認知症の理解

【認知症ケアの現状】基本的人権の理解と3つのケアの視点 vol.394

2021-07-12

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『認知症ケアの現状』について書いていきます。

ニーズとデマンドとは??

Contents

1.認知症ケアの現状
2.認知症ケア3つの視点
 1⃣基本的人権の理解
 2⃣偏見と差別に向き合う
 3⃣自己決定の支援
 ●ニーズとデマンドとは??

1.認知症ケアの現状

認知症の人との関りの中で、「食事の直後なのに、ご飯を食べていないので食べさせて欲しい」「88歳の女性が年齢は40歳ですという」「鏡に向かって話しかけている」「夫を息子と言う」「家にいるのに夕方家に帰らせてもらいますと荷物をまとめている」といった場面に出会うなど、同じような経験をした人は多くいます。

認知症のことが深く理解されていない時代には何が起きているのかがわかりませんでした。

介護の現場では、正しく認識をさせるためのリハビリテーションや生活トレーニングを試みましたが、認知症の回復には至りませんでした。認知症のケアが進むにつれ、

  • 記憶の障害による言動であったり、
  • 人との関係による反応であったり、
  • 生活の在り方のあらわれであったり、

と、意味のある現象であることが少しずつわかってきました。

認知症の人の一見おかしいと思える行動は、周囲との関係からつくられたものでああったり、否定や修正による混乱や不安のあらわれであったり、これまで送ってきた生活に関係するシグナルやサインであるとして理解されるようになりました。

認知症の人と共に過ごす時間を十分に取り、認知症の人の内なる世界を理解することによって、「かかわりを中心としたケア」へと進化してきました。

その結果、認知症の現象だけに目を奪われるのではなく、たとえ脳の病気であっても、本人の思いや望む生活への支援、地域との関係を切らない支援などが提唱されるようになりました。

さらに今日では、ニーズを中心とした生活支援への取り組みが介護現場から提起され、地域密着型サービスなど、その人らしい暮らしを支える自己決定の支援をしたり、社会との関係を継続したうえで認知症になっても働くことが出来るなど、社会貢献の出来る人たちをして支援していこうとする方向性が認められるようになりました。

2018年(平成30年)7月に厚生労働省から「若年性認知症の肩を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について」の事務連絡が出されました。そこでは、若年性認知症の利用者を対象とした社会参加活動を実施する場合の留意点が示されています。

一方で、介護人材不足や多様化するサービス体系のなかで、認知症の理解が不十分であったり、研修が思うように受けられなかったり、ビジネスモデルによる利益優先であったりといった問題も起きています。

認知症の人の行動の意味やその背景も考えずに、

  • 徘徊
  • 入浴拒否
  • 帰宅願望

などと表現し、当事者の側から理解しようとせず勝手な烙印を押して認知症のことをわかった気でいる風潮もあります。

また、認知症の人のことを「認知」と表現する人もいます。これらの言葉の意味を考えてみると、「認知」とは、わかる力のこと、人が自分らしく日々を暮らしていく為に欠かせない力のことです。

覚える、思い出せるなどの記憶や場所・時間などの見当識、それがなんであるかわかること、どうすればよいのかの判断、計算ができる、新しいことを覚える、このようなことを「認知」と呼びます。

認知症のことを「認知」と呼ぶには矛盾があり、更には、認知症の人に対する偏見や差別をはらむ言葉であることも理解しておく必要があります。

行方不明になることを「徘徊」よいう人が多くいます。しかし、本人にどこに行こうとしていたのか聞くと、

  • 「家に帰ろうとしていた」
  • 「孫を迎えに行かなければならない」
  • 「買い物をしようと思って」
  • 「畑が気になって」

など、外出する理由をもっていました。

「徘徊」とは、辞書で調べると「あてもなくうろうろ」とあります。認知症の人も何らかの理由で外出しているのですが、認知症のために上手く実現できないだけなのです。

安全と保護の名のもと「徘徊」としてケアするのか、行動の意味を考え、望む生活に向けて支援をするのかでは関わり方に大きく違いが生じます。

このように、言葉の意味を正しく理解することは、理念を考える上での重要な指針となります。

2.認知症ケア3つの視点

認知症ケアの3つの視点について考えていきます。

人生100歳時代を迎え、認知症になる確率は高くなっています。認知症になることを怖がるのではなく、認知症を抱えながらでも生き生きとした役割や生きがいを持って暮らすことは可能です。

出来ることを生かし、安心と納得のいく生活を獲得し、自己実現を目指して生きていけることを支援するのが「認知症ケア」です。

そのために、基礎介護力を身に付けていることは前提となります。食事介助や入浴介助、排泄介助などは基本的な事として知識や技術を習得していなければなりません。

そのうえで、認知症ケアにおいては権利擁護や関わり方、制度の理解、環境の作り方等、実践的に方法論を学ばなくてはなりません。

次項から、認知症ケアにおいての3つの視点についてまとめていきます。

1⃣基本的人権の理解

基本的人権の理解

3つの視点の中で特に重視されなければならないのが「基本的人権」の理解です。養護者による虐待や権利侵害は重大な問題です。なぜこのような問題が介護の現場で生じるのでしょうか。

認知症ケアについては疾病の理解だけでなく、認知症の人としての理解が進んでいないことが一因だと考えらえます。

認知症を困った病気、認知症の介護は困難、などとして、認知症の人を厄介な人と見てしまうと、そこに差別や偏見を生み、認知症の人は「このような人」だというスティグマが生じるのです。

スティグマとは?

汚名や烙印を押されるといった意味があり、心身の障害や貧困による社会的な不利益や差別、屈辱感や劣等感のことをいいます。

スティグマ

2⃣偏見と差別に向き合う

なぜ差別や偏見が生まれるのでしょうか?

私たち人間は、誰もが偏見に影響されうるという事実を認識しなけばなりません。

人間関係の中で、好き嫌いはありますし、苦手な人も存在することは否定できません。さらに、固定観念から異質なものを拒否することは誰にでもあります。

認知症についても正しい理解がなければ異質の存在として捉えてしまうのです。その典型が「徘徊」という言葉でしょう。

偏見と差別に向き合うために、次の3つを介護職が自覚することが必要です。

❶考えたり話したりする能力を持つ人間は皆、偏見を宿すことがあり得る。

❷偏見を排除していく為には、しばしば意識的な努力と自覚が求められる。

❸十分な動機づけがあれば、偏見を取り除くことが可能である。

世界人権宣言第1条には、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とに授けられており、互いに同胞の精神を持って行動しなければならない」とうたわれています。これは、人類共通の理念とも言えます。

3⃣自己決定の支援

認知症ケアには、自分のことを自分で決めるといった「自己決定の支援」が大切になります。

自己決定の支援は、その前提として、本人の決定や選択に必要な情報を伝えて行くことから始まります。

そのためには、認知症の人への情報の伝え方を介護者が配慮していく必要があります。

認知症の人への情報の伝達は、言葉や文章による通常の方法では難しいことが多くあります。日常的な関わりの中で暮らしをともにしながら、実体験として、理解したり納得をはかったりしながら、必要な情報を伝え、本人の思いを察知して自ら決めることができるような支援である自己決定が求められれるのです。

●ニーズとデマンドとは??

認知症の人の表面的に求めることである「デマンド」に惑わされることなく、本当に求めていることである「ニーズ」を見極めて支援していくことが『本人の尊厳を支えるケア』の基本となります。

認知症の人の自己決定の保障には、

  • 「認知症の人・介護福祉職の能力」
  • 「関係の質」
  • 「かけた時間」

の3要素が重要で、「かかわり」を基本原則とした十分なコミュニケーションを取る必要があります。

そのため、認知症の人との「知」「情」「意」の3つの面でのコミュニケーションを取ることによって、より自己決定の支援が容易になるのです。

  • 「知」:おもに認知症の人と介護福祉職との言葉のやりとり
  • 「情」:認知症の人の仕草や表情
  • 「意」:認知症の人の内なる意思や一般的に変と思われるシグナル

この3つはコミュニケーションの方法として使われ、認知症ケアにおける理念をつくるうえでの重要な視点となります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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