【③認知症の中核症状:失語・失行・失認】病識保持事例と病識低下事例の比較 vol.213

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は認知症の「中核症状」について、今日から3回にわけて書いていきます。

認知障害以外の神経症状とは?

Contents

1.失語・失行・失認
2.病識低下
 1⃣病識保持事例と病識低下事例の比較
3.認知障害以外の神経症状

1.失語・失行・失認

高次脳機能障害の「失語」「失行」「失認」は、本来は脳卒中など脳が狭い範囲内で壊れて生じる疾患で現れる症状で、巣症状と言われます。一方、認知症の病変は脳全体に広がり、ダメージは広い範囲に渡るので、今回はこの3つの症状をまとめていきます。

言語に密接にかかわる脳領域を言語野と言いますが、「アルツハイマー型認知症」や「レビー小体型認知症」では、言語野のダメージが進むのは認知症が進行してからで、言葉は忘れますが文法などの言語機能は重度期まで保たれます。しかし、思考すると複雑な文章の聴覚的理解が苦手になり、終末期が近づくと発語も少なくなります。

意味性認知症という左側頭葉萎縮が強い「前頭側頭葉型認知症」があります。このまれなタイプでは、初発症状が言語機能の低下で、物の名前が出なくなる語義失語になります。一部の例外を除くと、言語機能は認知症が重度になるまでほぼ保たれます。

アルツハイマー型認知症」が進行すると、椅子に座るといった簡単な動作が命じられても出来なくなります。それでいて、何かの拍子にはすっと座ります。運動麻痺で動作が出来ないのではなく、自動的にはその動作ができ、命じられると思うようにできないので「失行」という概念に近いのです

服が着られなくなることは「着衣失行」といいます。介護現場では、歯ブラシやハサミなどの道具が使えなくなる観念失行や、指示された動作が行えない観念運動失行がみられることがあります。

観念失行、観念運動失行とは?

観念失行では、個々の運動は出来るが複雑な一連の運動が困難になる。例えば、お茶の茶葉を急須に入れたお湯を注ぎ湯飲みに注ぐ動作や、ハサミを使って封筒を開く動作などが困難になる。観念運動失行では、自発的な動作は可能なのに、命令されるとその動作が出来ない。

認知症が進行すると、トイレに行ったとき便器を認識できない、食事の時お皿の模様をおかずと間違えて箸でつまもうとするなどの「視覚失認」も見られます。「血管性認知症」で右大脳半球に損傷があると、左の半側空間無視や、左半身の身体失認を伴うことがあります

2.病識低下

「病識」とは、自分の障害を自覚して、その程度を正しく把握することです。この病識が低下し、自覚に乏しい状態が「アルツハイマー型認知症」や「前頭側頭葉型認知症」では高頻度に現れます。そして病識が低下しているとBPSDが増え、服薬管理が出来なくなっているのに服薬支援などの介護の受け入れを拒否したり、財産管理に支援が必要なのに自分で出来るといってアドバイスを聞き入れなかったり、といった介護上の困難をたくさん引き起こします。本人は病識が低下するほど鬱になりにくいのですが、病識が低下するほど家族の介護負担は増えます。認知症の人の病識がどの程度かを把握することは、本人の気持ちに寄り添ったケアを行う上で必要にななことになります。

病識の低下は、MMSE:ミニメンタルステートテストやHDS-R:長谷川式認知症スケールといった認知テストではわかりません。SED-11Q:認知症初期症状11項目質問表を本人と家族に同時に記入してもらうと、その認識の違いの差から病識低下の程度が判明します。例えば中等度のアルツハイマー型認知症では、家族介護者が平均9項目チェックしますが、本人は1.5項目しかチェックしません。進行と共に本人のチェック数は減る傾向があり、介護者によるチェックとの差は大きくなります。

1⃣病識保持事例と病識低下事例の比較

【比較】病識保持事例と病識低下事例

障害の自覚
・病識保持事例⇒自覚あり
・病識低下事例⇒自覚に乏しく、自信過剰

代償・ケア
・病識保持事例⇒可能・受け入れる
・病識低下事例⇒不可能・拒否(例えば服薬支援拒否など)

適切な判断
・病識保持事例⇒可能
・病識低下事例⇒困難:財産管理、受診、運転免許返納など

危険
・病識保持事例⇒少ない
・病識低下事例⇒高い:運転、外出して戻れないなど

BPSD
・病識保持事例⇒少ない
・病識低下事例⇒妄想や暴言・暴力などの増加

情動
・病識保持事例⇒うつ傾向
・病識低下事例⇒多幸傾向、失敗の指摘に対する怒り

本人のQOL
・病識保持事例⇒低くなる
・病識低下事例⇒むしろ高い

介護者
・病識保持事例⇒影響が少ない
・病識低下事例⇒介護負担増大、介護者のQOL低下

病型
・病識保持事例⇒レビー小体型、血管性
・病識低下事例⇒アルツハイマー型、行動障害型前頭側頭型

3.認知障害以外の神経症状

アルツハイマー型認知症では、進行と共に脳病変が大脳皮質連合野から一次領野に拡大していき、終末期には運動機能が低下して寝たきりとなります。この運動麻痺もアルツハイマー型認知症の病変によって引き起こされる症状であり、廃用症候群で寝たきりになるものではありません。そして、運動麻痺だけでなく、パーキンソニズムも生じます。
さらに、「てんかん」「発語不能」「嚥下困難」「尿失禁」なども、脳病変の進展による症状です。最後は、大脳皮質全体の機能が失われた失外套状態となり死を迎えます(嚥下障害により唾液を飲み込めなくなるので経管栄養を行っても死に至ります)。アルツハイマー型認知症は死因になるという理解が必要です。

この他、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、早期から嗅覚低下が現れます。またレビー小体型認知症のREM睡眠行動障害も脳病変によって生じる症状です。レビー小体型認知症では病変が末梢自律神経系(脳以外)にも生じるので、便秘や起立性低血圧などを伴います。
※REM睡眠行動障害⇒夜中兄夢を見て反応して大声を出したり、立ち上がったり、蹴る動作などをすること。

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