介護の基本Ⅰ・Ⅱ

【①生活のしづらさの理解】日常生活の中の7つの生活のしづらさ vol.299

2021-04-08

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は「介護の基本」の中から『生活のしづらさの支援』について、一今日と明日、2回に分けてまとめていきます。

生活のしづらさについて考えてみる

Contents

1.生活のしづらさとは?
 1⃣生活のしづらさへの誤った支援を防ぐ
2.日常生活の中の「7つの生活のしづらさ」
 1⃣起床時間
 2⃣起床方法
 3⃣起床から洗顔まで
 4⃣着替え
 5⃣朝食
 6⃣排泄の支援
 7⃣外出

1.生活のしづらさとは?

生活のしづらさ

日々生活を送る中で、今まで出来ていたことが急に出来なくなって不便を感じたことはありませんか?

例えば、手を怪我して食事や洗顔、着替えが難しくなったことや、足を怪我して湯船につかることや階段を上ることに困難を感じたことはありませんか?

また、病気や出産などで入院すると、今まで自分のペースでしてきた生活のリズムが保てなくなることもあります。また、同居していた家族が入院や旅行などで不在になると、食事や洗濯、掃除などに困った経験もあるかもしれません。

しかしこのような不便さは、怪我が治ったり退院したりするなど、ある程度の日数で元の状態に戻る場合や、自分自身が不便さに適応していくことで解消していく場合が多いと思います。

介護を必要とする人たちが抱えている「生活のしづらさ」は、このような不便さがずっと続いていくことになります。さらに、

  • 認知機能の低下
  • 身体機能の低下
  • 障害による環境の変化

など、不便さに適応していくことが難しいという点で、私達が経験する「生活のしづらさ」とは大きく異なります。

そのため、介護福祉職の視点として重要なことは、本人の意欲や能力を引き出すような支援、つまり、利用のできる事、やりたい事を日々の関わりの中から把握し、介護福祉職として実現出来る環境を整え支援を行うことが求められています。

このような視点がないまま介護福祉サービスが提供されると、職員や事業所の業務効率化が中心となってしまい、不適切なケアが行われる要因となってしまいます。

1⃣生活のしづらさへの誤った支援を防ぐ

生活のしづらさへの誤った支援

介護福祉士は、倫理綱領や行動倫理、そして職場の倫理規定などを元に、介護福祉を必要とする人々の「生活のしづらさ」を支えていきます。本人のニーズに反した「生活のしづらさ」への支援をすることを避けなくてはなりません。

例えば、特別養護老人ホームにおける入居者の支援、入浴、排せつ、そしておむつ交換については、次の基準が定められています。

特別老後老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第16条

介護は、入居者の自立の支援及び日常生活の充実に資するよう、入所者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって行わなければならない。
2 特別養護老人ホームは、1週間に2回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、または清拭しなければならない。
3 特別養護老人ホームは、入所者に対し、その心身の状況に応じて、適切な方法により、排泄の自立について必要な援助を行わなければならない。
4 特別養護老人ホームは、おむつを使用せざるを得ない入所者のおむつを適切に取り替えなければならない。

上記の基準第16条第2項をサービス提供側で都合のよいように解釈してしまうと、「入浴は週2回でよい」となってしまいます。

本来、入浴の回数については利用者のニーズが最も重要視されるべきです。そして、介護保険制度であれば、そのニーズに基づき介護支援専門員であるケアマネージャーのケアプランによってサービスが組み立てられます。

しかし、事業所や介護福祉職に「入浴は介護福祉職の業務に負担が大きいので回数を少なくしたい」という思いがあれば、いとも簡単に「1週間に2回以上」という基準が「1週間に2回でよい」というサービス内容であると解釈されてしまいます。

利用者の入浴は1週間に2回までとするのか、施設側が可能な限り本人が希望するように入浴が出来るように支援するのかどうかによって、その事業所の力量が問われているといっても過言ではありません。

排泄の支援についても、「適切な方法により、排泄の自立についての必要な援助」とありますが、この「適切」は、利用者のタイミングと、事業所や介護福祉職にとってのタイミングは異なります。

事業所や介護福祉職のタイミングを優先すると、「定時」でのおむつ交換となってしまいかねません。そうなると「今おむつ交換をしてほしい」という利用者のニーズよりも、事業所や介護福祉職の都合が優先されるという、誤った支援となってしまいます。

介護福祉を必要とする人々は、生活のしづらさを抱えています。そこに寄り添い、その生活のしづらさを解消していくのが介護福祉職です。

2.日常生活の中の「7つの生活のしづらさ」

1⃣起床時間

起床時間

起床時間は学校の通学や仕事の通勤、家事などといった自分の用事の時間に合わせて、朝の身支度にかかる時間を決めることになります。

しかし、病院に入院したり、施設に入所した場合は、決められた起床時間に従うことになります。認知機能の低下によって、時間の感覚が分からなくなってしまう「見当識障害」や、自分で起床時間を決められないことが「生活のしづらさ」の要因となります。

2⃣起床方法

起床方法

今まで自分が慣れ親しんでいた起床方法、例えば「目覚まし時計を使って起きる」や、「時間になると好きな音楽が聞こえてくるようにセットする」という方法は、病院や施設など、集団生活の場所では認めてもらえないかもしれません。

仮にそれを認めたもらえたとしても、鳴っている目覚まし時計や、聞こえてくる音楽を止めるということは、身体に障害がある場合や、認知機能に障害がある場合は難しい場合が多くなります。

結果的に、病院や施設で職員に起こしてもらうという方法になってしまいますが、これも「生活のしづらさ」といえます。

3⃣起床から洗顔まで

起床後

起床後、例えば水をコップ1杯飲みたいと思っても、新聞をすぐに読みたいと思っても、自分で出来ない場合、誰かに頼まなければなりません。病院や施設で忙しそうにしている看護師や介護福祉職には声を掛けづらくなってしまいます。

洗顔については、洗面所まで行くことが出来れば何とか顔を洗うことができるかもしれません。しかし、車いすに座ったままで洗顔することが出来る洗面台があることや、自分が使いたい洗顔フォームや石鹸、洗顔後にタオルなどがすぐに使える状況にないと、介護福祉職などによる介助が必要になります。

また、ドライヤーで整髪したり、化粧をしたりする習慣があった人が、自分のタイミングでできないことは「生活のしづらさ」となってしまうかもしれません。

4⃣着替え

着替え

病院では治療や療養が目的であるために、なかなか自分が気に入った服を着ることを許可してもらえないものです。療養するうえで、病院や施設で決められた服を着るように求められることもあります。

また、自身の治療状況や関節可動域などから、着ることが出来る服も限られる場合もあります。さらに、自分1人では衣服の着脱が難しい場合は、介護福祉職等に着替えを手伝ってもらう必要があります。こういったことが「生活のしづらさ」となっていきます。

5⃣朝食

朝食

病院や施設では殆どの場合朝食の時間が決められており、その時間に合わせて個々の自室にや食堂に配膳されることになります。個人の食事摂取量や水分摂取量は、看護師や介護福祉職らによって記録されます。

食事のメニューは、病院や施設の管理栄養士によってっ個別に設定されますが、個人の好みはほとんど考慮されないといってもよいでしょう(パン食orご飯やへの変更の対応はあるかもしれません)。これも「生活のしづらさ」の要因となります。

最近では、一部の病院や施設では、個人の起床時間や好みを大切にして、個別のに食事の時間やメニューを調整したり、ビュッフ形式で食事を出すこともで食事を出す所も増えてきています。

6⃣排泄の支援

起床後すぐにトイレに行きたいと思っていても、トイレの場所や使用状況、利用者や介護福祉職の状況によって、すぐに排泄介助が受けられるとは限りません。

また起床時間や食事時間が決まっている病院や施設などは、決まっている時間の前後に排泄介助が集中することが多くなります。そのため実際にトイレで排泄が行えるまでにかなりの時間を要する場合もあり、これも「生活のしづらさ」の要因となります。

7⃣外出

外出

病院や施設では、外出する場合は外出前に届けをだすことを求められるところが多いです。そのためいつでも自由に外出できることが出来る環境ではありません。

さらに、外出の目的や外出先によって、家族による移動支援や介護タクシー等を手配する場合があります。近年では、公共交通機関や街中でもバリアフリー環境が整いつつありますが、エレベーターが無い駅や、車いすで乗り越えることが出来ない段差のある場所がまだ数多くあり、介助なしで1人で車いすに乗って外出できる場所は限られていることも「生活のしづらさ」の要因となります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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