こんにちは 介護ラボのkanaです。「コミュニケーション技術」の中から『知的障害』について。今日はコミュニケーション支援、明日はコミュニケーション技術の2回に分けてまとめていきます。
4つの知的障害段階とは?
Contents
1.知的障害の人に対するコミュニケーション支援
1⃣知的障害の3つの特徴
(1)知的機能に制約があり低い状態にある
(2)適応行動における制限がある
(3)発達期にあらわれる
2⃣知能の水準による生活や行動の支障
◉4つの知的障害段階
①軽度知的障害
②中度知的障害
③重度知的障害
④最重度知的障害
1.知的障害の人に対するコミュニケーション支援
1⃣知的障害の3つの特徴
知的障害児(者)の特徴、なかでも心理・行動の特徴は、
- ①知的機能に制約があり平均よりも低い状態にあること
- ②適応行動において知的機能の低さと関連する制約と伴う状態であること
- ③発達期に生じる障害であること
の3つの要素で整理できます。
知的障害児(者)は、③の発達期に生じる障害であるという特徴があります。なお、発達期とは一般的には18歳以前とされています。
- 適応行動とは?
-
人が日常生活において機能していく為に学習した認知、コミュニケーション、学業スキルなどの概念的なスキルや、社会的能力にかかわる社会的スキル、自立生活スキルなどによる行動のこと。
(1)知的機能に制約があり低い状態にある
知的障害児(者)は、視覚・聴覚などの感覚器官には特に大きな問題はないにもかかわらず、それらを通して脳に入力された情報を分析したり総合したりすることに制限がある状態を指します。
そのために、
- 認知
- 言語
- 思考
- 記憶
などの機能にも制限を受け、その年齢で期待されるレベルよりも低いレベルでしか機能しないことから、活動全般に遅れが生じることとなります。
一般的には、IQ(Intelligence Quotient:知能指数)が概ね70以下と考えられています。しかし、目的によってIQによる診断のほか、いくつかの診断基準が存在します。
例えば、教育や福祉の現場では知的能力のみではなく、日常生活をはじめとする適応行動の円滑さや支援の必要性を重視して評価していくことが多いです。
MA(Mental Age:精神年齢)が、知能の発達水準を示すのに対し、IQは知能の高低や遅速を示す尺度として考えられた方法です。
MAが5歳であっても、CA(Career Age又はChronological Age:生活年齢)が5歳の子どもと、10歳の子どもとでは明らかに知能の高低や遅速は異なります。CAが5歳の子どものIQは100であり、10歳の子どものIQは50となります。
このように精神年齢・MAと、生活年齢・CAと比較することで知能の高低や遅速を知る尺度として開発されたものがIQです。
知的障害児(者)の一般的な心理・行動の特徴としては、
- 「受動性」
- 「依存性」
- 「自己評価」
- 「欲求不満に対する耐性の低さ」
- 「衝動制御力の乏しさ」
- 「攻撃性」
- 「常同的な自己刺激的行動」
- 「自傷行為」
などがあげられます。
これらは中枢神経系の未成熟や機能障害と関連し、「注意欠如」「多動性障害」の基本症状とも共通しています。
(2)適応行動における制限がある
適応行動における制限とは、日常的には
- 食事、入浴、排泄、衣服の着脱などのセルフケア
- コミュニケーション
- 炊事、掃除、洗濯などの家庭生活
- 人との社会的なやり取りに関連した社会的スキル
- 買い物、交通機関の利用などのコミュニティ資源の利用
- 選択したりスケジュールに従って自己主張をするといった自己志向性
- 読み、書き、計算といった実用的な学業
- 余暇活動
- 健康と安全
- 労働などの適応行動にあらわれた遅れ
などを指します。
遅れの具体的なあらわれとしては、判断力や自発性の弱さ、習得や学習に時間が掛かる、反復や固執性を持つ、感覚に特性があるなどを特徴としています。
(3)発達期にあらわれる
ここでの発達期とは、18歳以前の通常発達における上昇期を指します。したがって、発達の上昇期ではない成人期や老年期に生じる知的機能の低下は「認知症」などと称し、「知的障害」とは異なるものとして区別して考えることが一般的です。
また、この障害による特徴は、生物学的要因だけで規定されるものではなく、
- 環境からの刺激の豊かさ
- 適切なしつけや育児
- 教育の機会など環境要因との相互作用
などによってもその症状の強さが形成されています。
このような環境要因との相互作用に基づく障害の特徴は「二次的障害」としてくくられるものです。さらに、知能の水準によっても障害による支障のあらわれには違いがみられます。
2⃣知能の水準による生活や行動の支障
◉4つの知的障害段階
①軽度知的障害
軽度知的障害は、IQが概ね50~70の範囲にあります。幼児期は運動発達に軽度の遅れがあり、言語の理解や表出も遅いですが、小学校6年生程度の学力を身に付けることが出来ます。
行動障害が少ない場合は集団参加も可能です。
しかし、言語を用いた抽象的な概念の操作を伴う思考、推理等の学習課題場面では遅れが目立ち、本人も苦手意識を持つことが多いです。成人後は、独立して生活したり、共同住宅でうまく適応している人が多いです。
②中度知的障害
中度指摘障害は、IQが概ね35~49の範囲にあります。乳幼児期には精神発達だけでなく身体的成長にも遅れがみられます。多くの事例で就学までには簡単な応答が可能になり、小学校2~3年生程度の学力を持つことが出来ます。
しかし、集団のルールや社会的・対人的な技能の習得に困難を示し、同年齢の仲間関係は発達しにくいといえます。
成人期には、比較的単純な労働や軽度の熟練労働に従事することが出来るようになり、生計の一部を得ることが出来ることが多いです。
③重度知的障害
重度知的障害は、IQが概ね20~34の範囲にあります。乳幼児期から運動発達や言語発達の違いが顕著です。発語はあっても1語~2語文のレベルで、発音も不明瞭な場合が多いです。
限られた事柄の習得は可能ですが、環境の変化に適応する能力は乏しいといえます。
多くの場合、身辺の事柄を処理するにも他人の助けを必要とします。成人期は家族との在宅生活も可能ですが、支援者付きの共同生活や施設での生活の場合も多くなります。
④最重度知的障害
最重度知的障害は、IQが概ね20未満になります。様々な合併症により生後間もなく気付かれます。運動発達の遅れが特に著しく、発話もほとんどなく周囲にも無関心で、人や玩具に自ら興味・関心を示すこともほとんどありません。
幼児期、学齢期になっても意志の交換や環境への適応にかなりの困難があり、常に援助と保護を必要とします。
ただし、このような知的水準による傷害のあらわれの違いは、あくまで平均的な捉え方です。前項でも書きましたが、知的障害の特徴は知的水準だけでなく環境要因との相互作用により個々によって異なったあらわれかたをします。
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