こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『交通環境の整備:2006~2020年』について書いていきます。
「公共交通移動等円滑化基準」の見直し。8つのソフト基準
Contents
1.バリアフリー法の制定と変遷(2006年~2020年)
1⃣バリアフリー法の制定と法に基づく基準
◉バリアフリー法(2006年)の構成(表)
2⃣バリアフリー法とオリンピック・パラリンピックの準備
(1)ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議
(2)バリアフリー法(公共交通移動等円滑化基準)の改正(2018年)
(3)「公共交通移動等円滑化基準」の見直し。8つのソフト基準
3⃣心のバリアフリー/障害の社会モデル
(1)心のバリアフリー・3つのポイント
(2)障害の社会モデル
1.バリアフリー法の制定と変遷(2006年~2020年)
わが国の福祉のまちづくりは、北欧のノーマライゼーションの考え方の普及と、1964年(昭和39年)のパラリンピックによる衝撃経て、1970年代初頭における仙台市や町田市からの「生活圏拡大(拡張)運動」として始まりました。
そして、1981年(昭和56年)の、運輸政策審議会で「交通弱者」が定義されてから、2000年(平成12年)の『交通バリアフリー法』まで、国土交通省の政策の準備が始まりました。
今回は、この中で「2006~2020年の交通環境」について書いていきます。
1⃣ バリアフリー法の制定と法に基づく基準
2006年(平成18年)「高齢者。身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)と、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」を一体化し、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が制定されました。
これにより、バリアフリー法では、対象施設が建築物・都市公園・路上駐車場・福祉タクシーなどに拡大しました。
また、対象者については、身体障害者に加え、知的・精神・発達障害者など、全ての障害者が含まれることとなりました。※下記バリアフリー法(2006年)の構成を参照
◉バリアフリー法(2006年)の構成(表)
また、対象者については、身体障害者に加えて、
- 知的障害者
- 精神障害者
- 発達障害者
など、全ての障害者が含まれることになりました。
なお、同年「バリアフリー法」に基づく2010年末(平成22年)までを期限とした整備目標「移動等円滑化の促進に関する基本方針」が告示されています。
また、「バリアフリー法」に基づき、公共交通事業者等が旅客施設や車両等を整備・導入する際に義務として遵守すべき基準である「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備並びに旅客施設および車両を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令」(公共交通移動等円滑化基準)や、条例で道路移動等円滑化基準を定めるに当たって参酌する「移動等円滑化のために必要な道路の構造及び旅客特定車停留施設を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令」(一般国道においては、道路移動等円滑化基準)等が定められています。
さらに、「バリアフリー法」と基準を踏まえてガイドラインが策定されています。
基準は法に基づき遵守すべきものですが、ガイドラインは「望ましい」次項も含まれています。
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【❺ユニバーサルデザインの概念】自治体の4つの取り組みについて vol.663
【②バリアフリー法概要】バリアフリー法の7つ特徴とは? vol.666
2⃣バリアフリー法とオリンピック・パラリンピックの準備
2016年(平成28年)に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の考え方や、オリンピック・パラリンピックの準備のための「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議」の政策をもとに、2018年以降にバリアフリー法の改正が急速に行われ、複数回の部分的改正を行ってきました。
つまり、バリアフリー法は、2006年から小休止し、2016年以降、オリンピック・パラリンピックの動きに歩調を合わせて改正が行われました。
(1)ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議
「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議」(2017年(平成29年)2月)で決定された、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、『バリアフリー法を含む関係施策について、共生社会の推進や1億総活躍社会の実現の視点も入れつつ、平成29年度中に検討を行う等により、そのスパイラルアップを図る』とされていました。
こうしたことから、2017年6月にバリアフリーワーキンググループにおいて、見直しの方向性について取りまとめられました。
ここでは、施策の方向性を打ち出すに当たり、留意すべき3つの視点として、
- ❶高齢者、障害者等の社会参画の拡大の推進
- ❷バリアフリーのまちづくりに向けた地域連携の強化
- ❸ハード・ソフト一体となった取り組みの推進
が挙げられ、論点ごとの施策の方向性が整理されました。
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【バリアフリーとは?】ユニバーサルデザインの7原則 vol.118
【バリアフリー・ユニバーサルデザインの歴史と取り組み】vol.119
【❶ユニバーサルデザインの概念】誕生の経緯と障害者の人権 vol.659
【❷ユニバーサルデザインの概念】東京都の建築ユニバーサルデザインの5原則 vol.660
【❸ユニバーサルデザインの概念】国民の理解(認知率)とデザインの取り組み vol.661
【❹ユニバーサルデザインの概念】ユニバーサルデザインの2020行動計画 vol.662
【❺ユニバーサルデザインの概念】自治体の4つの取り組みについて vol.663
【ユニバーサルデザイン政策大網】まちづくりにユニバーサルデザインを導入する時の6つの留意点 vol.664
【❹建築物の環境整備】建築物移動等円滑化基準を遵守しなければいけない10の施設 vol.673
(2)バリアフリー法(公共交通移動等円滑化基準)の改正(2018年)
2018年(平成30年)3月に、公共交通移動等円滑化基準が改正され(施行は同年10月、ただし鉄道車両・軌道車両にかかる見直しは2020年(令和2年)4月)、また、同年同月に、バリアフリー整備ガイドラインの旅客施設編と車両編が見直されています。
このほか、2018年5月には、交通事業者による一定水準の接遇を全国的に確保し、高齢者、障害者等の移動等円滑化を推進することを目的として、接遇の基本的事項のほか、交通モードごと、具体的な場面ごとの接遇の在り方等を示した「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」が策定されています。
(3)「公共交通移動等円滑化基準」の見直し。8つのソフト基準
2018年12月の「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律(ユニバーサル社会実現推進法)」の交付・施行や、オリンピック・パラリンピック東京大会を契機とした共生社会実現に向けた機運醸成等を受け、「心のバリアフリー」に関する施策など、ソフト対策の強化をする必要があることから、公共交通機関において整備されたバリアフリーの整備が適正に利用されることを維持するための基準適合の義務の創設等が盛り込まれた「バリアフリー法」の改正法が2020年5月に公布されました。(施行は2021年4月)
その結果、ハード基準に適合した旅客施設・車両等の機能が十分に発揮されるためには、公共交通事業者等が実際にサービスを提供する際にこれらの旅客施設・車両を適切に使用することが不可欠との観点から、「公共交通移動等円滑化基準」が見直され、以下8つのソフト基準が定められました。
- ①旅客が利用するために職員等による操作が必要な整備。構造における役務の提供
- ②職員等が求めに応じて提供する整備における役務の提供
- ③職員等の配置を持って適用除外とされる設備における役務の提供
- ④運行情報提供設備による情報提供
- ⑤照明設備による明るさの確保
- ⑥運行情報提供設備以外の設備による文字または音声の情報提供
- ⑦一時使用目的の旅客施設又は車両等における役務の提供
- ⑧人的対応する職員等の配置
以上から、2018年のバリアフリー法の改正以降の特徴は、理念の共生社会をベースに、接遇や心のバリアフリー(ソフト基準)など、ハードよりもソフト的なことの対象が拡大しました。
3⃣心のバリアフリー/障害の社会モデル
(1)心のバリアフリー
「心のバリアフリー」とは、さまざまな心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、支え合うことで、そのためには1人ひとりが具体的な行動を起こし継続することが必要です。
各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」のなかで、以下の3点とされています。
- ❶障害のある人への社会的障壁を取り除く音は社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること
- ❷障害のある人及びその家族への差別(不当な差別的取り扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないように徹底すること
- ❸自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションをとる力を養い、全ての人が抱える困難や痛みを想像し共管する力を培うこと
(2)障害の社会モデル
「障害の社会モデル」とは、「障害」は個人の心身機能の障害と、社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは、社会の責務である、という考え方です。
「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、「障害の社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことで、社会全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要です。
また、この「障害の社会モデル」の考え方を反映させ、誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインのまちづくりを強力に推進していく必要があるとされています。
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