こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『認知症高齢者グループホーム』について書いていきます。
認知症高齢者グループホームの制度化
Contents
1.認知症高齢者グループホーム
1⃣認知症高齢者グループホームの制度化
2⃣グループリビング
(1)グループリビングの意義
(2)グループリビングの形態
2.まとめ
1.認知症高齢者グループホーム
これまでの流れを変える契機として注目されるのが、「認知症高齢者グループホーム」(認知症高齢者だけの住むグループリビングの住居形態)です。
施設が住宅化する動向と、住宅がケアサービスを一体化する動向との、両者が一致するところの帰結として、施設でも住宅でもない、このような居住の在り方が実現してきています。
他の『認知症高齢者グループホーム』記事はこちらから・・・
【高齢者を取り巻く住環境と施策】5つの高齢者向け住宅 vol.121
1⃣認知症高齢者グループホームの制度化
認知症高齢者グループホームの制度化の先駆的な実践国であるスウェーデンにおいては、これをgruppboende(グルップボーエンデ、英語で表現するとgroupliving)と称しており、老人ホームのホームという名称と区別しています。
また、知的障害者の場合、以前はグループホームと呼んでいたところでも、現在では通常グループハウスと呼んでいます。
いずれも、共同生活においてケアサービスが必要であるか否かに関わらず、住居としての生活スタイルを示す言葉として使用しており、旧来の施設イメージを払拭しようという意図が、言葉の上から理解できます。
2⃣グループリビング
(1)グループリビングの意義
グループホームに対して、日本における高齢者の場合、「グループリビング」という言葉は自立した共同生活に近い概念で認識され、グループホームは現在のところ常駐のスタッフを抱えることと、認知症高齢者を対象とした小さな老人ホームとして取られている観もあります。
実例は少ないですが、単身高齢者のための共同生活の場として、日本では自治体によっては「グループリビング」を事業として運営しているところもあります。
(2)グループリビングの形態
ここでいう「グループリビング」は、高齢者が自発的な意思により、同一家屋内で食事等を共同化した居住形態について、市町村が当該居住者との合意により指定するものです。
原則としては、1人暮らしのの高齢者5~9人から成り、在宅介護支援センターが「グループリビング支援プログラム」を作成し、必要なサービスをコーディネートします。
この居住形態が、スウェーデンなどでいうところの「一般名称としてのグループリビング」として機能していく為には、
- ホームヘルパーの派遣など必要な生活支援サービスが提供される
- 緊急通報装置の設置
- トイレや浴室などに必要な住宅改修のための公的助成
- 訪問看護ステーションやかかりつけ医等による必要な保険・医療サービスの提供
- ボランティア・近隣住民の支援
など、様々な地域資源と公的な支援策が必要となります。
このような小さなグループで居住する単位の住宅形態としてのグループリビングの意義について考えてみると、施施と住宅の両者の長所を併せ持つだけではなく、別の新しい意味や、新たな価値が創造されていると思われます。
新しい価値とは、つまり、従来の施設で行われていた、介護をする主体となるスタッフと、介護受ける客体である入居者との固定化された関係(「ケアする・される」という「関係の絶対性」)を壊し、両者が共に生活するという場が、個々に実現するということです。
そこには、ケアワーカーと居住者との人間関係が、垂直の関係でもなく、居住者間と全く対等の水平の関係でもなく、適宜役割を変化させ、交換しながらの柔軟な人間関係を実現させようとしているのです。
これにより、小集団に主体性・主観性を持った活動が生まれ、共に住み、かつ見守られながら暮らすという共同の生活集団が実現することになります。
認知症高齢者は、老人ホームなどの施設においてはいつでも受け身の状態になりがちですが、グループリビングにおいては、共に生活する共同体の中で、自分で出来ることを少しでもするようになります。
2.まとめ
今回書いた「グループリビング」は、まさに施設と住宅との中間に位置づくものとして発展する可能性が高い形態です。
小さな単位の「グループリビング」は、これからの高齢者向け住宅の1つの基本形として普及していくべきものと思われます。
現在必要とされている介護の空間とは、自立介助より、むしろ自立促進のための契機であり、高齢者のエンパワメントのための仕掛けです。
直接的介護・介助のケアという概念から、
- 支援
- 助長
- 鼓舞
- 弁護
- 触発
- 共感
- 動機づけ
- 勇気づけ
- 自覚の手助け
などのキーワードで語られることが望ましいです。
この働きかけは、制度的な施設環境では不可能で、小さな共同体の環境においてこそ可能な働きかけとなります。
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