【老年期】ハヴィガースト、エリクソン、ペック、レヴィンソン、バルテスの発達理論 vol.283

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「発達と老化の理解」の中から『老年期』について書いていきます。

老年期の発達課題とは?

Contents

1.老年期の発達課題
 1⃣様々な発達理論における老年期
 2⃣ハヴィガーストによる老年期の発達課題
2.エリクソンによる心理社会的葛藤と9段階
 1⃣第8段階:老年期
 2⃣第9段階:老年期超越性
3.ペックによる老年期の心理社会的葛藤
4.レビンソンによる老年期の発達課題
5.バルテスによる老年期
 ●「非標準的要因」
 ●「獲得と喪失」

1.老年期の発達課題

老年期の発達課題

発達段階のうち「老年期」について言及した発達心理学者たちの多くは、明確に発達課題を示しているわけではありません。そこで、発達理論の中で老年期の発達段階がどのように説明されているのかを、それぞれの発達心理学者ごとにまとめていきます。

1⃣様々な発達理論における老年期

5つの発達理論における老年期

ハヴィガーストによる発達課題
老年期には、以下のような発達課題がある。
❶身体的老化をに適応すること
❷退職に適応すること
❸配偶者の死に適応すること
❹経済的減退に適応すること
❺日常生活を再構成すること
❻同年代の友人関係を形成すること
❼祖父母の役割を獲得すること

エリクソンによる漸成図式による発達理論
◉第8段階:老年期
心理社会的葛藤「統合」対「絶望」人格的強さ「知恵」
◉第9段階:老人性超越性
第1段階から第8段階までの全ての心理社会的葛藤の否定的側面が経験される。その結果、トルンスタム「老年性超越性」の状態に至る

ペックによる心理社会的葛藤
元ビジネスマンの老年期には、以下のような3つの葛藤を経験する
❶「自我の分化」対「仕事ー役割への没収」
❷「身体の超越」対「身体への没入」
❸「自我の超越」対「自我への没収」

レヴィンソンによる発達課題
◉老年期の発達課題
社会との関りと自分自身との関りに新しい形のバランスを見つけること
◉晩年期の発達課題
死への道のりに慣れ、死を覚悟を持って迎えること

バルテスによる生涯発達論
老年期には、非標準的要因(個人的な生活経験などの要因)の影響力が、標準歴史的要因(社会的な出来事や社会情勢などの要因)や、標準年齢的要因(人が普遍的に持つ成熟による要因)よりも非常に高くなる

2⃣ハヴィガーストによる老年期の発達課題

ハヴィガーストによる老年期の発達課題

ハヴィガーストは上記で書いた通り、発達課題を7つにまとめています。加齢に伴って感覚器官や知覚・認知の機能が低下し疾患に罹患しやすくなる老年期には、自身の身体を労わり補償していくことが必要です。

また、仕事の引退に伴い、仕事の無い生活に慣れて職業以外での社会的役割や友人関係を見いだして心理的安定を図ると共に、収入減少に対して生涯の経済的安定を見越した対策を立てることも重要となります。

生活全般にわたってこれまでとは異なる生活スタイルを確立し、家族の中の役割についても、例えば祖父母の役割を引き受けるなどして、心理社会的安定を得ることが目指されます。

2.エリクソンによる心理社会的葛藤と9段階

1⃣第8段階:老年期

第8段階:老年期

エリクソンの理論では、老年期は8段階ある最後の段階に位置づけられ、総合と絶望の心理社会的葛藤を経験していく中で、知恵という人格的強さを獲得すると説明されています。

エリクソンの論では、生物ー心理ー社会モデルに基づいて発達を捉えており、人は、

  • 生物的過程
  • 心理的過程
  • 社会的過程

のそれぞれの過程が相互に影響し合いながら発達すると説明されています。老年期になると、身体の各器官が加齢とともに機能低下し、生物的過程に大きな変化があります。

社会的過程でもそれまでの社会から引退したり、身近な知人を亡くしたりという喪失体験に結びつきやすいライフイベントを経験しやすくなります。自我や個人的経験を体制化する心理的過程では、精神機能の低下に加えて、生物的過程や社会的過程それぞれの喪失体験を自分の自我に取り入れて体制化することが求められます。

「統合」とは

このように、老年期には、「生物」「心理」「社会」の各過程における変化を自分の人生の一部として受け入れると共に、自分の生や死を単に自分のこととしてではなく、歴史の中で意味づけて、次の世代に続いていく自信の価値を認めてゆくことを「統合」と説明したのです。

2⃣第9段階:老年期超越性

第9段階:老年期超越性

晩年、エリクソンは第9番目の段階を新たに構想していました。第9番目となる老年後期には、トーンスタム(Tornstam,L.)が概念化した「老年的超越性」の獲得が課題となるとエリクソンは説明しています。

老年性超越性を得ると、それまでの価値観への束縛から解放され、表面的な他者との付き合いに意味を見いださなくなり、より限定された人との深い結びつきを重視するように変化します。

また、私利私欲が無くなると共に、それまでの良い出来事も悪い出来事も全て価値ある体験として人生を肯定できるようになり、時空を超越して他者との結びつきを経験すると言います。

人生の晩年に経験するこのような状態について、エリクソンはそれを「発達課題」であるとは言っていません。しかし、後期高齢期には、それまでに経験してきた第1段階から第8段階までの8つの心理社会的葛藤を、同時に、かつ否定的側面が上回る形で経験し、その後に老年期超越性が獲得されると説明していることから、発達課題に近い意味合いで説明されていることがわかります。

3.ペックによる老年期の心理社会的葛藤

ペックによる老年期の心理社会的葛藤

ペックは、エリクソンの理論を前提として、ビジネスマンを対象にして、中年期と老年期の心理社会的葛藤を、より詳細に検討しています。

ペックによれば、老年期には、

❶「自我の分化」対「仕事ー役割への没入」

❷「身体の超越」対「身体への没入」

❸「自我の超越」対「自我への没入」

という3つの葛藤を経験すると言います。

この3つの心理社会的葛藤からは、ペックが高齢期の発達課題をそれまでのように仕事に拘り続けるのでなく、仕事を超えた活動にやりがいを見いだすこと、また身体機能の低下に拘るのではなく身体を超えたところに、楽しみや価値を見いだすこと、そして自分にとらわれるのではなく、自分の生命や死を超えて後世に受け継がれていく感覚を受け入れること、と考えていたと言えるでしょう。

4.レビンソンによる老年期の発達課題

レビンソンによる老年期の発達課題

レビンソンは、1920年から1940年代に生まれた10歳代後半から40歳代後半までの男性を対象としたインタビュー調査から、中年期の発達を理論化した発達心理学者です。そのため、老年期については「暫定的な見解」として発達課題を論じています。

レビンソンは、老年期を60歳代前半から80歳又は85歳頃まで、80歳以降を晩年期としてそれぞれ分けて説明しました。その中で、老年期の発達課題は、

  • 社会の関りと自分自身との関りに新しい形のバランスを見つけること
  • 死への道のりに慣れ、死を覚悟を持って迎えること

と述べています。

レビンソンが、老年期や晩年期における適応を、どちらかといえば離脱理論に基づいて考えていたことがうかがえます。

5.バルテスによる老年期

バルテスによる老年期

バルテスは生涯発達心理学者ですが、それぞれの発達段階を別々に描写するのではなく、生涯に渡る発達的変化が、どのような要因・メカニズムで生じるのかを理論化しました。

老年期の発達について、老年期には「非標準的要因」が最も強く発達に影響すること、そして老年期には確かに喪失が増えるものの「獲得」の部分がある事が特徴だと述べられています。

●「非標準的要因」

非標準的要因が発達に強く影響するということは、老年期には人それぞれの個人的な経験が発達に大きく影響するということであり、標準的、典型的な発達を想定しにくくなることを意味しています。

そのため青年期までの発達段階のように、社会的に多くの人に共通した価値を反映した発達課題を想定すること自体が難しくなります。そこで老年期には、個々の高齢者が恒例となった今の「獲得」に焦点を当てて、必要があれば自分がそれまで持っていた価値を変えるなどして、自分なりの納得を得ながらその人独自のその人らしさを形成していくことが目標となります。

ユング(Jung,C.G.)

このことは、ユング(Jung,C.G.)が中年期から老年期を「個別化の過程」と表現していることや、これまで見てきた老年期の発達段階・発達課題に、新しい価値観への転換が含まれていることとも合致します。

●「獲得と喪失」

「獲得と喪失」

従来の殆どの理論では、老年期の発達課題は喪失への適応という側面だけが強調されていました。そしてそれは次項での離脱理論を背景につくられた発達課題という考え方自体が老年期には必ずしも適切ではないことを示唆しています。

それと同時に、老年期の人が喪失に対処するだけの存在ではなく、若い世代と同様に老年期の人が持つ獲得の側面に焦点を当てて自己実現を目指していく存在として位置付けられています。

つまり、従来よりも能動的で肯定的な高齢者像を想定しているという点で、現在のプロダクティブエイジングの考え方に繋がる老年期の発達観だと言えるのかもしれません。

プロダクティブエイジングとは?

ロバート・バトラーが1975年提唱した理念。高齢者であっても生産的・創造的な生き方をすべきであるという考え。プロダクティブ(生産的)な活動には、労働、ボランティア、セルフケア等が含まれます。

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