法律や制度

【③障害者総合支援法の成立までの流れ】障害者虐待防止法(5つの虐待の定義) vol.792

2022-08-14

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『障害者総合支援法の成立までの流れ』について3回に分けて書いていきます。今回は最終の3回目です!

障害者総合支援法改正(3つの大枠)

Contents

1.障害者総合支援法の成立までの流れ
 1⃣障害者総合支援法
 (1)障害者自立支援法から2つの見直し
 2⃣障害者虐待防止法 (5つの虐待の定義)
 3⃣障害者差別解消法
 4⃣難病法
 5⃣障害者総合支援法改正(3つの大枠)

1.障害者総合支援法の成立までの流れ

前回は、老人福祉法(改正)~障害者自立支援法までをまとめました。今回は「障害者総合支援法」から書いていきます。

1⃣障害者総合支援法

2012年(平成24年)6月、「障害者自立支援法」を改正する形で、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が成立し、2013年(平成25年)4月から施行されました。

『障害者総合支援法』は、「共生社会の実現に向け、日常生活・社会生活の支援は、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生と、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われること」を基本理念として新たに掲げました。

(1)障害者自立支援法から2つの見直し

障害者自立支援法から、

  • ❶障害者の範囲に難病患者等を加える
  • ❷障害者程度区分を改め障害支援区分を創設

この2つが見直され、❷は、2014年(平成26年)4月に実施されました。

障害者へのサービスとして、

  • ①重度訪問介護の対象拡大
  • ②共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化
  • ③地域移行支援の対象拡大
  • ④地域生活支援事業の拡大

などが行われています(※①~③は、2014年4月実施)。

さらに、サービス基盤の計画的整備の検討に当たっては、「障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させる措置を講ずること」となっています。

なお、これに先立ち、2011年(平成23年)8月に「障害者基本法」の改正があり、障害者の定義について、

  • 障害者が日常生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみに起因するのではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずる

という「社会モデル」の考え方を踏まえ、範囲の見直しを行いました。

障害の範囲については、発達障害や難病等に起因する障害が含まれることから、

  • 身体障害
  • 知的障害
  • 精神障害(発達障害を含む)
  • その他の心身の機能障害

としました。

また、差別の禁止、防犯及び犯罪に関して必要な施策を講ずる旨を条文化、消費者として障害者の保護、障害者基本計画等に関し調査審議するために障害者対策委員会を内閣府に置くなどの改正が行われました。

2⃣障害者虐待防止法(5つの虐待の定義)

児童、高齢者の分野に続いて、障害者の分野でも「障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」が2011年(平成23年)に制定され、2012年10月から実施されました。

この法律で規定している障害者虐待は、

  • ❶擁護者による障害者虐待
  • ❷障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
  • ❸使用者による障害者虐待

の3つです。

また、虐待の種類として、

  • ①身体的虐待
  • ②ネグレクト
  • ③心理的虐待
  • ④性的虐待
  • ⑤経済的虐待

の5類型の虐待を定義しています。

通報の対象まではしないものの、学校、保健所、医療機関の管理者に、虐待防止の措置を取ることを義務付けています。

3⃣障害者差別解消法

国連の「障害者の権利に関する条約」の終結に向けた国内法の整備の一環として、2013年(平成25年)「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が制定されました(2016年(平成28年)4月施行)。

この法律は、「障害者基本法」第4条を具体化したもので、

  • ①障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止
  • ②社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止
  • ③国による啓発・知識の普及を図るための取組み

で、実施については「合理的配慮」の必要性を示しています。

これらの障害者の人権保障に関する法律の整備が整い、国は「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」を、2014年1月に批准し、条約が発効しました。

4⃣難病法

2014年(平成26年)に成立した「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」は、難病の患者に対する医療費助成に関して、法定化することによりその費用に消費税の収入を充てることが出来るようにする等、公平かつ安定的な制度を確立するための対策として成立しました。

2021年(令和3年)11月現在の指定難病は「338疾病」となっています。

また、障害就労施設等からの受注の機会を確保するために必要な事項等を定めた「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」が2013年に施行されました。

2012年に「障害者総合支援法」が成立したとき、3年後に見直しを図ることが定められました。

このため、社会保障審議会障害者部会は、2015年(平成27年)4月から見直しについて検討を始め、同年12月に報告書を提出し、大きく分けて次の3つの柱で整理を行いました。

❶新たな地域生活の展開

❷障害者にニーズに対するよりきめ細やかな対応

❸質の高いサービスを持続的に利用できる環境整備

です。

この報告書等を受け、2016年5月に改正障害者総合支援法が成立しました。

5⃣障害者総合支援法改正(3つの大枠)

2016年の障害者総合支援法及び児童福祉法の改正では、3つの大きな枠として改正が行われました。

1つ目は、「障害者の望む地域生活の支援」として、

  • ①地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設
  • ②就労定着に向けた支援を行う新たなサービス(就労定着支援)の創設
  • ③重度訪問介護の訪問先の拡大
  • ④高齢障害者の介護保険サービスの利用者負担の軽減

です。

そして、2つ目は、「障害児支援のニーズの多様化へのきめ細やかな対応」

  • ①居宅訪問により児童発達支援を提供するサービスの創設
  • ②保育所等訪問支援の支援対象の拡大
  • ③障害児のサービス提供体制の計画的な構築

などが挙げられます。

最後の3つ目は、「サービスの質の確保・向上に向けた環境整備」として、

  • ①「購入」を基本とする原則は維持したうえで、障害者の利便に照らして「貸与」が適切と考えらえる場合に限り、新たに補装具費の支給の対象とする補装具費の支給範囲の拡大(貸与の追加)
  • ②障害福祉サービス等の情報公表制度の創設

などが挙げられ、2018年4月より実施されています。

そして、2021年(令和3年)に開催された東京オリンピック・パラリンピックにおいては、大会に向けたアクセシビリティの実現のため「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」が策定されています。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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