生活支援技術Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

【高齢者の居住環境の整備】住宅改修における関連職種の役割と機能 vol.468

2021-09-24

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「生活支援技術」の中から『高齢者の居住環境の整備』について書いていきます。

多職種連携の必要性とは?

Contents

1.居住環境の整備における多職種連携の必要性
2.多職種の役割と介護福祉職との連携
 1⃣医療職(医師・看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT))
 2⃣介護支援専門員(ケアマネジャー)
 3⃣市区町村職員(行政職)
 4⃣建築関係者

1.居住環境の整備における多職種連携の必要性

多職種連の必要性

加齢に伴い生活機能が低下し、疾病や障害があっても出来るだけ住み慣れた自宅で自分らしく生活したいと誰もが考えるのは自然なことです。国の施策でも「地域包括ケア」の推進が図られています。高齢者が住み慣れた地域でいつまでも住み続けるためには多職種による連携が必要です。

介護が必要になっても住み慣れた自宅で自立した生活を送るためには、福祉用具の活用のほかに住宅改修を考えます。住宅改修の主な目的は、

❶利用者の日常生活動作(ADL)を助け自立生活を促す

❷転倒や転落などの事故を予防する

❸家族の介護負担を軽減する

❹地域との繋がりが持てる

などがあげられます。

特に高齢者の居住環境の整備については、住宅改修や福利用具の導入に関連して介護の専門職だけでなく、医療関連職種や福祉関連職種、建築関連職種との連携が必要です。

介護福祉職は、利用者の日常生活に直接関わっているため、利用者や家族の求めに応じて福祉用具の活用や住宅改修に関する助言を行う場面もあります。そのため、居住環境を整備する視点を持ち利用者と関わることが大切です。

今回は主に「介護保険制度」からみた在宅における住宅改修に焦点をあて、関連職種の役割と機能について理解を深め、介護福祉職の連携の在り方について書いていきます。

2.多職種の役割と介護福祉職との連携

1⃣医療職(医師・看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT))

医師(かかりつけ医)

医師(かかりつけ医)から情報提供される利用者の病歴や現病歴、障害の有無、服薬の状況や予後の見通し、日常生活を送る上での留意点などは、介護福祉職が移動や食事、排泄、入浴、その他の介護等を安全に行う上で重要なものです。

例えば、リウマチやパーキンソン病がある利用者の病状について、日内変動があり、進行性であることのほか、具体的な病状などをかかりつけ医から提供されます。

それを受けて、介護福祉職は、利用者の日常生活の状況を観察、把握し、状態の悪化がみられる場合は、かかりつけ医に情報を伝えることが必要です。

今後は多様な疾患を持ち、急変の可能性が高い利用者の在宅生活が推し進められていきます。

利用者の心身機能に応じた居住環境整備を考えるうえで、介護福祉職はかかりつけ医と情報共有し協働することが求められます。

看護師

看護師は、利用者の健康状態をチェックするとともに健康状態の変化をかかりつけ医へ報告し、医師の指示に基づいた処置を行います。

例えば、看護師は利用者の病状や治療内容を把握しているため、漏水などにより臥床状態にある利用者が褥瘡を併発する恐れがある場合には、介護福祉職と協働し、定期的な体位変換や排泄介助などを行うことがあります。

経管栄養や痰の吸引、ストーマなどの医療的ケアを必要としている利用者には、介護用ベッドや車いすなどの福祉用具の活用に加えて、日中の過ごす場所が寝室か、離床し居間で過ごすのか、室内の温度や換気、照明やにおいも含めた過ごしやすい生活空間を整え、安全・安楽で安心して生活出来るよう介護福祉職と協働します。

理学療法士(PT)

理学療法士(PT)は、身体に障害がある利用者の起居動作、移乗、移動、歩行や階段昇降など、基本動作能力の評価を行う専門職です。

例えば、便座から起立出来ない場合に、下肢筋力の低下か、それとも下肢の関節の動きが悪いためか、あるいは身体全体の体重移動が困難になっているのかなど機能面を評価し、運動療法や物理療法を行います。

作業療法士(OT)

作業療法士(OT)は、応用的な動作である西洋や食事、行為などのセルフケアや洗濯、調理、掃除などの手段的日常生活動作(IADL)、趣味や余暇活動など作業を通じて利用者の身体機能の回復や維持を図る専門職です。

住宅改修では、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が利用者宅を訪問し、身体機能の評価と共に家屋の状況と照らし合わせ住宅改修のアドバイスを行います。

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は、介護福祉職から得る情報を利用者の在宅生活における問題点の発見と動作分析や日常生活動作であるADLの評価に役立てます。

単に「できる」「できない」、「自立」か「介助」かだけではなく、将来を見据え、住宅改修後の安全性や快適性も含めて判断します。

「 PT・OT 」
介護福祉職

また介護福祉職は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)からの情報を共有し、住宅改修後の利用者の生活動作の観察や動作介助の方法を確認し、家族に適切な助言をするなど介護の支援に生かします。

2⃣介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員・ケアマネジャー

介護支援専門員であるケアマネジャーは、要支援・要介護状態となっても住み慣れた地域や環境の中で、家族や友人と共にこれまでの生活を継続したいという利用者の思いを尊重し、利用者の相談や必要なサービスを選択できるように、ケアプラン(居宅サービス計画)を作成することが役割となっています。

介護福祉職は、利用者の1日の生活を把握し、

  • 移動や移乗
  • 食事
  • 入浴
  • 更衣
  • 排泄

などの動作がどの程度可能なのか、自宅ではどのような動線で動いているのか、どのように介助されているかなどの情報を介護支援専門員へ伝えます。

その情報は、介護支援相談員が利用者により適したケアプランを作成するのに重要なものとなります。また、住宅改修がされれば連携が終わるのではなく、利用者の心身の変化に伴い、生活動作のどこが制限されているのか、何をどう改善すれば無理なく出来るようになるのかなど情報を共有します。

ケアプラン作成にあたり、介護支援専門員は、居宅サービス事業者とサービス担当者会議を開き調整を行います。

住宅改修や福祉用具の導入を検討する際には、介護福祉職のほか、行政や医師、理学療法士、作業療法士、建築士、工務店など関係する事業者と連絡調整を図ります。

3⃣市区町村職員(行政職)

市区町村職員(行政職)

市区町村は、公的な保険・医療・福祉・介護サービスの中核を担っています。また、介護保険の保険者であり、住宅改修については市区町村職員が窓口となり、保険給付の決定を行っています。

介護支援専門員は、利用者からの住宅改修の申し入れがあった際には、相談に乗り、住宅改修の工事着工前に市区町村の窓口で必要な書類である(住宅改修が必要な理由書等)を揃え申請手続きを行います。

介護福祉職は利用者の移動動作や日常生活動作に困難さがみられた場合に、利用者や家族の住宅改修についての相談に応じ、情報提供することがあるため、住宅改修の制度や仕組みについて理解しておくことが必要です。

4⃣建築関係者

建築士は、建築物の設計や工事の管理を行う技術者です。住宅の改修にあたっては、住まいの工夫や適応の可能性など専門的な立場からアドバイスします。

自治体によっては介護保険制度の住宅改修を適切に活用してもらおうと、

  • リフォームヘルパー制度
  • 住宅改修アドバイザー制度(市が委託した建築士、理学療法士、作業療法士等で構成されている)

等が、家屋の条件や本人の身体状況に合わせて最も使いやすく安全な住宅改修を行うために専門的な立場からの助言を行います。

住宅改修の申請は介護支援専門員が市区町村の窓口の介護保険、住宅改修担当者へ提出する流れになっていますが、建築士は、利用者の身体状況や生活環境に考慮した改修プランを作成するスキルを持っているとは言い切れないため、介護支援専門員や介護福祉職からの情報提供が求められます。

住宅改修を依頼できる主な業者には、工務店やハウスメーカー、建築設計事務所があります。

工務店とは、主に個人需要の住宅建築を請け負う比較的小規模な建築業者のこと。その多くは、設計から施行までを一括して依頼することが出来ます。施工業者は、改修工事の専門家ですが、介護保険制度の内容や介護に関する知見がないために、申請された改修計画が利用者の身体状況に合ったものとなるように介護支援専門職や介護福祉職、理学療法士や作業療法士、看護師などが持っている情報を共有し連携することが求めらえます。

住宅改修では、建築関係職の専門的知見と技術を参考に多職種が利用者の状況をアセスメントし、より良い生活環境の整備に向けて連携することが大切です。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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