【❷重症心身障害の人へのコミュニケーション技術】理解している単語の数を把握する vol.464

こんにちは 介護ラボのkanaです。「コミュニケーション技術」の中から『重症心身障害』について。昨日はコミュニケーション支援、今日はコミュニケーション技術の2回に分けてまとめていきます。

重症心身障害がもたらす心理的問題への配慮

Contents

1.重症心身障害の人へのコミュニケーション技術
 1⃣基本的対応
 (1)視覚障害と聴覚障害の有無について知る
 (2)理解している単語の数を把握する
  ❶理解単語数が11個以上のタイプ:Aタイプ
  ❷理解単語数が1~10個以上のタイプ:Bタイプ
  ❸理解単語数が0個のタイプ:Cタイプ
  ❹Aタイプの事例:A君(10歳)
 2⃣重症心身障害がもたらす心理的問題への配慮

1.重症心身障害の人へのコミュニケーション技術

1⃣基本的対応

(1)視覚障害と聴覚障害の有無について知る

まず、コミュニケーション支援を行う際は、医療職に視覚障害と聴覚障害の有無を確認することが大切です。

視覚障害があるといわれた場合でも、光の有無や方向がわかる児童がいるので、視覚刺激に対する応答を丁寧にみることが大切です。長い時間をかけて視覚的応答が回復したという事例も報告されています。

聴覚障害があるといわれた場合でも、振動や触覚などは知覚出来ます。

次に、児童が持つわずかなサインを見つけることが大切です。

  • 「声掛けに対する応答は?」
  • 「嬉しい時の発声は?」
  • 「不快な時の表情は?」
  • 「笑顔の種類は?」
  • 「排泄のサインは?」

などです。サインを見つけることで、児童への適切な働きかけの理解を進め、児童にとって楽しめる活動を増やします。働きかけや遊びの中で意思確認ができる場面を増やし、双方向のコミュニケーションとなるように配慮していきます。

(2)理解している単語の数を把握する

コミュニケーション支援を行う際は、理解できる単語数について把握することが大切です。 生活場面で使う単語を整理し、本人をよく知っている複数の人に、「理解している」と判断できる単語について教えてもらいます。

具体的には、その単語を「理解している」と判断する際の手がかりとなる行動が、50%以上の頻度で認められる単語について聞き取り、その数を調べます。

❶理解単語数が11個以上のタイプ:Aタイプ

理解できる単語数が11個以上と評価されたタイプの児童では、視覚シンボルによる表出や視覚マッチングの理解(介護者が示した事物に対応する事物を注視するなど)では成績が低いですが、Yes/Noや選択による要求表出は「やや達成」と良好です。

したがって、意味理解の力を元にして、意思表出の仕方を安定させ定着を促すことが、コミュニケーション支援の課題になります。

そのためには本人が理解している場面で意思表出を求め、VOCA(音声出力会話補助装置)や、マイクロスイッチなどのAAC(補助代替コミュニケーション)手段によって意思表出が明瞭になるように働きかけます。

AAC手段に関しては、言語療法の職員から情報を得ます。

VOCA(音声出力会話補助装置)、AAC(補助代替コミュニケーション)とは?

VOCAは、Voice Output Communication Aidの略で、音声によるコミュニケーションツール。ボタンを押すことで音声を出すことが出来る機器の総称。あらかじめ記録した音声を再生する方式と、合成音声をその場で生成する方式が利用されている。

AACはAugmentative &Alternative Communicationの略。コミュニケーション能力に障害がある人が、サイン、身振り、文字盤、絵カード、電子機器などの代替手段により意思を伝える方法。道具を使う方法は、電子機器を用いないローテクエイドと活用するハイテクエイドに分けられる。

❷理解単語数が1~10個以上のタイプ:Bタイプ

理解単語数が1~10個のタイプの児童では、「安定した注意反応」「働きかけを快として受容」「期待反応の表出」「期待反応の分化」などは、「やや達成」に近いことがわかります。

  • 「期待反応の表出」とは、快をもたらす刺激やはたらきかけを、待ち望むような注視や笑いを示すことです。「いない、いない、ばぁ」のような遊びでは、「いない、いない」の後に観察されます。
  • 「期待反応の分化」とは、特定の刺激やはたらきかけに対してのみ期待反応を表出する場合です。一方、「大人への積極性」や「Yes/Noによる要求表出」は「途上」であることがわかります。

期待する力を基にして、要求表出を促し話し言葉や視覚サインの理解を促すことが、コミュニケーション支援の課題になります。

児童によっては、VOCAやマイクロスイッチなどが効果的です。

❸理解単語数が0個のタイプ:Cタイプ

理解単語数が0個のタイプの児童では、 周囲の出来事を快として受け止め、出来事を予期して期待できるような力を促すことがコミュニケーション支援の課題になります。

そのためには、環境を工夫して意味を分かりやすくしながらはたらきかけを行うことが大切です。

❹Aタイプの事例:A君(10歳)

A君10歳(男児)Aタイプの事例

◉A君(10歳・男児)は、夏祭りなどのイベントが近くなると発熱することが多く、参加出来ないことがあります。また、上手く自分の要求を伝えることが難しい様子です。A君へのコミュニケーション支援をするにあたって、理解している単語の数を調べました。その結果、11個以上理解出来ることがわかりました。

A君は、期待できる場面では嬉しそうな顔をし、手を動かすことが出来ます。そこで、要求を聞くときにYesのマイクロスイッチをそばに置き、介護福祉職と共に一緒に音の出るスイッチを押すようにしました。

はじめは好みのはっきりした事物について尋ねるようにし、介護福祉職と一緒にスイッチを押すということが定着したようです。

➡ポイント

理解出来る単語の数が多くても、表出が難しいと、児童にとってストレスになります。このような時に、押すと音の出るマイクロスイッチにより意思表出を求めるとわかりやすくなります。「介護福祉職と共に押す事」を反復することで、微弱な反応でも次第に安定して表出するようになります。

2⃣重症心身障害がもたらす心理的問題への配慮

重症心身障害児では、重度運動障害のために応答が乏しく、働きかけも大人からの一方向になりがちです。 大人の側に迷いが生じる時もあります。このような時には「児童が働きかけを受け止めるのが大変であったり、応答を上手く表出するの困難である」状態は、「様々な制約があるためだ」と考えるとよいかもしれません。

制約を外す努力を大人が行う中で、児童の側では、

  • 「環境を認知する」

という学習が進んでいきます。

児童のサインをよく学ぶこと、嬉しい表情を確認し、好きな働きかけを見つけること、共に喜ぶことで嬉しいという気持ちを支援することが大切です。

また、児童の注意を促しながら働きかけを行い、予期・期待する気持ちを引き出すことで、双方向のコミュニケーションを確立していくことが大切です。

多くの実践例は、「いま、障害がどんなに重く見えても、将来、変わることもある」ということを教えてくれています。

コミュニケーション

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