法律や制度

【介護保険マニュアル】申請に必要な5つの手続き

こんにちは💚 介護ラボのカナです。今回は『介護保険』について。「どうやって申請したらよいのかわからない」人や、「介護保険って何?」という疑問を1からわかり易くまとめていきます!!

介護保険ってなに?

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介護保険は誰が使えるの?

介護保険は、「介護保険」を支払っている人(被保険者)が利用できます。しかし、利用するには条件があります。※条件について次項から詳しく書いていきます!

介護保険制度では、

  • 65歳以上⇒第1号被保険者
  • 40歳以上65歳未満⇒第2号被保険者

と区分していて、原則として「40歳以上の人」は被保険者として介護保険制度に加入することになります。

※「被保険者」とは、保険の利用者のこと。「保険者」とは、保険を運用する組織のこと。

40歳以上の人が介護保険の被保険者となったのには理由があり、

  • 介護が必要になる可能性が40歳位から高くなる
  • 40歳以上の自分の親が高齢者となり介護を必要とする可能性が高くなる

と考えられたからです。

介護保険を利用するための条件

介護保険の被保険者(利用者)になるためには、市町村内に住所があることが条件となります。基本的に住所がある市町村の被保険者となります。

その他に、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)については、医療保険に加入していることも条件になります。

市町村が保険者(運営する組織)になった理由は、地域ごとに介護の課題が異なるため、地域ごとの特徴を反映できる仕組みが求められたからです。
ただし、小規模な市町村では安定した運営ができないことから、
●広域連合
●一部事務組合
といった、近隣の市町村で共同して運営することもあります。

❶介護保険の第1号被保険者

介護保険の【第1号被保険者】とは??
加入対象者:65歳以上
・加入条件:市町村内に住所があること

❷介護保険の第2号被保険者

介護保険の【第2号被保険者】とは??
・加入対象者:40歳以上65歳未満
・加入条件:市町村内に住所があること、医療保険に加入していること

基本的に、住所がある市町村の被保険者(保険加入者)になりますが、施設に入所している人については、施設がある市町村に住所を変更しても、変更前の住所があった市町村の被保険者となります。

なぜ住所変更しなくてもよいのかというと、「住所地特例」があるからです。

この住所地特例が使える施設は、「介護保険施設」「特定施設」「老人福祉法の措置で入所する養護老人ホーム」が対象となります。

❸介護保険を使える40歳~65歳未満の16の特定疾病

40歳以上の第2号被保険者は、「下記の16の特定疾患に該当し、要介護状態または要支援状態」になったら介護保険の給付を受けることができます。※16の特定疾患に該当しても、要介護または要支援状態にならなかった場合は給付を受けることはできません。

◉16の特定疾患とは??
①がん(医師が一般的に認められている医学的見地に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
②関節リウマチ
③筋萎縮性側索硬化症(ALS)
④後縦靭帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥若年性認知症(初老期における認知症)
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症
⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病成人症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

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介護保険5つの手続き方法

介護保険を利用するには、第1号・第2号被保険者とも、「要介護」または「要支援」状態になることが条件になります。※要介護・要支援の定義は下記の通りになります。

介護保険法では、「第7条 この法律において「要介護状態」とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれている状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要介護状態区分」という。)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当する者を除く。)をいう。
2 この法律において「要支援状態」とは、身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、または身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要支援状態区分」という。)のいずれかに該当するものをいう。

上記の「厚生労働省令で定める期間」とは、

  • ①⇒6カ月。ただし、第2号被保険者については「要介護状態」の原因である障害が、がんによって生じたもので余命が6カ月に満たないと判断される場合は、死亡までのあいだ。
  • ②6カ月。但し、第2号被保険者については「要支援状態」の原因である障害が、がんによって生じたもので余命が6カ月に満たないと判断される場合は、死亡までのあいだ。

と定められています。

介護保険サービスの利用手続きは、

❶市町村に申請する

❷認定調査を受ける

❸要介護認定・要支援認定を受ける

❹要介護認定・要支援認定の結果の通知を受ける

❺ケアプラン(介護サービス計画)を作成する

という5つの過程があります。次項から具体的に書いていきます。

❶市町村に申請する

介護保険サービスを利用するには、まず「市町村」に要介護認定・要支援認定の申請します。この申請は、申請書に必要事項を記入し被保険者証を添えて、担当する課の窓口に提出します。

この申請は、本人に代わって、

  • 家族や親族
  • 成年後見人
  • 民生委員
  • 地域包括支援サンタ―

などが申請することも可能です。

❷認定調査を受ける

❶の介護保険サービスの申請が受理されると、市町村から認定調査員が派遣されて認定調査が行われます。※新規の認定調査の場合は、市町村の職員が行います。

要介護認定・要支援認定を更新する場合や、要介護度の変更の認定を受ける場合などについては、ケアプランを作成する

  • 「指定居宅介護支援事業者」や「介護保険施設」

などに市町村が調査を委託することも出来ます。

認定調査は、原則として1名の認定調査員が、日頃の状況を把握できる場所に訪問して実施します。

この認定調査は、全国共通の調査票を用いて行い、その内容は、

  • 概況調査
  • 基本調査(74項目)
  • 特記事項

の3つで構成されています。

このうち「基本調査」については、次項の❸の「要介護認定・要支援認定における一次判定」に直接影響するものとなります。

調査項目は、

  • 「身体機能・起居動作」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」の5群62項目
  • 「過去14日間に受けた特別な医療」の12項目

から構成され、あわせて74項目について認定調査が行われます。

また、各群には特記事項を記入する欄があり、特別に記載することがあれば記入できるようになっています。

さらに認定調査と並行して市町村は、申請者の主治医から「主治医の意見書」の提出を求めます。

もし主治医がいない場合は、市町村が指定してする医師の診察を受ける必要があります。

❸要介護認定・要支援認定を受ける

❷の認定調査の結果は、要介護認定・要支援認定を行うためにコンピューターに入力されます。コンピューターに入力されたデーターから要介護認定等基準時間が計算され、要介護認定等基準時間をもとに要介護認定・要支援認定が行われますが、これを「1次判定」といいます。

  • 要介護認定・要支援認定は、1次判定だけでは終わりません。

この1次判定の結果に、特記事項と主治医意見書をあわせて「介護認定審査会に審査判定を求める」ことになります。これを「2次判定」といいます。

介護認定審査会とは、保険者である市町村に設置され、最終的な要介護認定・要支援認定についての審査判定を行う組織です。委員は、保健、医療、福祉に関する学識経験を持った者の中から市町村長が任命します。介護認定審査会の委員は、要介護状態あるいは要支援状態に該当するかどうか、該当する時には、どの程度の介護が必要であるのか審査判定を行います。

❹要介護認定・要支援認定の結果の通知を受ける

市町村は、介護認定審査会の審査判定の結果をうけ、認定あるいは不認定の決定を行います。この決定の通知は、申請日から原則30日以内に行うことになっています。

もし30日を超えてしまう場合は、あらかじめ文書で通知しなくてはなりません。またこの「要介護認定・要支援認定の結果」については、申請日に遡って有効となります。

もし、要介護認定・要支援認定の結果に不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会にに審査請求すること(不服を申し立てること)が出来ます。審査請求することができるのは、原則として処分があった日の翌日から数えて3か月以内になります。

❺ケアプランを作成する(介護サービス計画)

❹の要介護認定・要支援認定の結果、要介護状態あるいは要支援状態にあることが認められても、すぐに介護保険サービスを利用できるわけではありません。

  • 介護保険サービスを利用するためには、利用の前に「ケアプラン」を作成する必要があります。

なぜケアプランを作成をするのかというと、利用者1人ひとりのニーズに合わせた適切な保険・医療・福祉のサービスを提供することが必要だからです。

そのためにケアプランは、

  1. 利用者のニーズの把握
  2. 援助目標の明確化
  3. 具体的なサービス種類と役割分担の決定

という過程を経て作成されます。

ケアプランの作成は、自分で行うことも出来ますが、ケアプランを作成する専門職に作成を依頼することが多いです。ケアプランを誰が作成するのかは、利用する介護保険サービスによって異なります。

ケアプランを作成するのは?
◉【要介護状態にある利用者】に給付される「介護給付」の場合
・「居宅サービス」や「地域密着型サービス」を利用する場合
⇒居宅介護支援事業のケアマネージャー(介護支援専門員)によってケアプラン(居宅サービス計画)を作成
・「施設サービス」を利用する場合
⇒ 介護保険施設のケアマネージャー(介護支援専門員)によってケアプラン(施設サービス計画)を作成

◉要支援状態にある利用者に給付される「予防給付」の場合
・「介護予防サービス」や「地域密着型介護予防サービス」を利用する場合
⇒ 地域包括支援センターの保健師など介護予防支援に関する知識を持つものによってケアプラン(介護予防サービス計画)を作成
※介護予防サービス計画は、地域包括支援センターから委託されている居宅介護支援事業者のケアマネージャー(介護支援専門員)が作成することもあります。

この「ケアプランの作成」については、利用者負担はなく、全額保険給付されます。

まとめ

このように、介護保険サービスを利用するには、5つの過程が必要になります。

まだ介護が必要ない人でも、

  • 介護予防・日常生活支援総合事業

については、要介護認定・要支援認定を受けずに利用することが可能で、地域包括支援センターなどが実施する「基本チェックリスト」の質問に答えて、一定の基準に該当した人(基本チェックリスト該当者)は、サービスを利用することが出来ます。

もし、

  • 介護を利用しようかな?
  • 介護保険使えるかな?

と考えているような状況な時に、今回の記事が参考になればと思います。

介護は、1人で抱え込んだり、家族だけで頑張るのは限界があります。

介護保険という制度を利用しながら、日常生活を安定させ、出来る部分を介護することで、介護する側も介護を受ける側も自分らしい生活ができるようにすることが大切になります。


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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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