介護総合演習

【グループホームとは?】サービス内容や利用者の要件について vol.108

2020-09-29

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今回は「グループホーム」について

グループホームとは?

グループホーム

1⃣どのようなサービスなのか?

グループホームとは

グループホームは「認知症対策型共同生活介護」とも呼ばれ、医師から認知症の診断を受け、在宅が生活が困難となった人が介護サービスを受けながら共同で生活する場所です。
介護保険上では原則、1ユニットの入所定員が5~9人、同一敷地内に2ユニットまでと定められています。少人数制により顔なじみの関係を築きやすく、個室での生活が環境の変化に伴う混乱を緩和します。

認知症の人を、介護や日常生活支援の対象とする考えは約30年前から始まりました。それまでは認知症の人は、精神疾患として精神科病院へ入院することが多く、特別養護老人ホームの入所対象にさえなっていませんでした。

1980年代、スウェーデンを始めデンマークなどの北欧諸国では、グループホーム、グループリビングの実践が始まっており、その取り組みは日本にも大きな影響を与えました。スウェーデンでの実践を参考に、認知症の人には小規模の生活の場が重要として、1991年(平成3)に日本で最初のグループホームが開設されました。

その後1997年(平成9)に「痴呆対応型老人共同生活援助事業」として、グループホームが制度化されました。小規模5~9人で家庭的な環境の中、家事等の役割を果たしながら認知症の人が共同で暮らす場が広がりました。

さらに2000年(平成12)に介護保険法が施行され、「痴呆対応型共同生活介護」として居宅サービスの1つに類別されました。2005年(平成17)の介護保険改正時に、「認知症対応型共同生活介護」は、地域密着型サービスとして新たに位置づけられました。

今後も認知症の人の尊厳を大切に、出来る限り住み慣れた地域で生活する為の拠点として期待されるサービスといえます。

2⃣どのような人たちが利用しているのか?

利用要件

利用者の要件としては、
◉主治医から認知症の診断を受けていること
◉要介護・要支援認定が、要介護2以上であること
◉共同生活が可能であること
◉グループホームのある市町村に住んでいること、の4つがあげられます。

上記の要件を満たし、かつ在宅生活の継続が困難と判断された人が利用しています。

認知症の人は多くの場合、家族や近隣の人のサポートのもと、在宅サービスを色々と組み合わせて在宅生活を継続しています。しかし、認知症の症状が重度化していくと、在宅サービスを区分支給限度額(要介護状態区分別に介護保険から給付される上限額)まで利用してもサービスが足りない状況になってきます。

また、老々介護により介護者が入院したり、不在になった場合、昼夜問わず繰り返されるBPSD(行動・心理症状)によって介護者の負担が過度になった場合等には、在宅生活は困難になる場合が多くあります。このように途切れることなく24時間の見守りや365日のサポートを必要とする場合に入居となることが多くなります。

3⃣どのような生活や活動をしているのか?

活動内容

グループホームでの生活は、「おいしく食事をとること」「健康に過ごせること」「安心して過ごせること」が基本となります。

🔹グループホームの日課表の例

6:00  起床、更衣、洗顔、トイレ
7:00  朝食
    服薬、口腔ケア、食後の片付け、居室掃除、洗濯等
10:00 水分補給
    テレビ視聴、体操、散歩。昼食づくり等
11:30 昼食準備(テーブル拭きや盛り付け)
12:00 昼食
    服薬、口腔ケア、食後の片付け、洗濯物の取り込み・たたみ
14:00 入浴
    おやつ作り、レクリエーション、散歩、夕食作り等
15:00 おやつ
17:00 夕食準備(テーブル拭きや盛り付け)
17:30 夕食
    服薬、口腔ケア、食後の片付け
18:00 就寝準備
    テレビ視聴等
20:00 順次就寝

1日の主な流れを示したものですが、起床時間やトイレなどは個人差があるため、入居者全てが同じ時間に起きたり寝たりするわけではありません。集団での生活の為、ある程度の時間の流れは決まっていますが、個々に応じた時間の流れを尊重できるのは少人数制のメリットであるといえます。

生活の中での活動は、食事作り、洗濯物干しやたたみ、掃除、シーツ交換などがありますが、生活する為に必要な活動は全て職員、利用者が共同で行います。それぞれ得意、不得意があるため、得意な人が中心になって活動をします。

個々の得意、不得意に合わせて生活の中に役割を持たせたり、レクリエーションや行事などに参加したりしています。

4⃣どのようなケアを行っているのか?

どのようなケアを行っっているか

グループホームでの主なケアの内容としては、「食事」「入浴」「排泄」の介護、「掃除」「洗濯」など身の回りの衛生管理、主治医や看護師、薬剤師等の関係各所との連携をとりながらの日々の健康管理、関節の可動域、下肢能力等を意識した日常生活のリハビリを行います。

また、精神面の安定を図ったり、レクリエーション等楽しみのある活動をしたりしています。

利用者主体となる生活の流れに沿って、ケアを行います。

  • 朝起きたら、服の着替えをします。
  • 衣類の着脱がうまくできないときは服の準備や着脱の介護もします。
  • 顔を洗います。
  • 必要に応じて洗面所まで案内し、水を出し、顔が洗えるようにサポートします。
  • トイレも同じです。
  • 場所が分からなければ一緒に行き、スムーズに排泄が出来るようサポートします。

入浴では「入りたくない」「家で入っている」と断られることがよくあります。相手の言葉だけを聞き入れてしまうと、入浴出来ない日が長く続く可能性があります。こういう時に大切なのは・・・

「なぜお風呂に入りたくないのか?」

言葉の裏にある背景を想像し考えることです。「健康面」「精神面」「環境要因」などを検討することによって、いつもと違う状況が起きている可能性があります。

『利用者が断るのには理由があります』

その理由を探るために日々の観察やかかわりがとても重要です。考える「ヒント」がそこにあるからです。いつも織顔色が悪い、いつもより表情が硬い、出来ていたことがいつもより出来なくなっている・・・この「いつもより」を気が付けるのは、日頃の状態をしっかり把握していないとできません。これ全てのケアにおいて共有です

「いつもより」何かが違うことが、利用者とかかわる時に考えるヒントになります。

介護は「食事」「入浴」「排泄」の3大介護であるとよく言われます。確かに、生理的欲求が満たされることは最低限必要で、一番大切になります。しかし、住み慣れた我が家、家族と離れ、突然他の人との共同生活を強いられた時、不安で落ち着かない気持であることも事実です。

利用者の不安な気持ちに寄り添い、専門職として常に様々な状況に配慮することも必要です。

ケアの方法

グループホームは大きな施設と比べると、介護福祉職が家族と直接かかわる場面が多くあります。介護福祉職として、目の前に居る利用者だけをケアするのではなく、そこにかかわる家族や地域も含めてケアする気持ちを忘れてはいけません。

5⃣どのような人たちと一緒に働いているのか?

他職種協働(どのような人達と一緒に働いているか)
🔹管理者
管理職は、職員が役割や責務を果たしているか、利用者にサービスが行きわたっているかといった人員配置基準に基づく管理運営を行います。

🔹計画作成担当者
計画作成担当者は、主として家族と事業所、関係施設と事業所を密接に関連付けるつなぎ役です。各ユニットに1人ずつの配置が決められていますが、そのうち1人介護戦支援専門員(ケアマネージャー)の資格がなければなりません。最初化に家族から相談を受け付け、入居までの流れを作るのが計画作成担当者です。

🔹看護職員
配置基準があるわけではないので、毎日いるとは限りません。

⭐グループホームは小規模な事業所の為、職員や専門職の数は少ないといえます。その分、その役割を各自がきちんと果たし、事業所としての機能を成立させていく必要があります。そして様々な役割を持つ職種の人に支えられているという環境があるからこそ、現場に集中し、利用者本位のケアを追求できているということを知る必要があります。

6⃣他の職種の人とどのように協働しているのか?

他職種協働

グループホームは「生活の場」ということもあり、介護福祉職の割合は約9割を占めています。1人の人を支えるにあたって、生活面は勿論、健康面、社会面、経済面など多面的に捉えなければなりません。

他職種連携

健康管理をするためには医療職との連携は必須ですし、入居に関しても、居宅サービスを利用していた時の介護支援専門員等と情報のやりとりをします。経済的な問題により生活保護を受給している場合はケースワーカーともかかわってきます。成年後見人精粗を活用し、財産管理をしている人もいます。

日頃から関係各所と連携を密にとり、家族とも丁寧に連絡のやり取りをして利用者にかかわる人たちと情報交換することで、協働支援が円滑となります。利用者や家族に対し少しでも質のよりサービスを提供するため、関係各所と互いの専門性を認め、尊重し合うことで協働支援が成立するのです。

7⃣介護福祉職はどんなチームを組んでいるのか?

チームケア

グループホームは利用者3人に対して、介護福祉職を1人配置しなければいけません。定員数に対してですが、多くの場合、日中3人が必要です。構成メンバーとしては「早出」「日勤」「遅出」という3人が1つのチームとなります。夜間帯は各ユニットに1名の夜勤者がいます。

医療従事者の専門的な見解や急変時、事故発生時など特別な状況においては、管理者、家族との連携を必要とする場合もあります。その日、そこにいる介護福祉職だけでなく、そこから繋がる看護師や主治医、家族、管理者等のチームで構成されていると考えることが大切です。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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