こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『認知症の人への食事ケア』について、今日と明日の2回にわけて書いていきます。
コミュニケーション
Contents
1.認知症の人への食事ケア
1⃣食欲
2⃣活動力の低下
3⃣便秘
4⃣その他の要因
1.認知症の人への食事ケア
食事とは、「生きる」ための栄養補給という目的だけではなく、空腹が満たされることで気持ちが穏やかになり、他者と一緒に食べる会食を通じて人との繋がりを感じることでもあります。
また、食材を通じて季節を感じることもできます。
誕生日や記念日などの特別な日の食事や郷土料理といった日本の食文化を通じて、QOL(Quality of Life:生活の質)を満たす面もあります。
今回は「認知症が食事に及ぼす影響とそのケア」について考えていきます。
1⃣食欲
食欲は、別な言い方をすると「生きたい」という意欲のあらわれでもあります。したがって、まずは食欲を引き出すことが大切な視点です。
認知症の人は「食欲がない」ために適切な食事行為ができないことがあります。食欲が沸かない主な原因としては、健康状態の悪化があげられます。
2⃣活動力の低下
高齢者は活動量が少なくなりがちです。さらに、認知症で介護が必要な状況になると、他者から介助してもらう機会が増える、見当識障害などから生活上行動する範囲が限定される(散歩や買い物など外出する機会が少なくなる)など、「社会心理的状況」に課題が生じ、受け身的な生活となり活動量が少なくなります。
そうなると、お腹がすきにくくなり、空腹感がないため食欲は沸きません。
3⃣便秘
高齢者は胃腸機能が低下し、便秘しやすい傾向にあります。便秘が続くと食欲は沸きません、また、認知症のため尿意、便意が判断しにくくなるなどの理由でおむつやパッドで排泄していることもよくあります。
特にベッドでおむつを使用し、臥位で排便をすると肛門の位置が直腸内にある便より高い位置になり、重力や腹圧がうまく使えないため出にくくなります。
他にも、先に述べた活動量の低下と認知症による注意障害などから水分摂取量が少なくなることもあります。こうした要因が絡み合って、便秘を引き起こすことで食欲に影響を及ぼします。
便秘と聞いたらすぐに下剤と考えがちですが、下剤を飲んだこと自体を「記憶障害」で忘れてしまいます。下剤が効き始めると腸の中で起こる刺激が何のことかわからず興奮し、食卓に着いてもらえないことも多くあります。
まずは、
- 活動量の確保
- 十分な水分摂取
- 食物繊維や乳製品の活用
- トイレでの排泄
といった工夫が必要です。
4⃣その他の要因
慢性疾患の悪化や、身体に痛みや不快感があるなどの場合でも、認知症の人は正しく訴えることができません。食欲がない場合、内臓機能などに問題が起きていることもあるということを知り、様子を観察し、必要に応じて医療職へ情報提供する必要があります。
また、ドネペジルなどの認知症治療薬が食欲低下の原因となることもあります。
鎮痛剤なども注意が必要です。施設では、提供される食事がその人の好みと合わない場合もあります。
その他、認知症の人は注意障害が影響し食堂などに誘導してもソワソワして落ち着かない、席についてもすぐに立ち上がりウロウロするなどがみられます。
そうすると「食欲がない」と解釈されがちですが、顔なじみの人と食卓を囲む「人的環境」、食事をする場所を落ち着ける雰囲気にする「物的環境」などの配慮をすると解決することがあります。
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