コミュニケーション技術

【❶高次脳機能障害の人へのコミュニケーション支援】社会的行動障害の8症状 vol.461

2021-09-17

こんにちは 介護ラボのkanaです。「コミュニケーション技術」の中から『高次脳機能障害』について。今日はコミュニケーション支援、明日はコミュニケーション技術の2回に分けてまとめていきます。

高次脳機能障害の特徴とは?

Contents

1.高次脳機能障害の人へのコミュニケーション支援
 1⃣高次脳機能障害の特徴
 2⃣高次脳機能障害がもたらす日常生活コミュニケーションへの支障
 (1)半側空間無視
 (2)遂行機能障害
 (3)社会的行動障害
  ◉社会的行動障害の8症状

1.高次脳機能障害の人へのコミュニケーション支援

1⃣高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、脳の部分的な損傷により、その脳部位が担っていた機能が障害されることです。高齢者では脳血管障害によるもの、若年者では事故などの頭部外傷によるもの多いとされています。

原因として、

  • 脳血管障害:脳卒中ともいう。血管が詰まって脳の細胞が死ぬ「脳梗塞」と、脳の血管が破れて怒る「脳出血」に分けられる。日本の死亡原因の第3位で、全体数としては減少傾向にあるが高齢者における患者数は増加している。
  • 脳腫瘍:脳に出来る腫瘍。発生率は約1万人に1人と言われ、良性のものと悪性のものがある。
  • 頭部外傷:頭部に強い衝撃を受け、脳が損傷を受けること。頭部外傷の半数近くは自動車事故が原因である。その他に転倒や転落、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などの原因も多くみられる。
  • 脳炎:脳にウィルスが感染して炎症が起こること、脳に直接感染する病気として、単純ヘルペス、脳炎、日本脳炎が代表的である。はしか(麻疹)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水ぼうそう(水痘)などに罹った後に脳炎になることもある。

などがあります。

高次脳機能障害の2種類

高次脳機能障害には、臨床的・学術的な定義と、行政的な定義の2種類があります。

臨床的・学術的には、

  • 失語
  • 失行
  • 失認
  • 半側空間無視
  • 注意障害
  • 健忘
  • 判断障害

と、幅広い症状を高次脳機能障害として扱います。認知症も高次脳機能障害の1つです。

行政的には、

  • 記憶障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害

のみを指します。行政による障害者手帳や年金支給など法律による支援体系に沿った区分になります。

今回は、高次脳機能障害の中でも多く見られる「半側空間無視」「遂行機能障害」「社会的行動障害」についてまとめていきます。

なお、遂行機能障害や社会的行動障害は、知的機能低下や認知症でも見られることがありますが、今回はそれらによるものではなく、脳の特定の領域の障害としての特徴と支援方法について書いていきます。

2⃣高次脳機能障害がもたらす日常生活コミュニケーションへの支障

(1)半側空間無視
半側空間無視とは?

半側空間無視とは、自分の正面を境界にして右側あるいは左側にあるものや人に気付きにくい状態のことです。意識的に、あるいは故意にそちら側を無視しているのではありません。

脳の損傷によりどちらか一方の方向に注意が向かなくなっているといえます。

左側に気付きにくい人の割合が多く、発症してから間もなく治ることも多いのですが、治らない場合は長期に渡って症状が続きます。

左半側空間無視があると、自分の目の前に置かれた絵を真似して書くと、下記の図のように、自分の右側にある絵しか描きません。左側にも同じように絵があるのにそれに気が付かないのです。

これにより、日常生活でも大きな支障が生じます。例えば食事の時、左側に置かれたお椀やお皿に気付かず食べ残す、車いすで廊下に移動するときに左側にある手すりの突起に気付かずぶつかってしまうなどです。

コミュニケーションを取る時にも支障があります。第1は、自分の左側に居る人に気が付かない事です。そこに人が居ると思っていないので、話しかけられても気が付かない、あるいはひどく驚くことがあります。

第2に、自分の前に置かれた文字の左側を読み落とす事です。左半分をを読みませんから文を飛ばして読むことになり、結局意味が分からなくなります。

第3に、自分にそのような症状があることを自覚しない、つまり病識が薄いということです。「左側を見ましょう」「左側に気を付けましょう」と促しても返事は良いのですが、実際注意を向けようとしないのが半側空間無視の特徴です。

半側空間無視

他の『半側空間無視』記事はこちらから・・・
【コミュニケーション障害】6つの情報処理レベルとは? vol.435

(2)遂行機能障害

遂行機能とは、

  • 目標を定める
  • 段取りを立てる
  • 行動を開始して継続する
  • 状況に応じて適切な調整を行いながら最終的に目的を達成する

という一連の過程をいいます。

遂行機能障害

自ら決めた目標に向かって目の前の問題を解決していくという、人間ならではの高次の機能です。主として脳の前頭葉の損傷でこれらの機能が低下することを「遂行機能障害」といいます。

前頭葉とは?

前頭葉は大脳の中心溝より前の部分で、ヒトで最もよく発達し、大脳皮質の全体の3分の1を占める。なかでも前頭前野は、注意、思考、意欲、情動コントロールなど、高次の機能を担っている。

日常生活では自分の周りの出来事に対する興味、関心がなくなり、何に対しても意欲がわかず、自発的に活動を開始することが出来ないというような状況が起こります。

表情が平坦で、感情の表出が乏しく、以前の趣味や行動習慣などを忘れてしまったかのように振る舞うこともあります。うつ病と症状が似ており、注意が必要です。

本人は、自分のこのような症状に気付くこと、理解することが難しいものです、また自分の障害がどのような場面で困難をもたらすかの予想もできにくいため、同じ失敗を繰り返すことが多くなります。

介護する側としては、何度同じことを注意しても伝わらない、理解してもらえないという不満や葛藤が起こりやすくなります。

(3)社会的行動障害
社会的行動障害とは?

社会的行動障害とは、自分の発言、行動、感情を、その場の状況に合わせてコントロール出来なくなる高次脳機能障害の1つです。

からだには障害がないことが多く、外見からは障害のあることが判断しにくいため、

  • 「困った人」
  • 「変わり者」
  • 「ひねくれ者」

などと周囲から誤解されやすいとも言えます。

脳の前頭葉の損傷により起こる場合と、他の高次脳機能障害である「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」などの影響を受けて二次的に起こる場合があります。

家族や慣れしたんだ施設職員などとの日常生活はある程度こなせていても、初めての場面や知らない人と会ったとき、さらに地域社会に出た時などに、行動や感情を上手くコントロールすることが出来ず、周囲が困惑したり迷惑を掛けたり、トラブルメーカーになったりといった問題が生じます。

◉社会的行動障害の8症状

具体的には、下記に示すような8つの症状です。

①【依存性・退行】
・自分でやらず他者を頼る。子どもっぽくなる。

②【 感情コントロール低下 】
・「怒り」「笑い」などのコントロールが難しい。「怒り」の爆発は対人関係で大きな障害だが、注意を受けている時や悲しい場面での「笑い」も対人関係を気まずくする。

③【 欲求コントロール低下】
・欲しいと思うと我慢できない。食べ物、嗜好品、お金など、欲求を抑えることが出来ない。

④【共感性の低下】
・相手の気持ちを推測することが難しい。冗談や嫌味、比喩を理解できず相手の言うことの真意や隠された本音を理解できない。

⑤【 コミュニケーション障害】
・話にまとまりがなくすぐに脱線する。一方的に話し、多弁である。雰囲気にそぐわない会話をする。

⑥【固執性】
・些細なことにこだわる。やり始めたらやめられない。状況に合わせて変更できずにやり続ける。同じことを何度もしつこく言ったり、やったりする。

⑦【意欲・発動性の低下】
・ボーっとして自分から何かしようと行動を起こさない。促されないとやっていた事もやめてしまう。

⑧【反社会的行動】
・「盗み」「性的逸脱行動」など。

上記の8症状は、私たちが人間関係を築き、維持するために重要な機能が低下してしまうことが分ります。また、

  • 「不適切な言動をしてしまう」
  • 「その結果パニックになり追い詰められる」
  • 「精神的な負担が増え、さらに問題行動が増える」
  • 「失敗が続いて自信を喪失し、抑うつ的になる」
  • 「それが、また不適切な言動を増やしてしまう」

といった悪循環となりがちになります。

コミュニケーション

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kana

はじめまして(^-^)/
介護ラボのカナです。
ブロガー歴2年半(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士として就業中。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」「介護福祉士」 ◉現在福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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