社会の理解

【日本の社会保障制度のしくみ】4つの実施体制とは? vol.242

2021-02-10

こんにちは⭐ 介護ラボ・カナログのkanaです。今日は「社会保障制度のしくみ」について…

「応能負担」と「応益負担」の違い

Contents

1.社会保障を支えるもの・社会保障の機能
2.社会保障の実施体制
 1⃣国
 2⃣都道府県
 3⃣市町村
 4⃣民生委員・児童委員
3.社会保障のしくみ
 ❶社会保険方式
 ❷社会扶助方式
4.社会保障制度の給付と負担方法
 ①給付の方法(2種類)
 ②負担の方法(応能負担と応益負担)

1.社会保障を支えるもの・社会保障の機能

社会保障の考え方

社会保障制度の根底にある考え方として、「相互扶助」と「連帯責任」があります。私たちは何か困ったことが発生した場合、相互扶助の精神によって互いに助け合い、社会の一員として皆で協力し合う社会連帯の精神も持ち合わせています。
社会保障制度が準備されるまでの時代では、「家族の助け合い」「親族の助け合い」「地域住民の助け合い」によって生活上のリスクに立ち向かっていました。しかしそのような小規模グループでの助け合いには限界がありました。そこで規模の大きなグループである国家として、制度を設け国家全体で助け合う仕組みを構築してきたのです。

私たちの誰もが、生活を送るうえで思いがけない事態に直面する恐れがあります。

  • 経済的問題
  • 健康問題
  • 子育て問題
  • 介護問題

などがその代表で、これらの問題に対して、社会保障制度を通じて支え合うことが可能となりました。社会保障の基本的な考え方、「社会保障の機能」として、

  1. 社会的セーフティネット(生活保護)
  2. 所得再分配(児童手当・年金保険など)
  3. リスク分散
  4. 社会・経済の安定多経済成長
  5. 家族機能の支援

等の役割があります。

2.社会保障の実施体制

社会保障の実施体制

社会保障の実施体制は、
●国
●都道府県
●市町村
が、主な役割を担っています。次項でそれぞれの役割をまとめていきます。

社会保障の実施体制


●全国民に対して一定水準のサービスを提供する
・各種制度の企画・立案、基本方針の策定、基準の設定を行う
・全国統一の施策の実施(年金保険等)
・地方自治体が自主性や独自性を発揮できるように支援する
・各種制度への国庫負担金(補助金)を支出する
・地域格差の是正に責任を持つ

都道府県
●広域的な観点からサービス提供体制を整備する
・複数の市町村を含む広域的な立場で医療や介護サービスの必要量確保やその提供方法について整備する
・各市町村のあいだの連絡調整を行う
・市町村では対応が難しい課題に対して、より高度で専門的立場から支援を行う
・各種制度への負担金(補助金)を支出する

市町村
●最も住民に身近な行政組織としてサービスを実施する
・児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、生活保護などを実施する
・各種相談窓口を設け相談に応じる
・各種制度への支出を行う
・地域の特性や住民ニーズを把握する

民生委員・児童委員
●地域住民の身近な相談
・地域住民の生活状態の把握
・相談助言
・関係機関との連携・協力

1⃣国

国の役割

は、全国的に統一して定めることが望ましい事柄、全国的な規模で実施すべき施策や事業、その他、国が果たすべき役割を重点的に担っています。

社会保障分野で考えれば、全国民に対して一定の水準のサービスを保障することが重要な役割となっています。その役割を果たすため、各種制度の企画・立案、基本方針の策定、国庫負担金の交付などを行っています。

また、地方自治体が自主性や独自性を発揮できるよう支援するとともに、大きな地域格差が発生しないよう格差是正にも取り組みます。

社会・組織

2⃣都道府県

都道府県の役割

都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、こういきにわたるもの、市町村の間の連絡調整などを行っています。例えば医療機関や介護施設の整備などは1つの市町村で十分な量を整備することが困難な場合があります。そんとあめ、複数の市町村を含む圏域を設定し、その圏域を範囲として医療や介護サービスの提供体制の整備を図っています。

また、非常に困難な問題を抱えている市民からの生活相談を受けた場合など、市町村では適切な対応ができないこともあります。そのような場合には、都道府県がより高度な専門的支援を行います。

3⃣市町村

市町村の役割

市町村は、最も住民に近い行政主体であるため、サービスの実施主体として大きな役割を担っています。具体的には、
・保育所への入所手続き
・介護保険制度の運営
・障害者総合支援制度の運営
・生活保護の実施
などです。

また、生活に関する各種の相談に応じるため相談窓口や専門機関を設置しています。さらに、地域分権がキーワードになっている近年においては、地域住民のニーズや地域特性を把握し、地域の実情に応じた施策の実施が市町村に求められています。

4⃣民生委員・児童委員

民選委員・児童委員の役割

民生委員・児童委員は、市町村よりさらに住民に近い存在になります。住民の生活状態を必要に応じ適切に把握し、相談助言を行うとともに、関係機関との連携や福祉事務所への協力をしています。

地域住民の中から選出されるため、顔なじみになりやすいなど身近で相談しやすい存在です。

民生委員・児童委員は、都道府県知事の推薦にもとづき厚生労働大臣から委嘱され、任期は3年ですが給与は支給されません

3.社会保障のしくみ

社会保障のしくみ

社会保障制度の負担と給付のしくみとして、
・社会保険方式
・社会扶助方式
の2つがあります。

❶社会保険方式

電大社会で生活していると、保健という用語を数多く耳にしたり目にしたりします。保険は「社会保険」と「民間保険」に分けることが出来ます。社会保険の代表として、

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 介護保険

などがあり、民間保険の代表として、

  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 生命保険

などがあります。社会保険と民間保険は保険の技術を用いている点は共通ですが、異なる点も多くあります。社会保険と民間保険が大きく異なる点が3つあります。

  1. 運営主体(保険者)が異なる:民間保険の場合は株式会社などの民間企業が保険者ですが、社会保険の場合は「国」「地方公共団体」「公的な団体」が保険者となります。
  2. 法律を基礎としている:国民年金法、健康保険法、介護保険法に代表されるように、社会保険には基礎となる法律が設けられています。法律に基づく保健なので、強制的に加入させることが可能で、保険給付も法律で規定されています。それに対して民間保険は強制加入ではありませんし、保険給付も保険会社が独自に設定しています。
  3. 財源に国庫負担や地方負担が入る:民間保険には税金からの補助は出ません。多くの社会保険では、国や地方自治体の税金から補助や繰入が行われています。また、サラリーマンなどの被用者の保険料については、被保険者(本人)と事業主(企業)が保険料を半分ずつ支払っています。これを「労使折半」といいます。さらに低所得者に対する保険料の減免(保険料を減らされたり、保険料の支払いを許される)なども行われています。このような労使折半や所得による保険料の減免は社会保険に特有な仕組みとなります。
社会保険5種類

これら3点が、社会保険と民間保険の大きな違いになります。民間保険には多数の種類がありますが、社会保険は、
●医療保険
●年金保険
●介護保険
●雇用保険
●労働者災害補償保険
5種類となります。

❷社会扶助方式

社会扶助とは、保険料ではなく「税金」を財源として国や地方自治体が実施するサービスの提供などのしくみです。「社会保険方式」は、世界的には1880年代のドイツで誕生し、日本では1920年代に導入された比較的新しい制度です。それに対し「社会扶助」は、1500年代のイギリスで誕生し、日本でも1800年代後半から国家的に用いられています。保険の技術を用いず租税を財源に給付を租税を財源に給付等を行います。

社会扶助方式にはいくつかの種類があり、

  • 公的扶助制度▶生活保護制度
  • 社会サービス▶児童福祉や障害福祉
  • 社会手当▶児童手当、児童扶養手当

などがあります。

4.社会保障制度の給付と負担方法

①給付の方法(2種類)

給付の2種類

社会保障制度による給付方法は、「現金給付」と「サービス給付(現物給付)」に分けることが出来ます。現金給付は、制度と対象者の間が直接的に繋がりますが、サービス給付は専門機関や専門職が対象者との間に介在しします。

  • 現金給付:金銭を直接給付する方法。例えば、年金保険や生活保護(医療扶助と介護扶助を除く)は、対象者に現金を給付します。その他、児童手当や、失業時の所得保障を行う雇用保険も同様です。
  • サービス給付(現物給付):現金ではなくサービスを提供します。その代表が医療サービスや介護サービス、保育サービスです。現金ではなく専門職の専門的活動を受けることになります。

②負担の方法(応能負担と応益負担)

負担の方法は「応能負担」と「応益負担」に分けられます。

応能負担とは?

応能負担」とは、利用者の取得などによる支払い能力に応じて負担額を増減させる方法で、「保育料」が代表です。保育料は親の所得によって、月額数千円~10万円以上とおおきな開きがあります。つまり応能負担とは、高所得者からは多く、低所得者からは少なくその利用料を徴収する方法です。

応益負担とは?

「応能負担」とは、受けたサービス量に応じて支払う方法です。例えば就学後から70歳未満の場合、医療費の自己負担は3割ですが、これは所得が多くても少なくても同じ3割です(但し減免などの措置がある場合も有り)。このように応益負担は支払い能力を考慮しないため、結果的に定率負担あるいは定額負担となります

上記2つの支払い負担方法の覚え方として、支払い能力に応じた負担を求める「応益負担」、支払い能力を原則考慮しない「応益負担」と理解すれば良いと思います。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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