人間の理解

【生命倫理】「この子らを世の光に」の糸賀一雄氏とは?? vol.641

2022-03-16

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「人間の理解」の中から『生命倫理』について書いていきます。

生命倫理の誕生とあるべき姿を求めて

Contents

1.生命倫理
 1⃣生命倫理の誕生とあるべき姿を求めて
 2⃣生命倫理と福祉労働(介護福祉労働を含む)
 ◉糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」、福祉とは何か??

1.生命倫理

1⃣生命倫理の誕生とあるべき姿を求めて

医療分野でのQOLの追及や、社会福祉分野でのADLからQOLへ、という流れは、1950年代以降の「臨床医療の技術革新」やそれに伴う「医学実験の規制」、そして患者の意向を尊重しない医療の在り方に対する「患者の権利運動」などの影響を受けながら、1970年代のアメリカで、『生命倫理』という新たな学問領域を誕生させました。

1950年代以降の麻酔医療の進歩は蘇生学を発達させました。

人工呼吸器をはじめとして様々な生命維持装置が開発され、脳死状態を維持できるようになり、心臓移植をも可能にしました。

このような「臨床医療の技術革新」で生命のコントロールが可能となり、人間の生命観や死生観は多様化していくことになりました。

第2次世界大戦化のナチス・ドイツの戦争犯罪(人体実験)を裁いたニュルンベルク裁判を経て、1947年には「ニュルンベルク綱領」(研究目的での医療行為を行うにあたって必ず守るべき10項目の原則)が、1964年には「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」(ヘルシンキ宣言)が出されるなど、「医学実験の規制」が加えらえてきました。

さらに、1960年代以降、ベトナム戦争に反対する平和運動や人種差別撤廃運動などの流れの中で、「患者の権利運動」が起こり、インフォームドコンセントという概念の形成に繋がっていきました。

  • 生命倫理は、このような社会背景の中で、1970年代のアメリカで生まれた新しい学問領域です。

その後、ヒトゲノム・遺伝子解析研究などに取り組む生命科学・生命工学の進展により、今だけでなく、まだ誰もわかっていない、これからの生命のあり方をも議論し、検討し続けることが求められています。

生命倫理というと、死や人生の最終段階の倫理というイメージが強くなりますが、生命倫理は、人の誕生から死に至るまで、そのライフサイクル全てにかかわる学問であり、より多くの人達が、身近な問題として、

  • 「その人らしく生きること」
  • 「どのような社会をつくっていきたいか」

などとかかわらせて考えていくことが必要だといわれています。

2⃣生命倫理と福祉労働(介護福祉労働を含む)

ただ、最近の生命倫理に関する動向を見ていると、終末期(人生の最終段階)に限らず、むしろ不妊治療や代理母、遺伝子診断などの生殖補助医療の領域に重点が起かれているように思います。

少子化対策の一環なのでしょうが、新出生前診断なども行われるようになり、再び生命の質が問われるようになってきています。

福祉の分野では、医療からも福祉からも対象とされず、公的施策もなかった時代に重度心身障害児を受け入れた「びわこ学園」の創設者である糸賀一雄氏は、1968年にその著書『福祉の思想』で、

  • 「ちょっと見れば生きる屍のようだとも思える重症心身障害児のこの子が、ただ無為に生きているのではなく、生き抜こうとする必死の意欲を持ち、自分なりの精一杯の努力を注いで生活しているという事実を知るに及んで、私たちは、今までその子の生活の奥底を見ることが出来なかった自分たちを恥ずかしく思うのであった」
  • 「この子らはどんな思い障害を持っていても、だれと取り替えることのできない個性的な自己実現をしている」と述べ、
  • 「その自己実現こそが創造であり、生産である」
  • 「この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよ磨きをかけて輝かせようというのである」

すなわち、

  • 「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」

なのだと問題提起をして、世界から注目されました。

糸賀氏はまた、重度心身障害児も「普通児と同じ発達のみちを通る」ことを示し、「この子らが、生まれながらにして持っている人格発達の権利を徹底的に保証せねばならぬということなのである」「私たちの願いは、重度な障害を持ったこの子たちも、立派な生産者であるということを認め合える社会をつくろうということである」と述べています。

さらに、1998年にノーベル経済学賞を受賞した福祉経済学者のアマルティア・セン(Sen,A.)は、「福祉(well-being)とはなにか」という問いに対して、「潜在能力(capability)の全面発達」だと答えています。

利用者の一番身近で生活支援を行う私たちの仕事は、利用者の潜在能力を引き出し、その発達を保障する労働であることが求められています。

生命倫理が、人の誕生から死に至るまで、その人がどんな状況であっても、その人らしく生き生きと生命を全うし、本人や周囲が納得して終わりをむかえるために、それを支える条件を幅広くつくり出し、実践する学問であることが大切です。

生きることを社会的側面から支える仕事に携わる私たちは、「生命倫理の4つの視点」、

  • 自立尊重
  • 善行
  • 無害性
  • 正義

を意識した実践を通して、これからの生命倫理のあり方に一石を投じることが出来るのかもしれません。

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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