【①認知症の病理】脳の構造と症状との関係 vol.69

こんにちは 介護ラボ・kanalogのカナです。「認知症の病理」ですが、今日と明日の2回に分けて書いていこうと思います。

認知症の病理、脳の構造と症状との関係について

Contents

1.認知症の病理
2.アルツハイマー型認知症の進行は発達を逆行
3.脳の構造と症状との関係

1.認知症の病理

まず初めに認知症の定義から。

介護保険法第5条の2によると、認知症の定義は・・・
「脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化」となっています。

アルツハイマー病:たんぱくの蓄積が始まっても無症状な時期、MCIの時期、認知症の時期の全期間を表す用語としてアルツハイマー病が使われる。

器質的な変化とは、肉眼や顕微鏡を使って脳を調べると脳組織に見つかる病的な変化になります。脳がダメージを受けている証拠が見つかる状態のことです。

例えば、脳血管疾患であれば、脳梗塞で組織が溶けたところや脳出血の血の塊が肉眼で見つかります。他に、脳炎、脳腫瘍、脳挫傷、中毒などが含まれます。

一方、統合失調症やうつ病などの精神疾患は脳組織を調べても病変が見つからないので機能的な変化と言われます

では、脳にどのような器質的変化が生じて認知症になるのか、アルツハイマー型認知症を例にとって書いていきます。

アルツハイマー型認知症の脳を顕微鏡で調べると、

老人斑

神経現繊維変化

という2つの病理変化がみられることを、アルツハイマー医師(Alzheimer,A.)が、1911年に報告しました。この老人斑は、βたんぱくというたんぱくが、神経細胞の周囲に多量に異常蓄積して生じたものだということや、神経現繊維変化は、タウたんぱくが神経細胞内に多量に異常蓄積して生じたものだということが、1980年代に明らかにされました。

老人斑
神経細胞の外にβたんぱくが重合したアミロイド繊維として大量に沈着したもので、球場の者が多い。特殊な染色をして顕微鏡で見つかる病変。

神経現繊維変化
神経細胞の中にタウたんぱくが繊維状に異常蓄積した構造物。徐々に大きくなり、いずれ神経細胞が死んでしまうと、細胞の外に取り残される。特殊な染色をして顕微鏡で見つかる病変。

βたんぱく
大きなたんぱく(βたんぱく前駆体)の一部が切り出されて産生される。正常な脳でも産生されているが、ある年齢(早いと40歳代)から脳に沈着が始まる。

アルツハイマー型認知症を発症から25年遡るとどのような変化になるのか』、そのプロセスを書いていきます。

●まず大脳皮質のごく一部にβたんぱくが老人斑として沈着し始めます(この沈着は徐々に範囲を広げていきますが、初めの20年位は無症状です)。※認知機能には余力があるので、少しくらいのダメージでは症状がでない。

●βたんぱくの異常蓄積が始まって10年以上経過すると、タウたんぱくの異常蓄積が徐々に始まり、量を増やしていきます。こうしてβたんぱくの沈着開始から20年位すると、物忘れが目立つようになります。物忘れが強くなっても生活管理能力が保たれていれば認知症ではないのでMCI(軽度認知障害)となります。

●そして、MCIが5年ほど経過すると、生活管理に破綻が生じて、いよいよアルツハイマー型認知症を発症します。そのころにはβたんぱくとタウたんぱくの異常蓄積が大脳全体に広がっています。徐々に症状が重度化し、10~15年の経過で燃え尽きるように死亡します。

レビー小体型認知症では、αシヌクレインというたんぱくが中枢神経系だけでなく、末梢自律神経系にも異常蓄積します。そして蓄積が始まっても認知機能低下が暫くの間は出現せず、便秘やうつが認知機能低下よりも先に現れます。

2.アルツハイマー型認知症の進行は発達を逆行

小児くん

小児の発達課題から考察すると、「見る」「聞く」「動く」といった生活に必須な活動に関する一次領野は早くから発達します。
一方、高次脳機能を分担する連合野は時間をかけて思春期までにゆっくりと発達します。

アルツハイマー型認知症では、連合野に病変が沢山出来てダメージが強く、その一方で一次領野の病変は比較的軽く、末期に近付くまで機能が保たれる傾向があります。

これはアルツハイマー型認知症は終末期近くまで歩くことができ、見たり聞いたりも出来ますが、情報分析力は早期から低下するということからも分かります。

人間が生まれたときの脳重量は400g程度です。それが成人では1300gほどに発達します。

約3倍の重さになるのは、神経細胞の数が増えるのではなく軸索という神経突起に髄鞘が巻き付いて、神経伝導速度が速くなることと関係しています。

髄鞘の無髄神経線維が有髄化することで、情報処理スピードがあがると同時に脳重量が増えるのです。この髄鞘化は一次領野が先行します。連合野はゆっくりと髄鞘化していきます。

思春期に向かってゆっくりと連合野(高次脳機能の領域)が発達することを書きましたが、アルツハイマー型認知症の進行過程はこの発達過程を逆行します。
髄鞘化が遅かった連合野から障害されるので、「遂行」「思考」「判断」などの人間で発達した高次脳機能から先に障害されます
そして後から一次領野も障害されるようになり、最後には赤ちゃんの認知機能・身体機能の状態に近づきます。
終末期が近づくと「運動麻痺」「パーキンソニズム」「てんかん」といった認知機能低下以外の症状も現れます。これらは廃用で二次的に生じるのではなく、アルツハイマー型認知症の脳病変が直接引き起こします。

3.脳の構造と症状との関係

認知症疾患(タイプ)

前頭葉の萎縮が強い行動障害型前頭側頭型認知症
・行動の抑制が効かず理性的な行動がとれない⇒「脱抑制」
・他人の気持ちに共感できない、社会のルールを守れない⇒社会脳機能の障害が現れる

側頭葉萎縮が強い意味性認知症
・聞いた言葉の意味が分からない、顔を見ても誰だかわからない⇒「相貌失認「」といった症状がみられる

アルツハイマー型認知症
・頭頂連合野の機能低下が早期から見られる
・視点取得困難⇒他者の視点で物を見られない
・空間認知障害がみられる
・側頭連合野や前頭連合野の機能以下も伴う
・海馬領域の病変により、新しいエピソードを記憶できない
・嗅脳には早期からの病変出現により嗅覚低下が初期から現れる(認知症でダメージを受ける部位は大脳皮質に限らない)

レビー小体型認知症
・後頭葉の機能低下が他の部位よりも強い、幻視などの視覚に関する症状が出る
※幻視:実際には見たものを別なものと見間違える錯視であることが多い
・大脳基底核や脳幹部にも現れるので、症状(覚醒レベル)の変動やパーキンソニズムなどを引き起こす
・中枢・末梢自律神経系の障害が便秘や起立性低血圧などの認知機能障害以外の症状を引き起こす
・嗅脳には早期からの病変出現により嗅覚低下が初期から現れる(認知症でダメージを受ける部位は大脳皮質に限らない)

血管性認知症
・血管障害が生じた場所に応じて異なる症状が出る
・大脳皮質の障害部位に応じた「遂行機能障害「失認」「失行」「失語」
・様々な「高次脳機能障害」や「前頭葉白質の虚血」による「アパシー」や「うつ」
・大脳基底核の病変による「パーキンソニズム」
・両側大脳白質病へによる「仮性球麻痺(構音障害と嚥下障害)」など多彩にわたる症状が現れる

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