こんにちは💛 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の視点から『ケーススタディ:障害者の転居先の改修』について5回に分けて書いていきます。今回は最終の5回目になります。
転居先住宅の工事の実施
Contents
1. 築45年の戸建住宅からマンションへ(障害者の転居を見越した改修及び転居先の改修)
1⃣評価
(1)転居先住宅の工事の実施
(2)工事結果の評価
①冷暖房
②洗面台
③カウンター
④入浴
⑤トイレ
⑥キッチン
⑦インナーテラス、その他
2⃣まとめ
1.築45年の戸建住宅からマンションへ(障害者の転居を見越した改修及び転居先の改修)
今回は、事例として「築45年の戸建住宅からマンションへの転居」について書いていきます。
全体の流れとして、
- 1⃣対象Cさんのケース概要
- 2⃣課題の把握
- 3⃣課題の検討
- 4⃣課題への対応
- 5⃣評価
- 6⃣まとめ
となっています。今回は「5⃣評価」「6⃣まとめ」について書いていきます。
良かったら、
- 【❶ケーススタディ:障害者の転居先の改修】築45年の戸建住宅からマンションへ vol.752
- 【❷ケーススタディ2:障害者の転居先の改修】プランニングのポイント vol.753
- 【❸ケーススタディ2:障害者の転居先の改修】制度の利用(日常生活用具給付等事業) vol.754
- 【❹ケーススタディ2:障害者の転居先の改修】改修の6つの問題点 vol.755
から見ていただけると、流れがわかりやすくなると思います。
- ◉Cさんの概要
- ・性別:女性
・年齢:50歳
・疾患:二分脊椎症 L4
・障害:両下肢運動障害、両下肢感覚障害、膀胱直腸機能障害
・身体障害者手帳:1種1級
・日常生活動作:車椅子自走/外出は自家用車を運転
・家族構成:父(有料老人ホームに入居中)、母(同居、要支援1、認知症)、弟(別世帯)
1⃣評価
(1)転居先住宅の工事の実施
設計・工事監理と各職種間のコーディネーションは建築士Eさんが行いました。
既存住宅を改修した工務店は、マンション改修の経験も豊富で、一級建築士、一級建築施工管理技士と福祉住環境コーディネーター1級を併せ持つ人が施工管理を行いました。
高齢者、障害者を対象とする工事を行うときは、工務店側に工事の必要性や細かい点を理解してもらい、打ち合わせを密に行い進めることが大切になります。
工期は約40日。既存住宅の売却と併せて新規住宅を購入しているので、退去期限があり、引っ越し先が先に決まっていました。
(2)工事結果の評価
各室の開口部の位置変更や、引き戸への変更を行ったので、住居内での動線が確保されました。
①冷暖房
危険な電気ストーブがなくなり、安全に冷暖房ができる環境になりました。
湿度調整もできるので快適に過ごすことができます。
②洗面台
既存の洗面台を改修せずに、Cさんの居室に専用の車椅子対応型洗面台を導入したので、帰宅時の手洗い、洗髪等に無理な姿勢を取らずに行えるようになりました。
③カウンター
以前の住宅では、テレビ、パソコンや周辺機器のために、それぞれ小さなテーブルを置いていましたが、収納棚付きカウンターにまとめて置けるようになり、室内の動線もよくなりました。
④入浴
浴室リフトの設置により浴槽内に入れ、ゆっくり入浴できるようになりました。
入浴後は洗面室で着衣してからまっすぐ洋室1に入り、車椅子への移乗を行っています。
⑤トイレ
トイレは新設した2枚引き戸からアクセスし、洋室1で排泄後の着衣を行っています。
⑥キッチン
シンク部分のカウンターを壁から離したことで回遊動線が生まれ、リビングからキッチンへのアクセスが良くなりました。
⑦インナーテラス、その他
インナーテラスは居間の続きとして使用しています。
また、障害のある友人が遊びに来られるようになりました。
2⃣まとめ
古い木造住宅の住宅改修を機に、安全で安心できる住まい探しに発展し、Cさんが年老いた母親との生活を再構築した例になります。今回のように、住宅改修は生活の全ての面を見て判断していくことで、将来を視野に入れたより大きな成果を得ることができます。
高齢者、障害者の住宅改修には、医療・福祉・介護・建築といった専門職との連携が欠かせません。
カンファレンスなどを通じて専門職のアドバイスを聞き、助成制度、サービスや福祉機器を取り入れた計画を立てることが必要になります。
今回は、既存住宅の売却をして次の住まいを確保したので、Cさんの住まいの要望や日程等不動産関係者とも密な打ち合わせを行いました。
浴室リフトの導入に転居先自治体の助成制度を活用したことで、CW・ケースワーカーさんが中心となり、Cさんと母親の支援ネットワークができました。
Cさんは、今までほとんど自治体と関わりを持たずに生活してきましたが、これからは相談やサービスの受け入れがスムーズになります。
小さな住宅改修であっても、埋もれているニーズを引き出し、よりよい生活レベルに引き上げていくことが出来ます。
具体的には、
- 間取りの変更
- 動線の整理
- 採光や照明
- 通風
- 各室間の温湿度の調整
- 防音
などの環境整備や、福祉用具・機器の導入、断熱性能や耐震性能を上げるといったことが一緒に提供できます。
住宅改修の目的は、安全の確保、不便の解消ということだけではなく、QOL(生活の質)の維持や向上、将来も安心して住み続けられるという大きな保障を得ることも含まれます。
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