福祉住環境整備

【⑤高齢者住宅・施設の種類と機能】認知症高齢者グループホームと生活支援ハウス vol.729

2022-06-12

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今回は「福祉住環境」の中から『高齢者住宅・施設の種類と機能』について、7回に分けて書いていきます。今日は5回目です!!

厚生労働省が所管する高齢者住宅・施設

Contents

1.厚生労働省が所管する高齢者住宅・施設
 ◉高齢者住・施設と関連する法令・制度
 1⃣認知症高齢者グループホーム
 (1)グループホームの特徴
 (2)グループホームの歴史
 2⃣生活支援ハウス
 (1)生活支援ハウスの特徴
 (2)生活支援ハウスの歴史

1.厚生労働省が所管する高齢者住宅・施設

今回は、様々な高齢者施設について、「福祉住環境」の視点から複数回に分けてまとめていきます。※過去にまとめた『高齢者施設』も記事内にリンクを貼ってあります。重複する部分も沢山ありますが、良かったらそちらもご覧ください!

わが国の高齢者住宅・施設は種類が多いうえに、いくつもの法令・制度が複雑に絡んでおり、それぞれの特徴を正しく理解するのは容易ではありません。

今回は、高齢者住宅・施設ごとに、

  • 法令上の定義
  • 創設の経緯や変遷
  • ハード・ソフト両面からみた機能

を整理していきます。(次項で図にまとめています)

◉高齢者住・施設と関連する法令・制度

1⃣認知症高齢者グループホーム

認知症高齢者グループホームは、認知症高齢者が少人数で共同生活をする施設になります。入居者は、5~9人で1つのユニットである生活谷を構成し、小規模で家庭的な暮らしの場において、職員から「入浴」「排泄」「食事」の介護などに日常生活上の世話や機能訓練などを受けながら生活をします。

(1)グループホームの特徴

グループホームの特徴は、

  • 「日常的な生活の場の創出」
  • 「日常生活の継続」

に重点を置き、認知症の症状の緩和、生活の質の向上を図ることを目的としています。

入居者の心身状況に応じて、自立支援と日常生活の充実につながるようなケアを行うことを理念としており、入居者と職員が、「調理」「その他の家事作業」を共同で取り組んだり、入居者の趣味・嗜好に応じた多彩な活動を行ったりするグループホームが数多くあります。

(2)グループホームの歴史

グループホームは、1980年代にスウェーデンで登場しました。その後、北欧諸国で広がり、認知症の症状緩和の有効性に注目が集まるようになると、日本でも導入されるようになりました。

従来の、50人、100人単位の大規模な介護施設で行われていた画一的な集団ケアや非家庭的な居住空間に疑問を持つ現場運営者やスタッフが、草の根的に取り組むことによって次第に全国に広がっていきました。

1994年(平成6年)6月、同時の厚生省の痴呆性老人対策に関する検討会は「痴呆性老人対策に関する検討会報告書」で、「痴呆性老人に対するサービスのメニューの1つとして、地域において痴呆性老人が共同生活をすることのできる、小規模な場であるグループホームの整備を検討することが望まれる」として、日本ではすでに児童養護や知的障害者の分野で実践されていたグループホームを認知症の高齢者にも適用することを提言しました。

その後、当時の厚生省のモデル事業を経て、1997年度(平成9年)には、「老人福祉法」に基づく「痴呆性対応型老人共同生活援助事業」(現・認知症対応型老人共同生活援助事業)として制度化されることになりました。

また、2000年以降は「認知症対応型共同生活介護」として介護保険制度の中にも位置付けられ、介護保険の給付対象となっています。

国は、2015年に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定し、7つの柱に基づき各種施策を推進しています。

柱の1つである、「認知症の様態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」においては、介護サービスの基盤整備として、グループホームの整備の推進を掲げており、グループホームが地域における認知症ケアの拠点としてその機能を発揮するとともに、グループホームと認知症デイサービスとの共用型施設や、認知症カフェなどの事業が積極的に行われることが望ましいとしています。

この考え方は、2019年に策定された「認知症対策推進大網」にも引き継がれており、今後はグループホームで提供される介護サービスの質の評価や、利用者の安全確保の強化などの取り組みとも相まって、地域の実情に応じたグループホームの整備が進んでいことが期待されています。

2⃣生活支援ハウス

生活支援ハウスは、高齢者に対して、介護支援機能、居住機能、地域との交流機能を総合的に提供することを目的とした施設です。

高齢のため自宅で生活できない者に対する、

  • 一定期間の住居の提供
  • 居住部門の利用者に対する各種相談・助言
  • 緊急時の対応
  • 福祉サービスの利用手続きに関する援助
  • 利用者と地域住民との交流を図るための各種事業
  • 交流の場の提供

などを行います。

(1)生活支援ハウスの特徴

居住部門は、指定通所介護事業所(デイサービスセンター)等に併設するか、当該事業所等の隣地に整備した小規模多機能施設(生活支援ハウス)で実施します。

居住部門の対象者は、原則60歳以上の単身または夫婦のみ世帯、家族による援助を受けることが困難な者で、高齢などのために独立して生活することに不安のある者になります。

利用定員は、概ね10人程度で、20人を限度ととしています。

(2)生活支援ハウスの歴史

生活支援ハウスは、1989年度に策定されたゴールドプランに基づき、1990年度(平成2年)から整備が開始され、当初は高齢者生活福祉センターと呼ばれていました。

制度開始初期は、「離島振興法」や「山村振興法」などに基づいて指定された山村、過疎地、利用などだけに設置が認められていましたが、1998年度末(平成10年)に地域の限定が撤廃され、2021年には名称も「生活支援ハウス」に変更されました。

2005年度からは、運営費にかかる国庫補助が廃止され、市町村による補助へと変わりました。

1999年度(平成11年)に策定されたゴールドプラン21では、2004年度末までに、1,800か所整備するとされていましたが、実際は540か所(2004年度、厚生労働省老健局企画課調べ)と、当初目標の3割に留まり、その後も数は殆ど増えていません。

介護保険制度が導入されて以来、介護保険施設以外にも有料老人ホームや認知症高齢者グループホームなどが全国各地で数多く供給されるようになったうえ、

  • 2006年度には小規模多機能型居宅介護
  • 2012年度には複合型サービス(2015年度から看護小規模多機能型居宅介護に名称変更)

も新たに創設され、以前に比べると、生活支援ハウスを整備する意義は薄れているといえます。

次回は、「シルバーハウジング」と「サービス付き高齢者住宅」についてまとめていきます!!

施設

他の『施設』記事はこちらから・・・
【特別養護老人ホームとは?】サービス内容や利用者の要件について vol.102
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【通所リハビリテーションとは?】サービス内容や利用者の要件 vol.104
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【医療型障害児入所医療施設・療養介護施設とは?】サービス内容と利用者要件 vol.112
【高齢者を取り巻く住環境と施策】5つの高齢者向け住宅 vol.121
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【ケアを必要とする高齢者の生活の場】有料老人ホームの3類型について vol.622
【比較】有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いとは? vol.623
【❹福祉コミュニティづくりの方法】社会福祉協議会、社会福祉施設、民生・児童委員#1(前半) vol.694
【①高齢者住宅・施設の体系】3つの定義とは? vol.714
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【❷高齢者住宅・施設】1970年代「軽費老人ホームの分化」(歴史的変遷) vol.717
【❸高齢者住宅・施設】1980年代「家族構成の変容とゴールドプランの策定」(歴史的変遷) vol.718
【❺高齢者住宅・施設】2000年代「介護保険法の始まり」(歴史的変遷) vol.720
【❻高齢者住宅・施設】2010年代(前半)「東日本大震災の発生・復興にかかる2つの施策」 vol.721
【①高齢者住宅・施設の種類と機能】特別養護老人ホームと介護老人保健施設 vol.725

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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