【①知的障害】知的障害の4段階と4つの要因 vol.97

こんにちは 介護ラボ・kanalogのカナです。

今日は「知的障害」についてですが、2回に分けてまとめていきます。

知的障害の定義・段階別認知・コミュニケーション力とは

Contents

1.知的障害とは
(1)日本における知的障害の定義
(2)障害程度
(3)知的障害の障害程度4段階
 (6~17歳までの児童:東京都の場合)
2.障害の原因(4つの要因)
3.障害の特性に応じた支援
(1)発達段階と意思表示
 1⃣ IQ10以下
 2⃣ IQ10~25位
 3⃣ IQ25~45位
 4⃣ IQ45~75位
 ※各段階の認知・コミュニケーション力

1.知的障害とは

知的障害とは

まずはじめに、介護福祉職が知的障害のある人の介護を行う際に重要なことは、
❶知的障害の状態によって物事の理解力や意思表示の仕方が異なるため、利用者それぞれに応じたコミュニケーション方法を工夫して意志の把握に努めること
❷出来ないところを補い、持てる能力を伸ばすようにかかわることが大切であるため、知的障害のある人の物事の認知力・生活体験・ライフステージとの関係を考えて必要な支援を判断すること
です。この2点を次項で詳しくまとめていきます。

(1)日本における知的障害の定義

知的障害の定義

先に結論から。
日本の法律では知的障害とは何か?ということについて、明確な定義はありません
厚生労働省は、知的障害のある人の数を把握するために「知的障害とは、知的機能の障害が発達期(概ね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」として調査を行っています。

知的障害の判定は「知能指数(IQ)」と「適応行動の状態」等に基づいて行われます。

(2)障害程度

知的障害の障害程度については都道府県ごとに決められており、都道府県知事が交付する『療育手帳』では、軽度・中度・重度・最重度に分類されている場合が多いようです。
※東京都の場合を次項に書いていきます(6~17歳を対象)

(3)知的障害の障害程度4段階

知的障害の障害程度(6~17歳までの児童)
⭐東京都の場合

最重度
・知的測定値は知能指数が、概ね19以下
・運動は運動機能が極めて未発達なため起座も不可能
・社会性は対人関係の理解が不可能
・意思疎通は言語による意思疎通が全く不可能
・身体的健康は特別の治療・看護が必要
・基本的生活は常時介護及び保護が必要(全介助)

重度
・知的測定値は知能指数が、概ね20~34
・運動は運動機能が極めて未発達なため歩行も不十分
・社会性は集団行動がほどんど不可能
・意思疎通はわずかで不完全で単語だけの為、意思疎通が不可能
・身体的健康は特別の保護が必要
・基本的生活は部分的介助と常時の監督または保護が必要(半介助)

中度
・知的測定値は知能指数が、概ね35~49
・運動は運動機能の発達が年齢より全般的に未発達
・社会性は対人関係の理解及び集団的行動がある程度可能
・意思疎通は言語が未発達のため、意思疎通が一部不可能
・身体的健康は特別の注意が必要
・基本的生活は部分的介助と見守りが必要(一部介助)

軽度
・知的測定値は知能指数が、概ね50~75
・学習能力は簡単な読み、書き、計算がほぼ可能
・作業能力は単純な作業が可能
・社会性は対人関係の理解及び集団的行動が概ね可能
・意思疎通は日常会話(意思疎通)が可能。また簡単な文字を通した意思疎通が可能
・身体的健康は、健康であり特に注意を必要としない
・日常行動は、日常行動に支障はなく、ほとんど配慮を必要としない
・基本的生活は身辺生活の処理が可能(ほぼ自立)

2.障害の原因(4つの要因)

知的障害の要因は多岐に渡っており、原因不明なものが多いと言われています。知的障害を生じさせる要因として、AAIDD(米国知的・発達障害協会)は、次の4つをあげています。

生物学的要因

生物学的要因
染色体異常、遺伝子疾患、代謝疾患、分娩時の外傷、新生児期の疾患、栄養不足、髄膜脳炎など、明らかな病理作用によって脳の発達に支障が生じるもの。

社会的要因

社会的要因
貧困、母親の栄養不足、出産前ケアの未実施、適切な養育刺激の欠如など、社会や家族の状況によるもの。

行動的要因

行動的要因
親の薬物使用、親の喫煙や飲酒、養育拒否や虐待などの行動に関連しているもの。

教育的要因

教育的要因
支援の欠如、不適切な育児、教育が不十分であるなど、知的発達や適応スキルを促す状況が阻害されることによるもの。

3.障害の特性に応じた支援

(1)発達段階と意思表示

知的障害のある人の物事の認知力を把握し、コミュニケーション方法を工夫する際には、児童の発達段階の状態像を参考にすると分かり易くなります。

スウェーデンで用いられている知能区分を参考に、知的障害のある人たちが自分の周りの世界をどのように認識し、自分の状態を表現しているのかを見てみます。

1⃣ IQ10以下

🔹認知・コミュニケーション力
  (生後0か月~1歳半)

◉時間の理解は「現在」だけである
◉「今いるところ」で、見る・聞く・触れるなどの感覚体験ができるもの(手の届く範囲にあるもの)だけを認識している。その為目の前にあれば、それが好きか嫌いかを判断できるが、目の前に無いものを思い浮かべることはできない
◉繰り返し経験していることであれば次に何が起こるかを予測することが出来る(例:テーブルに食器が並ぶとご飯の時間)
◉写真の理解は難しく、色と模様の付いた綺麗な紙として認識してされている
◉話し言葉の理解は難しいが、身振りや何かの合図(特定の音声など)を使って意志や感情を表示したり、自分の欲求を伝えたりすることが出来る
◉体験すれば、それが心地よいか否かを表現出来る
◉発達年齢が0~6か月の場合、周囲の人に対して働きかけるということが分からないため、意図的なコミュニケーションはしない
◉発達年齢が6か月を超えてくると、周囲の人に対して働きかけが出来るということが分かるので、意図的にコミュニケーションをし始める

例)相手に対して、~をしてもらう、~を止めてもらう
物やサイン語を使って自発的に周囲に対して働きかける

※サイン語:コミュニケーションの1つ。言葉の代わりに手指の動作によって意思や用事を伝えるもの

🔹精神発達年齢(生後0か月~1歳半:IQ10以下に相当)

療育手帳では最重度にあたります。

知的障害がどんなに重くても、何らかの形で意思は表示されています。周囲の人が知的障害のある人の様子をよく観察して、その表現から意思を汲み取って支援を行っていくことが大切です。

2⃣ IQ10~25くらい

🔹認知・コミュニケーション力
  (生後1歳半~4歳くらい)

◉以前体験した出来事を思い出すことが出来るようになり「今ここに無いもの」の存在が理解できる
◉理解出来るものは、自分で使ったり触ったりした経験のあるものに限られる
◉量の多い少ない、大きい小さい、「1」の概念がわかるようになる
◉過去に起きたこと、これから起こることを考えられるようになる
◉昨日・今日・明日の概念や、曜日の名称の理解が始まる
◉絵や写真が理解出来るようになり、絵・写真・言葉・サイン語・身振り言語をコミュニケーションの中で使えることがわかるようになる
例)「行く」「仕事」「飲み物」などが理解出来る
◉1日の流れを、絵や写真などの日課表で理解出来るようになる
◉良く晴れている場所では、方向の目印になるものが無くても道に迷わない
◉位置や距離を表す言葉の理解が始まる
◉色々な因果関係を理解出来るようになり、経験に基づいて問題解決を試みるようになる
◉2語文あるいは数語文の話し言葉が発達する
◉既に起きたことを話す、明日の活動を聞く、色々なことがなぜ起こるのかをたずねる、など

🔹精神発達年齢(1歳半~4歳:IQ10~25くらいに相当)

療育手帳では最重度から重度に該当する状態。

この段階の人には、生活体験を豊かにして経験を増やしていくことがとても大切です。その際言葉でのやり取りに頼りすぎず、理解を補うようなものや動作を取り入れながら支援を行うとよいでしょう。

3⃣ IQ25~45くらい

🔹認知・コミュニケーション力
  (4~7歳くらい)

◉物の性質がよりわかるようになる。但し理解出来るものは実際に体験したもののみ
◉お金の理解が始まり、それぞれの紙幣、硬貨で買えるものの範囲がわかる
◉腕時計が何に使われるのかがわかる
◉平日と休日の区別がつくようになる
◉経験のあることなら2つの出来事を、原因と結果として結び付けられる。経験のない因果関係は実際に試さなければわからない

🔹精神発達年齢(4~7歳くらい:IQ25~45くらいに相当)

療育手帳では、重度から中度に該当します

この段階は、前項の2⃣の段階で出来るようになり始めたことが、より豊かに出来るようになっていきます。

物事の手順を言葉での説明だけでなく、絵や写真などを用いて目で見て分かり易くすることによって1人で行えるものが増えていきます。

4⃣ IQ45~75くらい

🔹認知・コミュニケーション力
  (7~11歳)

◉経験したことがなくても想像することによって、同じ性質をもつものを分類でき、属性の理解が進む(但し具体的なものに限られる)
◉数の構成についての理解が進み、四則演算が出来るようになる(掛け算・割り算は足し算・引き算より難しい)
◉お金は使えるが、計画的な使用は難しい
◉象徴(シンボル)をさらに象徴したものの理解は難しい
例)お金は買えるものの象徴、預金はお金の象徴、預金を象徴するものが通帳であること、など
◉ことわざや慣用句の意味の理解は難しい
◉時計の見方がわかる。但し何かをするのに必要な時間は判断しにくいので、計画的に時間を使うことは難しい
◉空間を体系的に認識するようになり、経験したことのない空間(外国等)や地図の存在が理解出来る
◉空間についての抽象的な思考は難しい
◉因果関係の一般的な理解ができ「~なら~だろう」という推論が可能になる。原因の説明が出来るようになるが、具体的で単純なものに限られる
◉書き言葉の理解が始まり、読み書きが可能になる

🔹精神発達年齢(7~11歳くらい:IQ45~70くらいに相当)

療育手帳では、中度から経度にあたります

言語交流がかなり可能になりますが、言語の方が得意な人、文字でのやり取りの方が得意な人など、個人差があります。

全体的に、抽象度の高い表現は苦手です。

例えば、「もう少し早く」や「きちんと整えて」といった表現は、どのような状態が「もう少し」なのか、「きちんと」なのかがわかりにくいので、「時計の長い針が8になるまでに」とか、「〇〇は赤の箱の中に入れて」など、具体的に表現することが大切です。


人気ブログランキング

にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村

に参加しています。よかったら応援お願いします💛

Twitterのフォローお願いします🥺





Follow me!