こんにちは。介護ラボ・kanalogのカナです。
前回に引き続き、「認知症」ですが今回は・・・
アルツハイマー型認知症の進行過程とは??
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認知症の特徴
❶認知症の有病率は5年毎に倍増
2013年(平成25)年の認知症の有病率(その年代の人の中で何%の人がその病気であるかを表す比率)の実態調査や若年性認知症の調査から、年齢が5歳上がる毎に、有病率はほぼ倍増することが分かっています(90歳以上は倍にまでは増えません)。
このことから、加齢こそが認知症の最大のリスク要因だと分かります。
95歳以上では有病率が約80%という数字は、「日本人は長生きできるようになったが、95歳以上長生きしていると大部分の人が認知症になる」ということを示しています。
ちなみに、日本人の高齢者は、死亡するまでに約50%の人が認知症になるといわれています。
認知症の人の数は2015年(平成27)には500万人を超え、今後も増え続けて、2025年には約700万人に達すると予測されています。
❷認知症の原因疾患(表)
- ✅認知症の原因疾患(認知症様症状を示す疾患を含む)
- 1.変性型認知症
❶皮質性認知症:アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病やFTDP-17を含む)、嗜銀顆粒性認知症
❷皮質下性認知症:進行性核上性麻痺、認知症を伴うパーキンソン病、大脳皮質基底核変性症
❸辺縁型認知症:神経原繊維変化優位性老年期認知症
2.脳血管性認知症
❶大脳皮質病変型
❷皮質下病変型
❸重要部位病変型
❹血管炎:SLE、結節性多発動脈炎
3.脳内病変によるもの
1⃣脳を圧迫する疾患
❶正常圧水頭症
❷慢性硬膜下血腫
❸脳腫瘍、脳膿瘍
2⃣感染症
単純ヘルペス脳炎(後遺症)、AIDS脳症、進行麻痺、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病)
3⃣自己免疫疾患
多発性硬化症、神経ベーチェット病
4⃣頭部外傷後遺症
4.全身疾患に伴うもの
1⃣内分泌・代謝性疾患
❶カルシウムなどの電解質:副甲状腺機能低下症、腎不全
❷糖代謝:低血糖、高血糖
❸甲状腺機能:甲状腺機能低下症
2⃣欠乏症:ビタミンB12、B1(ウェルニッケ脳症)
3⃣中毒:アルコール、有機水銀、鉛、シンナー
4⃣低酸素症:呼吸不全、心不全、貧血、CO中毒
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【認知症とは何か?】定義と診断基準、認知症状の全体像について vol.65
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【①認知症の重症度判定】日常生活自立度判定基準とは? vol.204
【アルツハイマー型認知症の原因疾患】病態・症状・経過について vol.205
【血管性認知症の原因疾患】病態・疾患・経過について vol.206
【レビー小体型認知症の原因疾患】病態・疾患・経過について vol.207
【前頭側頭型認知症の原因疾患】病態・疾患・経過について vol.208
【3種類の治療可能な認知症】病態・疾患・経過について vol.209
【若年性認知症とは?】病態・疾患・経過、認知症鑑別診断(DDQ-43) vol.210
【①認知症の中核症状とは?】記憶障害・見当識障害・遂行機能障害について vol.211
【②認知症の中核症状】空間・視覚・社会的認知障害について vol.212
【③認知症の中核症状:失語・失行・失認】病識保持事例と病識低下事例の比較 vol.213
❸多様な原因疾患
認知症を引き起こす疾患は多様です。
脳の神経回路網にダメージを与えて認知機能を低下させる原因疾患は様々ですが、頻度の高い疾患は限られています。
高頻度のものから順に・・・
①アルツハイマー型認知症:過半数
②レビー小体型認知症と血管性認知症
③前頭側頭型認知症(ピック病)や正常圧水頭症
④脳腫瘍や頭部外傷や心臓や肺、腎臓の内科疾患
(脳や心臓、肺、腎臓の内科疾患も認知機能低下を引き起こす原因となることがある)
④脳腫瘍や頭部外傷や心臓や肺、腎臓の内科疾患は、早期の適切な治療で認知症の症状は改善するので、利用可能な認知症と言われています。
※睡眠薬が原因で認知症の状態になっていたり、うつ病が原因で認知症の状態になっている事例もしばしばありますが、薬の中止やうつ病の治療で、認知症の状態から回復するので真の意味での認知症ではありません。
❹進行性の経過
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は、進行性の経過をたどります。
適切な治療で一時的に症状が改善しても、長期的には進行してきます。
血管性認知症は、適切な治療やリハビリテーションで進行が停止したり、改善し、その状態が継続することおあり、必ずしも進行性ではありません。
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❺アルツハイマー型認知症の進行過程
アルツハイマー型認知症を例にとって、脳病変の進行と合わせた症状の進行を説明します 。
アルツハイマー型認知症の脳病変ができ始めても、そのダメージが少ないうちは症状が出ません。この状態が約20年続きます。脳病変が広がりダメージが強くなってくると健忘が出ますが、生活管理能力が保たれているMCIのステージとなり五年くらい続きます。
そしてさらにダメージが広がると、認知症を発症し、発症以降をアルツハイマー型認知症といいます。
そして健忘と見当識障害、IADL(手段的日常生活動作)の低下が中心の軽度のステージ、入浴や更衣などのADL(日常生活動作)が低下し始める中等度のステージ、そしてADLには手助けが必要で認知機能が正常な人には理解し難い行動や尿失禁が出てくる重度のステージを経て、運動機能の低下から歩行困難、パーキンソニズム、発語困難、そして嚥下障害が出て誤嚥性肺炎を頻発する終末期に行ったり、全経過から10年から15年で死亡します(個人差が大きいです)。
認知症の進行は脳病変の影響だけでなく、環境や本人の生き方などの影響を強く受けます。その人に日課や役割があり、自己決定が尊重されて、生きがいを感じながら生活していると、進行が遅れる傾向があります。
一方、役割や他者との交流がなく、不活発で閉じこもった生活を送っていたり、自己決定を奪われ、何でもしてもらえる介護環境にいると、進行が早まる傾向があります。
自立・自立支援の適切なケアが生命予後を改善します。
- ✅アルツハイマー型認知症の進行過程
- 【無症状期】
●症状:なし ●生活:自立
【軽度期】
●症状:健忘、見当識障害 ●生活:生活管理が困難
【MCI期】
●症状:健忘のみ ●生活:自立
【中等度期】
●症状⇒健忘、見当識障害、遂行機能障害 ●生活:生活管理破綻、ADL一部介助
【重度期】
●症状:健忘、見当識障害、遂行機能障害、失行・失認症状 ●生活:ADL介助
【終末期】
●症状:会話不能 ●生活:寝たきり、嚥下困難
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