人間の理解

【QOLという考え方】カレン裁判・ADLからQOLへという考え方 vol.640

2022-03-15

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「人間の理解」の中から『QOLという考え方』について書いていきます。

医療分野でのQOL

Contents

1.QOLという考え方
 1⃣医療分野でのQOL
 ◉カレン事件(カレン裁判)
 2⃣ADLからQOLへ

1.QOLという考え方

ノーマライゼーションと共に、社会福祉分野の支援に大きな影響を与えが考え方がQOL(Quality of Life:生活・生命・人生の質)です。

QOLという考え方は、1960年代、アメリカの社会経済学分野で使われ始め、その後1970年代後半には医療・リハビリテーション分野で使われ始め、その後1970年後半には医療・リハビリテーションの分野へ、さらに1980年代に入って社会福祉分野へ導入され、新しい価値観を伴う指標として用いられるようになりました。

そして、少子高齢社会の進展の中で、このような支援が必要なのは人生の最終段階だけではありません。どのような段階でも、

  • 病気の状況
  • 治療の内容
  • 経過
  • 結果
  • 副作用

などについて、医師から十分説明を受け、納得したうえでその治療やケアに同意するという「インフォームドコンセント」がきちんと行われていることが重要です。

最近では、たとえ相手が子どもであっても、「保護者への説明と同意」に加えて、子どもにもその病気や治療に関することを説明し、子どもが病気を受け入れ、主体的に病気と向き合うことが出来るよう同意を得る「インフォームドアセント」も求められるようになりました。

子どもにも分かるようにどう伝えるか、子どもが感じている不安や恐れ、疑問をきちんと口に出せる雰囲気が作れるか、関わる側の力量が問われています。

1⃣医療分野でのQOL

医療分野では、ターミナルケアの場面で「生命の質」や「人生の質」が問われ、アメリカでは、1975年のカレン裁判を契機に、1976年にリビングウィル(終末期医療における事前指示書)が、さらに「医療のためのアドヴァンスディレクティブ」が法制化されました。

アドヴァンスディレクティブは「リビングウィル」に加えて、それが効果を発揮すべき時に自分の意思決定能力が失われている場合の、医師への医療指示になります。

日本ではいずれも法制化はされていませんが、人生の最終段階に関する議論は行われています。

厚生労働省は2018年(平成40年)3月に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を公表しました。

2007年(平成19年)に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」が作成されて以降の11年ぶりの大幅改定となりましたが、最大の変更点は、「病院医療」だけでなく「在宅医療・介護」での活用を加え、医療ケアチームへ介護福祉職参画を明確にしたことです。

さらに、本人がどんな生き方を願い、どんな治療やケアを望むか、日頃から話し合う「ACP(アドアバンスケアプランニング:意思決定支援計画)」が重視されることとなりました。

ただ、この取り組みには、人生の最終段階を支える側の理解や社会的支援体制の整備が必要なことはいうまでもありません。介護福祉士の果たす役割も重要になるでしょう。

◉カレン事件(カレン裁判)

1975年、アメリカ・ニュージャージー州在住の、カレン・アン・クインランさん(Quinlan,K.A)当時21歳は、友人のパーティーで酒を飲み精神安定剤を服用したあと昏睡状態となり、意識を消失し呼吸が停止した状態で見つかりました。

カレンさんは脳が回復不能状態となっており、病院で人工呼吸器に繋がれ、経管栄養のチューブが付けられ、意識がないまま生命が維持されました。

その数か月後、植物状態に陥りやせ衰えていく娘の姿を見かねた両親は「機械の力で惨めに生かされるより、厳かに死なせてやりたい」と人工呼吸器を外すことを主張しましたが、病院側が反対したため、裁判を起こすに至ったのです。

「植物人間の娘に自然な死を」と、美と尊厳をもって死ぬ権利を求めて高等裁判所に提訴しましたが、裁判所は「カレンさんに意思決定が出来ないのであれば、人工呼吸器を外す判断は医師に委ねられる」と尊厳死を認めませんでした。

そのため両親は最高裁判所に上告し、訴えを続けました。1976年、最高裁判所は「人命尊重の大原則よりも、死を選ぶ個人の権利が優先されるべき」とし、カレンさんの父親を後見人と認め、人工呼吸器を外すことに同意できる主治医を選択する権利を与えました。

アメリカで尊厳死をめぐって争われたこの裁判は、世界中でセンセーショナルに報道され大きな話題となりました。

世界で尊厳死、自然史の概念が形成されていくきっかけの1つとなった裁判です。

判決後、別の病院でカレンさんの人工呼吸器は外されましたが、彼女は自力で呼吸を続け、人工栄養によりさらに9年間生き永らえました。カレンさんは植物状態のまま生き続け、1985年に肺炎で亡くなりました。

2⃣ADLからQOLへ

リハビリテーション分野では、「ADL(Activities Of Daily Living:日常生活動作)からQOLへ」という新たな価値観での援助の展開が目指されることとなりました。

  • 社会福祉分野でも、これによって援助場面での「自立」の考え方や援助目標が大きく変わりました。

社会福祉分野では、初期は経済的自立(自分で稼がなければ自立とは認めない)を目指し、それに該当しない重度の障害者は援助対象からも外されるという時代もありました。

また、ADLの自立が出来てこそ職業上の社会生活面での自立が可能となると考えて訓練を重視した時代もありました。

しかし、「ADLからQOLへ」という考え方は、経済的な自立が困難でも年金で生活し、ADLの自立が困難でも他人の手助けや福祉機器を利用し、そして自分らしい人生を取り戻していくという人間本来の尊厳を重視した自立への道を示しました。

ただ、残念ながら、スローガンとしては定着してきているQOLも、実際の制度運用場面、とくに補装具や福祉機器の申請に係る場面では、例えば杖歩行が出来る人には車いすは支給しないなど、まだADLのレベルで自立が判断されているのが日本の現状です。

QOLというレベルで考えると、杖歩行できる距離が限られている場合は、車いすも支給さなければ、行動範囲は広がらず自分らしい生活は実現できないかもしれません。

また、介護保険制度の創設時に厚生労働省が設置した高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書(「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」1994年(平成6年)12月)では、「介護が必要となった場合には、高齢者が自らの意思に基づいて、利用するサービスや生活する環境を選択し、決定することを基本に据えたシステムを構築すべきである」ことを盛り込み、介護保険法でも「高齢者の自己選択による尊厳を重視する」ことが強調されました。

2017年(平成29年)の介護保険法改正でも「自立支援」が強調されていますが、その内容は、地域ケア会議での自立支援・重度化防止の視点からのケアプランのチェックや、通所介護(デイサービス)での、「ADL維持等加算」新設など、「自己選択による尊厳の保持」というよりADLレベルの自立、「介護予防」に重点が置かれたものとなっています。

「QOLからADL」へと逆戻りしないように、「自立支援」の考え方の歴史的変遷と現在の到達点をしっかりと抑えつつ、現実的な対応を考えていく力が求められています。

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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