こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今回は「福祉住環境」の中から『高齢者住宅・施設の変遷』について、9回に分けて書いていきます。今日は3回目です!
「老人保健法」の制定と老人保健施設
Contents
1.1980年代(歴史的変遷)
1⃣家族構成の変容
2⃣「老人保健法」の制定と老人保健施設
3⃣福祉政策と住宅政策の連携を目指す動き
4⃣ゴールドプランの策定
1.1980年代(歴史的変遷)
1⃣家族構成の変容
1980年代半ばになると、高齢化率は10%を超え、高齢者を取り巻く環境は、以前にも増して大きな変化を見せるようになりました。
高度成長期を通して顕著に進んだ家族構成の変容は、さらに激しさを増して進行しました。
3世代同居の割合は減少を続け、その一方で単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加しました。
女性の社会進出も増え、家庭内での女性の労働力を、高齢者介護のマンパワーとしてあてにしてきたそれまでの福祉モデルでは対応しきれないようになってきました。
家族を中心にして高齢者介護を支えようとする「日本型福祉社会」を目指すとしながらも、急激な社会構造の変化を前に、こうした理念は絵に描いた餅になりつつありました。
福祉の分野だけでなく、医療・保健、ひいては住宅の分野でも高齢者のケアや居住環境整備により一層取り組む必要性が高まってきました。
2⃣「老人保健法」の制定と老人保健施設
1980年代には、高齢者人口の増加と共に、老人医療費の増大も顕著となってきました。
1982年(昭和57年)8月に「老人保健法」が制定され、同法の施行(1983年(昭和58年)2月)により、70歳以上の医療費無料制度が廃止されるとともに、中高年層に対する地域保健対策として、40歳以上の全ての人に健康診断が定期的に行われるようになりました。
1973年の老人医療費の無料化と、福祉施設整備の遅れは、介護サービスを必要とする高齢者がやむなく病院への入院を選択せざるを得ないという社会的入院の問題を引き起こしました。
高齢者にふさわしい看護や、介護に重点を置いたケアの必要性が高まり、医療と福祉が連携した総合的なサービスの提供が求められるようになりました。
1977年(昭和52年)、中央社会福祉審議会は、特別養護老人ホームにおける療養と介護の改善を答申しましたが、「老人保健法」の制定に関する1981年(昭和56年)の審議では、療養と介護を必要とする高齢者のための中間的な施設の必要性についても議論されました。
1986年(昭和61年)12月、「老人保健法」が改正され(1987年(昭和62年)1月施行)、「老人保健施設」が創設されました。
これにより、老人病院や特別養護老人ホームに預けきりになっていた高齢者の新たな受け皿を増やし、リハビリテーションなどを積極的に行うことで、施設から家庭て戻る高齢者を増やすという試みが始まることとなりました。
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3⃣福祉政策と住宅政策の連携を目指す動き
1980年代は、「福祉政策」と「住宅政策」の連携が図られるようになった時期でもあります。
単身や夫婦など高齢者のみ世帯が増加する中、1985年(昭和60年)1月、社会保障制度審議会が、「老人福祉の在り方について」の中で、「病弱等のひとり暮らしや老人夫婦世帯の老人がこれまでの住宅に住み続けることが困難になった場合に入居する、従来の老人ホームと住宅との中間形態の小規模な老人向き集合住宅の整備」が望まれると指摘しました。
それを受け、1987年度に厚生省(現・厚生労働省)と建設省(現・国土交通省)の共管で「シルバーハウジング・プロジェクト」が創設されました。
シルバーハウジングは、高齢者世帯及び障害者世帯を対象に、高齢者等の生活特性に配慮したバリアフリー仕様の住宅と、生活援助員(LSA:ライフサポートアドバイザー)による日常生活支援サービスの提供をセットにした住宅で、公営住宅など公的賃貸住宅の高齢者版として供給が行われるようになります。
4⃣ゴールドプランの策定
1989年(平成元年)12月、同時の厚生省、大蔵省(現・財務省)、自治省(現・総務省)の3省合意として、「高齢者保健福祉促進十か年戦略(ゴールドプラン)」が策定されました。
ゴールドプランは、1989年4月に消費税3%が導入されたことを踏まえ、1999年度(平成11年)までの10年間に総事業費6兆円以上を投じて、各種の高齢者向け施設やサービスの設備を図るという計画でした。
その計画は、
- ❶在宅福祉対策:ホームヘルパー(10万人)の養成、ショートステイ(5万床)、デイサービスセンター(1万か所)、在宅介護支援センター(1万か所)など
- ❷施設対策:特別養護老人ホーム(24万床)、老人保健施設(28万床)、ケアハウス(10万人分)など
- ❸地域での機能訓練の実施、寝たきり予防対策など
これら、具体的な目標値を設定して計画的に実施するというものでした。
意欲的な目標数値や財政規模が盛り込まれたことから、それまでの福祉予算抑制路線を見直すものとして、各方面から大きな注目を集めました。
ゴールドプランは、具体的な整備目標を数値化して示し、介護の社会化に向けて1つの道筋をつけたという点で重要な政策といえます。
その後の日本社会を襲ったバブルて経済の崩壊と、平成大不況の進行という事態にもかかわらず、高齢者介護に関する国の予算は、ゴールドプランに沿って相対的に比重を高めていくこととなりました。
次回は、1990年代の介護の歴史についてまとめていきます!!
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