンが確保され、その部分を順次改修していくことで、入居者が生活しながらの改修が可能となる

となります。

あしや喜楽苑でもサテライトや増築が検討されましたが、都市部にあるため敷地に余裕がなく、また、土地の価格も高額であることからいずれも困難でした。

そこで100名の定員を80人に削減することで、個室ユニット化を実現しました。

また、今回の計画に合わせて1階も全体的に改修しました。

デイサービスについては、大部屋形式から複数の特徴を持った空間へと変貌し、職員食堂や更衣室も拡張されました。

高齢者施設の課題は、在宅サービスの拡充と職員の確保であり、今回の改修を機に機能のレベルを上げる取組みが実施されました。

今回はここまで。次回は「各部の改修計画」について書いていきます。良かったら見に来てください!

ケーススタディ

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