認知症の理解

【バリデーションとは?】認知症ケア・6つの基本的態度と12の基本テクニック vol.397

2021-07-15

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『バリデーション』について書いていきます。

バリデーショントライアングル

Contents

1.バリデーション
 1⃣バリデーションとは?
 ◉バリデーショントライアングル
 (1)バリデーション6つの基本的態度
 (2)バリデーション12の基本テクニック
2.バリデーションの実際(事例)

1.バリデーション

1⃣バリデーションとは?

バリデーションとは?

バリデーションとは、アルツハイマー型認知症及び類似の認知症の高齢者とのコミュニケーション法です。特に認知症の高齢者の感情に焦点を当てることが特徴です。

感情に焦点を当てる理由は、認知症の高齢者の症状が進行していき、やがて認知機能が大幅に低下して植物状態に近づいたとしても、感情は残るためです。

失われていく認知レベルに焦点を当てるより、最後まで失わない感情レベルに焦点を当てることが本人にも介護する側にもより良い方法ではないかと、開発者のファイル(Feil,N.)は考えました。

バリデーションによって感情を表出し、その思いを受け入れられた認知症の高齢者は、まるで失った身体的・知的機能を復活させたかのように元気を取り戻すことがあります。

それは、人生最後のステージにおいて認知症になり、様々な喪失体験を加速せざるを得ない高齢者に対して、最後までその人らしく生きること、当たり前でありながらこれまで成しえなかったことを介護者が可能にするための方法論だといえます。

◉バリデーショントライアングル
(1)バリデーション6つの基本的態度

バリデーションには下記に示す「6つの基本的態度」があります。

  • 傾聴する
  • 誘導しない・ペースを合わせる
  • 共感する・カリブレーション
  • 嘘をつかない
  • 強制しない・受容する
  • ごまかさない
(2)バリデーション12の基本テクニック

そして、基本テクニックとして下記に示す「12の方法」があります。

❶リフレージング(キーワードを反復する)

❷オープンクエスッチョン

❸カリブレーション(感情を一致させる)

❹反対のことを想像する

❺極端な表現

❻レミニシング(昔話をする)

❼行動と欲求を結び付ける

❽タッチング

❾ミラーリング

❿音楽を使う

⓫センタリング

⓬好きな感覚を使う

2.バリデーションの実際(事例)

事例:〇さん

【〇さん、女性、89歳、要介護4】
・脳出血のため、右片麻痺、認知症、失語症の後遺症が残る。現在特別養護老人ホームに入所している。

〇さんは、上記のように脳出血の後遺症による失語症と診断されており、殆ど言葉を話せない高齢者であるとの情報を得ていました。しかし、約20分間、時折聞き取りにくい箇所はありましたが、〇さんはしっかりとした大きな声で自分の人生歴であるライフヒストリーを語りました。

【〇さんとのバリデーションの事例】
W=バリデーションワーカー、〇=〇さん

(W):〇さん、会いたい人はいませんか?
(〇):恥ずかしい話だけど、いないんです。
(W):恥ずかしい話だけど、いない。
   ※リフレージング(キーワードを反復する)
(〇):(うなずく)
(W):恥ずかしい?会いたい人がいないのは恥ずかしいですか?
   ※(基本的態度)ごまかさない
(〇):身内が居ない
(W):あぁ、身内が居ない
   ※リフレージング
(〇):姪っ子が1人だけ。
(W):そうですか。
(〇):親や兄弟は皆亡くなってしまいました。
(W):そうだったんですか。悲しいですね。
(〇):でも、たまに姪っ子がたまに会いに来てくれるのが楽しみになっています。
(W):それは嬉しいですね。そこに飾ってある写真は姪っ子さんですか?
(〇):そうです。昔一緒に旅行に行った時の写真です。
(W):綺麗なところですね。2人とも笑顔が素敵です。
(〇):ありがとう(涙を流しながら)、あの頃は楽しかった。
(W):今も姪っ子さんが〇さんに会いに来てくれるじゃないですか。優しい姪っ子さんで良かったですね。
   ※タッチングしながら話を聞く
   ※欲求と行動を結び付ける
(〇):そうですね。ありがとう(笑顔)。今度の週末に来てくれるみたいなので楽しみにしてるんですよ。
(W):良かったですね。

失語症の診断が出ていて、話すことをあまりしなかった〇さんは、バリデーションワーカーによる言語・非言語のテクニックや基本的態度により「受け入れられた」ことを実感し、自分の話に至ったと考えられます。

利用者さんは、今まで生きてきた生活歴や人生歴があり、簡単に会話ができる状況ではないかもしれません。

今回のバリデーションのテクニックである、「傾聴しながらペースを合わせ、共感・受容する」ことで、少しずつコミュニケーションを図ることが出来ることもありますので、手法を知り実際に使うことはとても大切です。

認知症ケア
認知症

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
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