介護総合演習

【訪問介護とは?】サービス内容や利用者の要件について vol.106

2020-09-27

こんにちは 介護ラボ・kanalogのカナです。今回は・・・

訪問介護(身体介護と生活援助)について

訪問介護とは

1⃣どのようなサービスなのか?

訪問介護とは

訪問介護(ホームヘルプサービス)は、介護福祉士などの訪問介護員が、利用者の居宅を訪問し、「入浴」「食事」「排泄」などの介護、「調理」「洗濯」「掃除」などの家事等を提供するサービスで、介護保険法に位置づけられます。

訪問介護の始まりは、1956年(昭和31)に長野県の上田市や諏訪市など、13市町村で行われた「家庭養護婦派遣事業」に遡ります。

1958年(昭和33)には、大阪市において、「臨時家政婦派遣制度」が創設され、翌年には「家庭奉仕員派遣制度」と改称されました。不治の疾病、傷害などのために火事処理者が通常の家事業務を行うことが困難な場合に、原則として1カ月の期間内で派遣されました。

その後、1963年(昭和38)に老人保健法が制定され、老人家庭奉仕員事業は国が費用の一部を負担する国庫補助事業となり、「老人の家庭を訪問して老人の日常生活上の世話を行う者」として法でも示されました。

1989年(平成元)には、高齢者保健福祉推進十か年計画(ゴールドプラン)で、緊急に整備すべき施設と在宅サービスの数値目標が定められました。そして、この時から「家庭奉仕員」はホームヘルパーという名称が用いられるようになりました。

訪問介護員

そして、2000(平成12)に会した介護保険制度で、ホームヘルプサービスは、「訪問介護サービス」として制度化され、ホームヘルパーは「訪問介護員」と改称されました。

介護保険制度では、民間企業などの参入も図られ、サービスは利用者と事業者間での契約によって始まるようになりました。また、要支援者を対象とした介護予防訪問介護は、2015年(平成27)の介護保険法の改正により、介護予防・日常生活支援総合事業に移行されました。

その中で、介護予防・生活支援サービス事業の「訪問型サービス」として位置付けられました。これにより、NPO、民間事業者など多様な担い手による生活支援サービスが提供され、利用者も多様なサービスを選択することが可能になっています。

2⃣どのような人たちが利用しているのか?

利用要件

訪問介護は、介護保険制度の要介護認定において、要介護1~5の認定を受けた人が対象になります。

対象となる人は、1人暮らしや夫婦2人暮らしであったり、子ども夫婦と同居していたりと様々な暮らしをしていますが、支援が行われるのは「利用者」になります。

また、認知症や身体機能疾患、精神疾患のある人など、症状もさまざまで、それに加え、今までの生活歴は1人ひとり違い、自宅内の生活習慣は個々により大きな差があります。

3⃣どのような生活や活動をしているのか?

活動内容とは

訪問介護を利用している時に、利用者はどのように過ごしているのでしょうか?
基本的に訪問介護を利用している時は、利用者にも出来る部分を一緒に行ってもらいます。
一緒に掃除をしたり、言葉かけや、会話の中で何をしたらよいのかを判断して、自分のペースで行ってもらいます。

例えば、掃除といっても、どこを掃除するかは利用者によってニーズが違います。身体の状態などから、自身の力で十分に出来ないことなどは代わりに行います。

他にも、リウマチなどで手の力が入りにくく、重たいゴミ袋を片手でゴミ出し場まで持って行くことが難しい場合、ゴミ出しをする前にごみの種類を分別するなど、出来る部分の作業は行ってもらいます。

このように、訪問介護員が訪問している時に、利用者は座って何もしないのではなく、出来ることは自分で行ってもらいながら過ごしています。

利用者が持てる力を生かしながら、訪問介護員と一緒に在宅での生活に必要なことに取り組んでいるのです。

4⃣どのようなケアを行っているのか?

訪問介護におけるケアは「身体介護」と「生活援助」の2つに分けられます。

身体介護

身体介護とは?
「食事介助」「入浴介助」「移動・移乗介助」「排泄介助」「通院などの介助」などがあげられます。
身体介護は、日常生活の中で利用者自身の力では難しいことや、家族の介護では負担が大きい場合に行います。

介護を行う際には、決まった時間に決まった訪問介護員が対応することが多いです。普段の様子を把握出来ている訪問介護員が対応することで、利用者の普段とは違う状態に気付き、必要な対応が出来ることになります。

多くの場合は、1人での訪問になるので、訪問介護員個人の介護技術や知識が必要になります。それぞれの自宅での環境は施設のようなバリアフリーでなかったり、専門的な器具などがない場合も多く、個々の環境に合わせた対応を考え、最善策で介護を行うことが出来る力を身につけておく必要があります。

利用者や家族が自宅で過ごしている時に、いかに不快な思いや、苦痛を感じないように過ごす事が出来るかを工夫し、介護していく視点が身体介護には大切になります。

生活援助

生活援助とは?
生活援助内容として、「掃除」「洗濯」「調理」「買い物」「ゴミ出し」などがあげられます。

例えば、洗濯をする場合、

「どの作業が難しいのか」

を、担当の介護支援専門員(ケアマネージャー)と共有します。

その中で、「洗濯機を動かす」「洗濯物を干す」「洗濯ものを取り込む」「洗濯ものをたたむ」どの作業が難しいと感じているのかを把握する必要があります。

こうした情報は、訪問介護や通所介護(デイサービス)、医療機関などの関係事業所や関係者が参加した話し合いので確認することが多いです。

共有出来た作業を細かく分ける中で把握できた難しい部分、転倒などのリスクが高い部分を介護します。また、訪問介護員は日頃から利用者の自宅へ支援に入ることで、継続的にその人の生活を見ていくことになります。

続けてみていくことで、今まで出来ていたごみの分別が出来なくなっていたり、冷蔵庫の中に同じようなものばかり買っている様子が見られたりすることに、1番に気付くことが出来ます。

そのような視点が生活援助では大切であり、その視点で気が付ける観察力や考察力を持っているのが訪問介護員なのです。

5⃣どのような人たちと一緒に働いているのか?

他職種協働(どのような人達と一緒に働いているか)
🔸医師
利用者が昔から通っていた主治医であったり、最近では定期的に通院することが難しくなってきた人を対象に、訪問診療を行う場合もあります。

🔸看護師(准看護師・保健師)
訪問介護サービスとして、看護師等が自宅に訪問します。医療的なニーズに対応をしたり、身体介護にあたるケアを行う場合もあります。訪問介護と共に定期的に生活にかかわりながら、医療面と生活面を合わせて総合的にケアを行います。
🔸薬剤師
薬剤師が自宅へ処方箋を持って行ったり、服薬指導などの居宅療養管理指導を行ったりします。また必要に応じて体調を確認し、主治医に服薬処方の相談などを行います。

🔸介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護保険サービスが利用できるように、各種手続きや申請を行います。また他職種がかかわる場合は、チームケアの中心に立ち様々な情報をまとめ、今後の介護の方針などを示していきます。

🔸管理栄養士
自宅に訪問し、食事指導や栄養相談などの居宅療養管理指導を行います。また、本人に合わせた調理の方法なども指導します。

🔸理学療法士(PT)作業療法士(OT)
訪問リハビリテーションや訪問看護の中でリハビリテーション専門職として訪問します。自宅での実際の生活上の動きに合わせてリハビリテーションを行います。また、利用者や家族に自宅でもできるリハビリの方法を指導し、専門職がかかわることが出来ない時間も、より効率的に継続した支援を行うことが出来るかを視点に取り組みます。
🔸言語聴覚士(ST)
訪問リハビリや訪問看護の中でリハビリの専門職として訪問します。誤嚥を予防する訓練などを効果的に実施します。

🔸歯科衛生士
歯科医師などの指示のもとで訪問し、口腔ケアを定期的に行います。また利用者や家族、訪問介護員も取り組むことが出来るように自宅で出来ることを指導します。

🔸民生委員
1人暮らしの高齢者、生活に困っている人、障害のある人を対象に、生活状況の把握や安否確認の訪問をします。また必要に応じて地域包括支援センターに相談します。

🔸福祉用具専門相談員
1人ひとり違う家庭環境の中で、下肢筋力の状態や、骨折などによる一時的な身体機能の低下がある場合に、どこに手すりや福祉用具を設置ですれば一人で安全に動くことが出来るかなどを提案します。

6⃣他の職種の人とどのように協働しているのか?

他職種協働

1人の生活をサポートしていくということは、様々な職種の人と関わることになります。
訪問介護では1冊のノートを共有し、訪問介護員だけでなく、他の職種の人たちも訪問時の記録を記入します。
訪問する時に、まずノートを読み、利用者の様子を確認することが大切です。そうすることで、他の職種の人たちとどのような情報を共有すればよいか見えてきます。

その際、1人では判断出来ないことや、不安に感じたことなどは、その都度報告・連絡を繰り返しながら、関わっている事業所全体で情報共有していくことが求められます。

改善が必要な項目に関しては、介護支援専門員と共に取組事項を検討し、改善に繋げます。

ノート以外の共有情報として、事業所独自の記録用紙や電話連絡、タブレット端末、ケアカンファレンスなどがあります。例えばケアカンファレンスは、利用者の状況などで、ノートや間接的な情報共有では解決が難しい場合や、早期の対応が必要な場合などで実施します。

訪問介護を行う職員が集まって必要な情報をその場で共有し、統一した対応を出来るようにします

7⃣介護福祉職はどのようなチームを組んでいるのか?

チームケア

利用者の自宅に訪問するのは1人の決まった訪問介護員だけとは限りません。訪問する曜日が多ければ、多くの訪問介護員が担当することもあります。
その際、曜日によって支援の内容が大きく異なっていてはいけません。訪問するか訪問介護員が複数になっても、統一された支援を提供するためには、互いに次のような情報を共有していく必要があります。

チームとしての情報共有
🔹身体機能の変化
自宅の掃除や洗濯ものの片付けなど、いつもは出来ている家事が出来ていない場合や、季節に合った空調管理や衣類の選択ができていないことに気付いたときは、すぐに情報共有する必要があります。
身体の変化については、自宅内で転倒してしまった場合など、今まで出来ていた動作ができないこともあります。また歩行や日常生活動作(ADL)などが不安定になってきたときに早期に気付く必要があります。

🔹自宅の生活環境の変化
自宅の片付けや物の位置などが大きく変化していないかをまず把握する必要があります。
また手すりが取れ掛かっていないか、冷蔵庫や洗濯機の調子が悪くなっていないかなども利用者の生活を見ていく中で気づく必要があります。

🔹家族の変化
自宅で介護をしている家族や、別に住む家族がどのような状況にあるのかを把握しておく必要があります。特に近くでいつも介護をしている家族の身体的な変化や精神的な変化は早期に気付き、必要な対応をしていくことが大切です。
自宅で介護をしている家族は、いつもそばで利用者の事を考えています。そば普段との表情の違いや、ふと漏れた言葉などに気付き情報を共有することが求められます。

このように複数の訪問介護員がかかわっている場合、利用者の状態の変化などで早期に気づいた事は、共有し対応していく必要があります。

その時に、原因や根拠(エビデンス)がある情報を共有できると、より支援の仕方を工夫することが出来ます。そのためには「なぜそのような状態になっているのか?」ということを探求する視点も必要になります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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