認知症の理解

【②家族支援】虐待を行った養護者(虐待者)の4つの特徴 vol.410

2021-07-28

こんにちは。介護ラボのkanaです。『家族支援』について、前回から4回に分けてまとめていきます。

キューブラーロスの受容に至るまでの心理過程

認知症の人の家族の心理過程と葛藤

介護をする家族等による高齢者虐待が増加しています。最も安心できるはずの家庭において、家族が家族を虐待してしまっているのです。

なぜ「虐待」が起こってしまうのでしょうか??

特に認知症ケアは負担が大きいものですが、家族を支援することで未然に防げた可能性もあります。

1⃣家族を支え虐待を防止する

虐待を受けた人

「女性で80歳以上、認知症の人」が虐待を受けやすい傾向にあります。また、要介護者であり、介護保険サービスを利用していても虐待を受けることがあるので、介護保険サービスを利用しているから安心ということではありません。

※厚生労働省の令和3年度調査結果によると、「性別では「女性」が 75.6%、「男性」が 24.4%であり、女性が 8 割近くを占め、年齢階級別では「80~84 歳」が 24.6%と最も多かった。」

そして、高齢者虐待を発見するのは、介護関係者が多い傾向も明らかになっています。

そのことから介護関係者は虐待を早期に発見し、未然に防ぐための役割もあることを一層自覚しなければなりません。

介護関係者が多い

厚生労働省が実施した2016年度(平成28)の調査では、養護者による高齢者虐待の相談・通報者全体の41.0%が介護・医療関係者でした。

2⃣虐待をしてしまった家族等介護者の傾向

虐待をしてしまった人

虐待をしてしまった人は、「男性で50~59 歳」が25.9%と最も多くなっています。また、虐待者とのみの同居が多く、男性1人で介護をしている人が多いことが分ります。

これらから、相談相手や介護を助けてくれる人がいないことは、介護者の負担を大きくしてしまい、結果的に虐待になってしまっている事例が多いことが読みとれます。

高齢者虐待は、最初から虐待をしようとして意図的に行ったのではなく、結果的に虐待に至ってしまった事例が多いものです。その過程には、

  • 虐待者本人の健康問題
  • 経済的問題
  • 知識の不足

などがあります。

そのために、介護関係者は、未然に防止するために家族の声や様子をよく観察し、家族自身が「助けて欲しい」と入れるように、家族の声に耳を常に傾けていく姿勢が求められます。

●養護者に虐待を受けた人の5つの特徴

下記の5つの特徴は、厚生労働省『令和 3 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果』2021年より引用しています。

❶男性よりも女性が多い(男性24.4%、女性75.6%)

❷80歳以上が7割以上(74.2%)

❸介護保険サービスを受けている人は8割(81.6%)

❹要介護認定を受けている人が多い(68%)

❺要介護認定者における認知症の人の割合が7割以上(72.2%)

●虐待を行った養護者(虐待者)の4つの特徴

下記の4つの特徴は、『令和 3 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果』」2021年より引用しています。

❶息子(38.9%) → 夫(22.8%) →娘(19.0%)、の順で多い

❷年齢は、50~59歳(25.9%) ⇒ 70~79歳(16.0%) ⇒ 60~69 歳(15.9%) ⇒ 40~49歳(15.3%) の順で多い

❸同別居の状態では、虐待者とのみの同居(52.6%)、の世帯が最も多い

❹家族形態では、未婚の子と同居(34.0%) →夫婦のみの世帯(23.3%)、の順で多い

家族がたどる心理過程と葛藤

1⃣家族の心理状況の段階的変化 (キューブラーロス、コーン)

受容に至るまでの心理過程を

家族介護者の心理状態を理解するために受容に至るまでの心理過程をステージ理論で段階的に捉えてみます。この考え方は、元々亡くなることを宣告された本人がその事実を受け入れる過程をステージで表現した「キューブラーロス」の亡くなることの受容と、障害者でもあった心理学者「コーン」が自らの病気や障害者に対する心理的回復過程を元に提唱されました。

これは、本人が本人の人生にかかわる重大な出来事や事実を受け入れるまでのプロセスを示したものであり、介護者の心理的サポートに役立つものとして、認知症の介護者の心理として使われています。

注意が必要なのは、これは認知症の人や障害者の心理状況を、支援する側の家族の視点に当てはめようとしていることです。

そのために次項の4つの項目のプロセスは受容に至る個人差があることを前提とする必要があります。

あくまでもこころの様子を探ろうとするものではなく、第三者である支援者が介護者と共に歩む姿勢を示すための1つの指標として用いることが必要です。

キューブラーロスとコーンとは?

【キューブラーロス(Kubler-Ross,E.)】
病などで死と直面する人とのかかわり方を研究し、著者の中で最期のプロセスを提唱しました。
「否認」→「怒り」→「取引」→「抑うつ」→「受容」
の段階があると説明しています。

【コーン(Cohn,N)】
中途で身体障害を負った人の障害をどう受け止めるかということを「障害受容」のプロセスとして説明しました。
「ショック」→「回復への期待」→「悲観」→「防衛」→「適応」
という5つの段階が仮定されています。

キューブラーロス
(1)「とまどい・ショック・否認」(ピアサポート)
「とまどい・ショック・否認」

認知症かもしれないという疑いや違和感を覚え始める段階です。頻繁に起こる記憶の障害や不可解な行動を目にしたとき「まさか」という思いと同時に正常な部分を見つけようとします。

不安に思い、医療機関に相談や受診をしに行くと、認知症と告知され大きなショックを受けます。

もしかしたら一時的なもので治るかもしれないという希望は絶たれて、その事実を受け止めきれず疑い、混乱します。

多くの介護者はこれまでに経験をしていない事なので、将来が見えず戸惑います。自身の気持ちを受け入れるための支援が必要になります。

その際には、介護者同士の「ピアサポート(同様の経験や体験を共有する人同士による支え合い)」が有効です。具体的には家族会のような集まりに参加することです。

実際に同じ思いを持ち、生活をしている人と話をし、将来の過程や有効なサービスの使い方等を聞くことで、精神的な安定に繋がったりします。

(2)「混乱・怒り・防衛」
「混乱・怒り・防衛」

生活の中で起こる様々な理解しがたい出来事が頻繁に起こり、混乱し、今の状況に怒りさえ覚え始める時期です。この怒りは自分自身に対してであり、認知症の人に向けられる場合もあります。

何度も何度も同じことを繰り返したり、外出し迷子になって周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。また、畳の上で用を足してしまったり、目が離せない状況が起こり、介護者の生活の流れや社会生活や仕事を制限しなくてはならなくなり時期です。

一方、認知症の人は、周囲の人には上手に取り繕い、周囲の人から「まだ大丈夫そうね」などと介護者が言われ、介護者自身の状況が理解してもらえないことがあります。

認知症と分かってもいても辛く当たってしまい、そのたびに後悔し、身体・精神的に疲れ、反省をします。

家族全体、周囲の人が認知症について理解をするための情報提供や話し合いの場面を作っていくことが大切です。

(3)「諦め・割り切り」
「諦め・割り切り」

今の状況を受け入れると同時に、周囲の助けに限界があり仕方ないと諦め、介護者として生きていこうといった割り切りも生まれる時期です。

徐々に、

  • 「私にしかこの介護は出来ない」
  • 「私が最後まで面倒を見なければこの人は誰も見てくれない」

といった介護への依存傾向があらわれることがあります。

この時期には、孤立したり、人と接触を避け密室化したりすることによる抑うつ傾向が見られ始めることもあります。

介護者自身の心身の健康に注意を払い、介護者自身の休息時間を設けることも大切です。

(4)「適応・受容」
「適応・受容」

介護者自身で生活のリズムを調整したり、上手に介護サービスを利用して介護をすることで、介護者の自己の成長や新たな価値観を見いだす時期です。

「できること」「できないこと」の見定めや、認知症の人の生活の質の向上のために何が必要かを分析的に受け入れることが出来る時期でもあります。

しかし、本質的には介護の負担は変わっていません。

認知症の人の症状や介護者の環境や健康状況によって、再び混乱をきたすこともあります。また、終末期に向けた悲しみや悲哀の感情が生まれることもあるので、介護福祉職は注意深く見守る必要があります。

2⃣家族の葛藤を支える

認知症介護は、診断の直後から家庭生活全体に変化と選択を迫られます。具体的には「だれが」「どこで」「どのように」介護生活をするのかということです。

別居している場合には「だれが」介護をするのか、フルタイムで仕事をしている場合、仕事をどうするのか、同居の場合でも、不在の際にどうするのかを選択しなければなりません。

また、将将来のことも考えて住宅の改修や引っ越しなども検討しなければならない場合もあります。

仮に介護者としての生活を選択した場合、これまで楽しみにしていた趣味や外出を控えなければならないのかという不安もあります。

自分では「大切な家族だから出来るだけ一緒にいて介護をしてあげたい」という気持ちと、「やはり難しいのでは」という葛藤が生じます。

介護をすると決心しても、友人と食事に行くこともなかなかできず、誘いを断らなければならないこともあります。1日中ついてまわり、夜になっても起きてくる認知症の人に対し、ついつい強い言葉を言ってしまう自分に、罪悪感を感じることもあります。

認知症が進行してくると、在宅生活の限界を感じますが、施設入所に掛かる費用であったり、親戚や近隣からの目が気になり決心がつかないこともあります。

こうした「良い介護像」と「現実」の板挟みから自己犠牲を強いらえることがあります。介護者は、介護が始まった段階から、

  • 「Yes」or「No」

の選択を迫られ、葛藤から疲弊していきます。

この選択の際に1人で悩むのではなく、介護福祉職が味方となり、一緒に考えてくれる姿勢があることは家族にってとても心強いものです。

その際には、家族も認知症の人も最も生活の質であるQOLが高くなる選択を支援することが、介護福祉職による家族支援の基本姿勢として求めらえます。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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