こんにちは(^▽^)/
介護ラボ・kanalogのカナです。今回は・・・
障害受容の5つ段階と、4つの障壁、心理的支援の方法
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障害受容の過程
人は様々な欲求を現実の中で調整しながら、こころの安定を図り社会生活を送っています。
障害があることは、欲求を阻害する現実的に大きな要因の1つです。障害者はその現実を、どのように受け止めていくのかを理解する必要があります。
(1)障害の受容
障害の受容は、
①諦めたり開き直ったりするものではない
②障害があるから何も出来なくなった(価値がなくなった)ということではない
③出来ることに見を向けて積極的に生きていくようにすること
といえます。
障害受容を考えるうえで、「受容は大きく5つに分かれた段階的な過程で進む」という理論が一般的にいわれています。
- ショック期
- 否認期
- 混乱期
- 適応への努力期
- 適応期
これはあくまでモデルですので、全ての障害者に当てはまるわけではありません。また各段階で行ったり来たりすることもあります。
❶ショック期
受傷直後の状態です。
ショックを受けていますが、治療をしており「回復」するだろうと思っています。意外と不安は強くはありません。
❷否認期
障害が残るのではないかといった不安も出てきて、「自分には障害はない」と思うなど、障害があることを打ち消す拒否の適応機制が働いた段階です。
適応について…参考にして下さい⇒【適応とは】適応機制とライチャード・2つの分類 vol.22
❸混乱期
障害の告知を受け否認することが出来ず、周囲に当たり散らすなどの「攻撃」といった適応機制が働くことが多い段階です。
攻撃が内側に(自分に)向けられた場合、自分が悪いのだと悲観し、抑うつ症状が出たり、場合によっては自殺企図を起こしたりすることもあります。
❹適応への努力期
障害があっても出来ることがることに気付く(価値の転換)等、前向きな努力をします。障害者との交流や、新たな状況での学習をします。
❺適応期
❹の適応への努力期を経たて障害受容をします。「障害があっても出来ることがある」という新しい価値観を持って生きていく段階です。
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(2)環境的要因の影響
障害受容は当事者個人の問題だけではありません。
家族の態度や考え方、あるいは本人を取り巻く環境的要因(社会の姿)が大きく影響を及ぼします。
(3)欲求を阻害する障壁(バリア)
障害という心身の状況だけが、欲求を阻害する原因ではないということが大変重要な点です。
例えば、下肢の麻痺があり、歩行が困難で車椅子利用の場合、階段に上るといった動作自体は物理的に困難です。階段を上れないから電車に乗れず、会社に通えないという状況や、車椅子利用では雇用出来ないといった状況があると、以前に書いたマズローの集団への所属欲求・承認欲求が阻害されます。
【マズロー・障害のある人の心理】人間が持つ5つの欲求段階 vol.46
しかし、エレベーターが設置されれば電車に乗れ、通勤手段を自動車にすれば会社に通えることや、車椅子利用者を雇用する企業があれば、これらの欲求阻害は生じなくなります。
このように、障害自体ではなく、様々な「障壁:バリア」が心理的影響に深く関係しています。
障害者を取り巻く4つの障壁(バリア)
1⃣ 物理的障壁
歩道の段差、車いす利用者の通行を妨げる障害物、乗降口や出入り口の段差などの物理的な障壁
2⃣ 制度的障壁
障害があることを理由に資格・免許等の付与を制限するなどの制度的な障壁
3⃣ 情報の障壁
音声案内、点字、手話通訳、字幕放送、分かり易い表示の欠如などによる文化・情報面での障壁
4⃣ 意識的障壁
心無い言葉や視線、障害者をかばい守るべき存在としてとらえるなどの偏見などの意識上の障壁
(4)障害受容の道のり
「障害受容の道のり」とは、障害を受け入れるというよりも、障害があっても色々なことが出来ることに気づき、その気づきに基づいて、どのように自分の望む生活や人生を送っていくかを考え、自ら行動することで様々な経験を通じ、自己実現(それぞれの望む生き方)していくプロセスだといえます。
心理的支援の方法
それぞれの「障害受容の過程」の段階で、適切な支援、適切な情報提供をすることが、障害受容の過程を進めるうえで大切になります。
①障害の告知
- 受傷直後から暫くは生命の維持が第1の目的です。
全身状態が落ち着いた後、障害が残ることやその後の様々な可能性について、医師から正確に伝える必要があります。
本人は障害について正確な理解が出来ていないことが大半です。告知を受けることは大変ショックなことで、告知後のショック期から否認期、混乱期は非常につらい日々になります。
しかし「かわいそうだから・・・」「ショックを受けるから・・・」ということで正しい現実を伝えないのは、そのあとの段階に進んでいくことを遅らせてしまうことになりますし、のちにより大きなショックを与えてしまう可能性もあります。
家族や看護師、理学療法士や作業療法士などと共に、今後の可能性や支援することを伝える必要があります。
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②ピアサポート
「ピアサポート」は、同じ障害のある人たちと話したり、実際の動作をみたりすることにより、自分の可能性についてより具体的な情報を得ることが出来ます。
受傷してから同じような体験を共有する人と話すことは、自分の思いに共感してもらえたり、受け止めてもらえたりするなど、心理的な効果もあります。
③社会的障壁の除去
社会全体の考え方や取り組みとして、バリアフリーを推進していくことや、偏見のない正しい理解などが重要になります。
「階段が上れなければエレベーターを設置する」ことは、エレベーターを使用し障害者の社会活動が活発になることになり、ひいては障害者に限らず、子供や妊婦、高齢者などによる利用も便利になり、ますますバリアフリーが進むというように環境と障害者の活動・社会参加は相互関係になっています。
またICF(国際生活機能分類)では、障害者が障壁(バリア)を感じる場合、その原因は本人だけの問題ではなく、環境を加えた周囲との関係ととらえています。
社会的障壁を取り除くことが、障害者の障壁を取り除くことにも繋がっていきます。
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