こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『鉄道の施設・車両のバリアフリー設備』について書いていきます。
ホームからの転落件数の推移
Contents
1.鉄道の施設・車両のバリアフリー整備
1⃣ホームと車両との段差・隙間解消
(1)段差・隙間の解消の経緯と事例
(2)実証試験の結果による段差と隙間の目安
2⃣ホームドア
(1)ホームからの転落件数の推移
(2)ホームドア設置の考え方
❶ホームドアの整備計画
❷ホームドア整備駅数の推移
3⃣その他の設備の課題
(1)エレベーター
(2)エスカレーターへの視覚障害者誘導用ブロックの敷設
(3)多機能トイレの機能分散
(4)トイレのオールジェンダー化
1.鉄道の施設・車両のバリアフリー整備
肢体不自由者、特に車いすを利用している人のための整備は、垂直移動施設に関しては、①エレベーター、②エスカレーター、③階段、などがあります。
また、車両の乗降を安全かつスムーズに行うための、
- ④ホームと車両の段さ・隙間の解消
- ⑤バリアフリートイレの整備
などがあります。
また、視覚障害者の安全対策として、
- ⑥ホームからの転落を防止するホームドア
- ⑦視覚障害者誘導用ブロック
- ⑧音声案内
などがあり、聴覚障碍者に対しては、
- ⑨誘導サインなどの案内表示
- ⑩緊急時の案内
などがあります。
1⃣ホームと車両との段差・隙間解消
(1)段差・隙間の解消の経緯と事例
鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間については、「公共安全移動等円滑化基準」および「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準(鉄道技術基準の解釈基準)」において、段差はできる限り平らであること、隙間はできる限り小さいものであることと規定されています。
実際のプラットホームと車両乗降口には、旅客の円滑な乗降と、列車の安全な走行に支障がないよう一定の段差・隙間が設けられています。
そのため、車椅子利用者が乗降する際には、渡り板が必要となり、駅員の介助なしに単独で乗降できない場合がほとんどです。
2018年(平成30年)10月に、「鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間に関する検討会」を設置して、車椅子利用者の単独乗降と列車の安全な走行を両立しうる段差・隙間の検討を行いました。
その結果、以下の省令と基準が見直されました。
- 公共交通移動等円滑化基準
- 鉄道技術基準の解釈基準
また、具体的な技術開発としてプラットホームの緑端部へのくし状ゴムの設置を行った駅もあります。※下記の画像は阪急電鉄のものです。
(2)実証試験の結果による段差と隙間の目安
車いす使用者による実証試験の結果から、理想的な幅は、段差2cm、隙間5cm(すべての被験者が乗降可能)になりますが、一方で、車両とホームの接触防止といった安全運行の確保や軌道・車両の維持管理などの観点からの制約を考慮する必要があります。
その結果、ホームと車両の段差は、ホームの形状や軌道構造に応じて定めることとし、段差・隙間の目安値として、コンクリート軌道の場合、直線部の段差が3cm、隙間が7cmとしています。
2⃣ホームドア
(1)ホームからの転落件数の推移
実際のホームからの転落件数をみると、視覚障害者の駅ホームからの転落件数は、2011年度(平成23年)から2015年度(平成27年)まで、毎年70件以上であったものの、2015年度をピークに2019年度(令和元年)は61件となっています。
一般利用者を含めた全利用者の駅ホームからの転落件数は、2014年度(平成26年)をピークに、2019年度(令和元年)度は、2,887件となっています。
ホームからの転落件数のうち、視覚障害者の占める割合は2~3%であり、一般利用者がその大半を占めています。
(2)ホームドア設置の考え方
❶ホームドアの整備計画
鉄道駅のホームドアは、視覚障害者を含むすべての人の転落防止にとって重要な対策になります。
そのため、政府は、「交通政策基本計画(2015年(平成27年)2月13日閣議決定)」において、2020年度(令和2年)までに800駅を整備するという目標を設定するとともに、1日当たり平均利用者数が10万人以上の駅について、優先的な整備を行う方針を示し、ホームドア整備に関する補助制度等を活用して、その設置を促進してきました。
なお、2021年(令和3年)5月には、第2次交通政策基本計画が閣議決定さており、そこでは、2025年度(令和7年)までに、
- ①鉄軌道駅全体で3,000番線
- ②10万人以上の駅で800番線
を整備する目標が掲げられています。
❷ホームドア整備駅数の推移
移動等円滑化の促進に関する基本方針が告示された2011年当時、、平成23年)当時、全国におけるホームドア設備駅数は519駅で、そのうち10万人以上の駅は30駅でした。
その後、2019年度末時点(令和元年)では、全国で858駅となり、交通政策基本計画における2020年度末までに800駅とする整備目標を1年前倒しで達成することとなりました。
地域別では、全国858駅中、首都圏が56%の484駅、近畿圏が14%の118駅、中京圏8%の66駅となっています。
3⃣その他の設備の課題
(1)エレベーター
国際パラリンピック委員会・IPCアクセシビリティガイドでは、エレベーターは17人乗りなどですが、2000年(平成12年)に決定したわが国の11人乗りのエレベーターサイズはそのまま据え置きされました。
その補完的な対応として、特に混雑駅などでは、鉄道駅のバリアフリールートを1ルートから2ルート整備によって対応するとしています。
(2)エスカレーターへの視覚障害者誘導用ブロックの敷設
視覚障害者のエスカレータ利用のために、誘導案内方法に対応した検討を行う必要があります。
今まで、視覚障害者は安全性の観点から階段に誘導し、エスカレーターには誘導されませんでした。
しかし、様々な調査結果により、エスカレーターに対して視覚障害者誘導用ブロックを敷設することは何の問題もないこととされ、エスカレーターに誘導用ブロックが導入されることとなりました。
(3)多機能トイレの機能分散
普通のトイレは車椅子使用者が利用できないので、トイレの機能分散を図り対応することが必要となっています。
また、多機能トイレ、多目的トイレ、たれでもトイレ(東京都)から、車椅子に重点を置いたバリアフリートイレ(車椅子使用者用便房等、男女共用で利用が可能なトイレ、乳幼児連れ用設備やオストメイト用設備を一般トイレ内に設置など)と名称も変更しています。
トイレの機能分散とは、オストメイトやベビーチェアなどを一般便房より広くして設置するなどの対応になります。
(4)トイレのオールジェンダー化
LGBTなどの利用に対して、トイレのオールジェンダーの普及が求められています。
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