障害別に見た福祉住環境整備

【②視覚障害の3種類】視覚障害に必要な4つの福祉住環境整備 vol.163

2020-11-23

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は福祉住環境の中から「視覚障害」について、昨日(【①視覚障害とは?】視力・視野障害の原因疾患4つについて vol.162)と今日の2回にわけて書いていきます。

視覚障害者の不自由さの理解と配慮

Contents

1.視覚障害者の不自由と工夫
 1⃣視力障害
 (1)生活上の不便と不自由
 (2) 生活上の2つの工夫と配慮
 2⃣視野障害(狭窄・中心暗転・半盲)
 (1)狭窄:生活上の不便と不自由
 (2)狭窄:生活上の工夫と配慮
 (3)中心暗転:生活上の不便と不自由
 (4)中心暗転:生活上の工夫と配慮
 (5)半盲:生活上の不自由と工夫
 3⃣その他3つの視覚障害(順応障害・色彩障害・羞明)
 (1)順応障害:生活上の不便と不自由
 (2)順応障害:生活上の工夫と配慮
 (3)色彩障害:生活上の不便と不自由
 (4)色彩障害:生活上の工夫と配慮
 (5)羞明:生活上の不便と不自由
 (6)羞明:生活上の工夫と配慮
2.視覚障害に必要な4つの福祉住環境整備

1.視覚障害者の不自由と工夫

視覚障害は全盲の人と思われがちですが、残存視力のある人が多いです。

視覚障害者の不自由さを理解し、全盲の人への配慮と同時に、残存視力の有効活用にも十分配慮した福祉住環境整備についてまとめていきます。

1⃣視力障害

(1) 生活上の不便と不自由

視力障害は、文字を書いたり、読んだり、また人の顔が分からなかったりすることに不自由さを感じます。また、照明の暗い場所やコントラストの小さいものは見えにくくなることがあります。

(2) 生活上の2つの工夫と配慮
  • ❶文字を読む時に拡大鏡(ルーペ)を用いる :視野に数・文字入っていないと、見ることは出来ても読むことは出来ません。必要最小限の倍率で、視野内にできるだけ多くの文字が入るものを選ぶことが重要です。
  • ❷文字を読む際のコントラストを整備する: 照明のコントラストが重要なポイントです。羞明に対して敏感なため、光に対する許容範囲を考えた福祉住環境整備が行います。
コントラスト活用補助具とは?

調理や食事、筆記などの日常生活において式をコントラストを強めて、低視力の人が使いやすくした補助具のこと。調理用品(白黒両用まな板、黒しゃもじ等)罫プレートなど。

2⃣視野障害(狭窄・中心暗転・半盲)

(1)狭窄:生活上の不便と不自由

狭窄の問題は、周辺部が見えないために人や物が眼前に急にあらわれ対応が遅れることです 。

例えば、

  • 母親の手にひかれている子供が見えないために蹴飛ばしてしまう
  • マンホールのふたが開いているのが見えず落ちてしまう
  • 階段の段差が分からずに転倒した

などがあります。

夜盲を自覚し、夜間の外出を控えるケースも多くなります。また順応に問題があることも多いです。

(2)狭窄: 生活上の工夫と配慮

狭窄は白杖が必需品で、歩行上の安全確保に不可欠となります。夜盲のある障害者では、夜間は白杖のみが歩行補助手段となります。

視野狭窄のある障害者は、順応に問題があることが多いため、室内や建物の設計に順応を考慮した対応をすることが必要です。

白杖(盲人用安全杖)とは?

歩行を補助するものですが、使用者が視覚障害者であることを周囲の人々に知らせる目的でもあります。滑らすようにして用い、階段等の障害物や誘導ブロックを確認します。

(3)中心暗転:生活上の不便と不自由

中心暗点は、周辺視野が残っているので外出は出来ますが、階段や路面の凹凸を見分けにくく、転倒しやすくなります 。

問題点として、街で知り合いに会った時、相手の顔が分からず挨拶ができないことが困ることがあります。

(4)中心暗転:生活上の工夫と配慮

中心暗点は、残った視野の中で感度の良い、使える網膜はどこかをはやく見つけることが大切となります。

視野欠損で、読み書きしている位置が分からなくなる場合は、周囲を隠し対象箇所のみ浮き立たせる罫プレートを使用します。

転倒防止には、階段や段差などの注意喚起の表示が必要です。家の中で転倒しないためにも、住居内の環境整備をすることが必要です。 

罫プレート(タイポスコープ)とは?

黒い紙を短冊状に切り抜いたプレートのこと。読みたい文章以外の部分が黒い紙で覆われて光の反射が軽減されるので、文字を追いやすくなります。中心暗点や視野狭窄などに有効です。

(5)半盲:生活上の不自由と工夫

半盲は、物の影が半分しか見えないなど、見える範囲が狭くなります。

見える範囲が狭くなるので、半開きのドアに気付かずにぶつかる等があり注意することが必要です。

3⃣その他3つの視覚障害(順応障害・色彩障害・羞明)

(1)順応障害:生活上の不便と不自由

順応障害は、晴れた日など、街路を歩いていて日陰から日向に出る、またはその逆をした時に、急に何も見えなくなってしまうことがあります。

(2)順応障害:生活上の工夫と配慮

順応障害の場合、暗い場所では下半分を、明るい場所では上半分を用いる「グラデーション付き遮光眼鏡」があります。この遮光眼鏡を使用することで生活しやすくなります。

遮光眼鏡とは?

網膜色素変性症、白子症、錐体ジストロフィー、緑内障などで、羞明、光過敏、コントラストの喪失、暗順応低下などを補うために使用する。羞明を引き起こす波長の短い光をカットして眩しさを防ぎ、コントラストを高めるレンズを使用している。

(3)色彩障害:生活上の不便と不自由

身の回りには色のついたものが多く、色は非常に重要な情報源であるにもかかわらず、色彩障害があると見分けがつきにくくなります。

例えば、案内板などのサインやピクトグラム(絵文字)には、見えにくいものが多くなります。

(4)色彩障害:生活上の工夫と配慮

色覚障害は、:黄色で統一された色覚障害者誘導用ブロックを中心に、周囲環境の色やデザインを工夫をすることが必要です。

乗り物の路線図は色のみでなく、数字、太さの異なる線や各種破線を利用し区別しています。

(5)羞明:生活上の不便と不自由

羞明(しゅうめい)は、太陽の光が強く差し込む部屋では、壁面や床面からの反射で眩しさが増し、見たいものが見えなくなります。

(6)羞明:生活上の工夫と配慮

視覚障害者は羞明を訴えることが多くなります。羞明への対応として、眼への入射光のうち波長の短い光をカットするために、黄色や赤系との遮光眼鏡が処方されます。

羞明の場合、暗い色のサングラスを装用すると同時にコントラストも低下してしまい見えにくくなるため注意する必要があります。

2.視覚障害に必要な4つの福祉住環境整備

  • 段差の解消:出来るだけ段差がないように環境整備をします。特に、階段の下りの最後の数段は転倒事故が多いので、注意を喚起する工夫が必要です。階段は段差が見えにくいため、照明を工夫して明るくします。
  • 羞明への対応:間接照明を利用したり、西日や直接目に入らないように、カーテンやブラインドを設置します。
  • 戸の色とドアノブの色を変える:色対比を活用して位置をわかりやすくします。また、危険な箇所や段差のあるところに、周囲の床面と色の異なるテープを貼ります。
  • 整理整頓:不要なものを床面に置かず、室内は整理整頓することが重要です。

以上の4つが、福祉住環境で必要な環境整備になります。転倒などの事故がないように、環境を整えることが重要です。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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