こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:重度身体障害者・グループホームの開設』について7回に分けて書いていきます。今回は1回目になります。
建物の概要/開設当初の入居者の概要
Contents
1.重度身体障害者・グループホームの開設
◉建物の概要/開設当初の入居者の概要
1⃣対象ケースの概要
◉本ケースの始まり
2⃣課題の把握
(1)主な3つの課題
◉課題1:介助者の不在
◉課題2:制度の不在
◉課題3:運営主体の必要
3⃣まとめ
1.重度身体障害者・グループホームの開設
今回は、事例として「重度身体障害者・グループホームの開設」について書いていきます。
全体の流れとして、
- 1⃣対象ケースの概要
- 2⃣課題の把握
- 3⃣課題の検討
- 4⃣課題への対応1・2・3
- 5⃣評価と新たな課題
- 6⃣まとめ
となっています。今回は、「1⃣対象ケースの概要」と「2⃣課題の把握」について書いていきます。
- ●建物の概要
- ・所在地:東京都
・構造・規模:定員4名/木造2階建て/敷地面積116㎡/建物面積69㎡・延床面積139㎡
・開設:2006年5月
- ◉開設当初の入居者の概要
- ・性別・年齢:男性24歳(Kさん)/男性31歳(Lさん)/女性20歳(Mさん)/男性27歳(Nさん)
・疾患:脳性麻痺
・身体障害者手帳:1級
・移動方法:介助用車椅子(Kさん・Lさん)/標準型電動車椅子(Mさん・Nさん)
1⃣対象ケースの概要
◉本ケースの始まり
グループホームの開設に至ったきっかけは、重度重複障害を持つ息子・Kさんの母親であるOさん(開設者)の、「息子が施設や親の介助によってではなく、地域の中で暮らしてもらいたい」との強い願いからです。
当時、重度の身体障害を持つ人は、自宅で親の介助によって暮らすか、入所施設に入るかの、どちらかを選ぶことが一般的でした。
しかし、親が高齢になると、自宅での介助が出来なくなったり、また施設に入所しても、都内の施設は入所定員が限られているため、全く見知らぬ地方の施設に移らなければならないことが予想されました。
このような状況の中で、地域生活に結び付く別の選択肢を見つけたいと考えたOさんは、地域の有志とともに勉強会、「障害者の声を聞く会」を結成します。
その活動の中で、障害者グループホームの存在を知ったOさんは、自分の息子も地域のグループホームで暮らしてもらいと考えるようになり、グループホーム設立へと活動を開始しました。
開設の4年前、2002年(平成14年)のことです。
2⃣課題の把握
(1)主な3つの課題
グループホームの開設を検討するにあたり、Oさんには3つの課題が存在しました。
◉課題1:介助者の不在
Oさんの息子であるKさんは、脳性麻痺による筋肉の強い緊張があり、食事や入浴介助には特別な技術が必要です。
しかし、一般の居宅介護派遣事業所から派遣されるヘルパーの多くは、高齢者の介助経験しかなく、このような特殊なニーズに対応できないため、親による介助が中心とならざるを得ませんでした。
◉課題2:制度の不在
当時、国の法律に基づくグループホーム(現行法では「障害者総合支援法」によるグループホーム)の入居者は、知的・精神障害者に限られ、重度の身体障害者は入居することが出来ませんでした。
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◉課題3:運営主体の必要
グループホームの運営には運営・管理を行う法人が必要であり、Oさんは法人を設立するか、適当な法人に依頼しなくてはなりませんでした。
3⃣まとめ
グループホームに入居する以前、Kさんは両親と自宅でヘルパーによる介助を利用しながら暮らしていました。
その時点からKさんにとって課題1の「介助者の不在」は大きな問題でした。
また、Oさんの知り合いで重度の障害を持つ子どもの親の中には、自宅というプライベートな場所にヘルパーを招き入れることに抵抗があり、ヘルパーの利用に踏み切れない人も多くいました。
そのため、Oさんが始めた活動が結果として課題1に対する対応となりました。
今回はここまで。次回は、 「3⃣課題の検討」について書いていきます。良かったら見に来てください!
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