【ユマニチュードとは?】4つの柱・マルチモーダルケアで認知症を支える  vol.396

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『ユマニチュード』についてまとめていきます。

「1日合計20分立つ時間をつくれば寝たきりになることを防げる」

Contents

1.ユマニチュード
 1⃣ユマニチュードとは?
 2⃣ユマニチュードの4つの柱:マルチモーダルケア
 (1)見る
 (2)話す
 (3)触れる
 (4)立つ(1日合計20分立つ時間をつくれば寝たきりになることを防げる)
2.5つのステップ
3.ユマニチュードの具体的な技術

1.ユマニチュード

1⃣ユマニチュードとは?

ユマニチュードとは?

ユマニチュードとは、フランスの2人の体育学の専門家、ジネスト(Gineste,Y.)と、マレスコッティ(Marescotti,R.)が開発した介護の技法です。

「病院や施設の専門職の腰痛を予防するための良い移動方法を教えて欲しい」と依頼されたことがきっかけで、2人はこの分野で仕事を始めました。

介護の現場で彼らがまず気が付いたのは、介護福祉職は相手に「何でもやってあげる」ということでした。例えば、

  • 立てる力があるのに寝たままで保清する
  • 歩く能力のある人にも車いすでの移動を勧める

といったことです。

2人は本人が持っている能力を出来る限り使ってもらうことで、その人の健康を向上させたり、維持することが出来ると考え、無理なくそれが実現できるように「その人の持つ能力を奪わない」ための様々な工夫を重ねながら現場で介護を実践していきました。

認知機能が低下し、身体的にも脆弱な高齢者に対して介護を行うとき、ある時は穏やかに介護を受け入れてもらえるのに、別の時は激しく拒絶されることがあります。

その原因を2人は考え続け、介護が上手くいくときといかない時には、

  • 「見る方法」
  • 「話す方法」
  • 「触れる方法」

が違っていることに気が付きました。さらに、人は「立つ」ことによって、その人らしさ、つまりその尊厳を自覚している様子から、4つの要素の【見る】【話す】【触れる】【立つ】を介護の4つの柱と名付けました。

そして、「その人の持つ能力を奪わない」という介護に関する哲学と「介護の4つの柱」、「介護の5つのステップ」をまとめた介護の技法を『ユマニチュード』と名付けました。

ユマニチュードとは「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語です。

2⃣ユマニチュードの4つの柱:マルチモーダルケア

介護福祉職は誰もが介護を受けている人のことを大切に思い介護していることでしょう。しかし、相手をどんなに大切に思っていても、また優しくしたいと思っていても、その気持ちは相手が理解できように表現出来なければ相手には届きません。

4つの柱は、介護を受けている人に対して「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるための技法です。

ここで重要なのは、この4つの柱は1つだけではうまくいかないということです。介護するときには、この柱を同時に複数組み合わせて行うことが大切で、このことを「マルチモーダルケア」と呼びます。

この意味は「マルチ(複数の)モーダル(要素)を使ったケア」です。

誰かとコミュニケーションを行うとき、人は誰もが自分でも気付かないうちに「言葉による」又は「言葉によらない」メッセージを相手に伝えています。

とりわけ介護を行うときには「言葉によらない」メッセージが重要な役割を果たしています。

ユマニチュードでは、この「言葉による」「言葉によらない」メッセージを双方向に交し合うコミュニケーションによって、介護する人と介護を受ける人とがより良い関係を気付くことを目的としています。

(1)見る
ユマニチュード:見る

介護福祉職が相手を見る時、多くの場合仕事をする部位を見ています。例えば口腔ケアをする時に口の中を見る、といったようなことです。

しかし、「見る」ことで相手を大切に思っていることを伝えるためには、仕事のための「見る」ことだけでは十分ではありません。

「見る」ことが伝える言葉によらないメッセージは、例えば同じ目の高さで見ることで「平等な存在であること」、近くから見ることで「親しい関係であること」、正面から見ることで「相手に対して正直であること」を相手に伝えています。

(2)話す
ユマニチュード:話す

介護をする時には、「じっとしていて下さい」「すぐ終わります」というような言葉を発しがちですが、このような言葉にはそんなつもりはなくても「私はあなたに命令しています」というメッセージが言外に含まれています。

このような言葉を発すると、相手に優しさを届けることは出来ません。

「話す」時も仕事のための「話す」ことではなく、相手のことを大切に思っていることを伝えるための技法を用います。

低めの声は「落ち着いた安定した関係」を、大きすぎない声は「穏やかな状況」を、前向きな言葉を選ぶことで「心地よい状態」を実現することが出来ます。

また、相手から返事がない時には、人は次第に黙ってしまいます。

介護の場に言葉を溢れさせる工夫として、ユマニチュードでは自分が行っている介護の動きを実況する「オートフィードバック」という方法を用います。

(3)触れる
ユマニチュード:触れる

介護を行うとき、例えば「体位変換」「保清」「着替え」「歩行介助」などで、必ず相手に触れていますが、その時相手を掴んでいることに私たちは無自覚です。

相手を掴む行為は、介護をする人が相手の自由を奪っていることを意味し、BPSD:認知症の行動・心理状況のきっかけとなってしまうこともよくあります。

触れることも相手へのメッセージであり、相手を大切に思っていることを伝えるための技術を用います。具体的には、

  • 「広い面積で触れる」
  • 「ゆっくりと手を動かす」
  • 「掴まない」

ことなどです。

(4)立つ(1日合計20分立つ時間をつくれば寝たきりになることを防げる)
ユマニチュード:立つ

人間は直立する動物です。立つことによって、体の様々な生理機能が十分にはたらくようにできています。それだけでなく、立つことは「人間らしさ」の1つであり、人の尊厳を保つためにも重要です。

「1日合計20分立つ時間をつくれば寝たきりになることを防げる」とジネストは提唱しています。

20分という時間は、トイレや食堂への歩行、洗面やシャワーを立って行うなど、介護を行うときに出来るだけ立つ機会をつくることで実現できます。

  • 「見る」
  • 「話す」
  • 「触れる」
  • 「立つ」

の4つの柱は、一見すると目新しいことはなく、また、介護をしている人の多くは「当たり前のこと」「自分はいつもそうしている」と思っているかもしれません。

しかし、介護の様子を撮影して情報学的な分析を行ったところ、「相手のことを大切に思っていることを伝えるため」の4つの柱は殆ど使われていないことが分りました。

介護が上手くいくときには、自分だけでなく相手もまた私たちを見て、話して、触れています。つまり、コミュニケーションが双方向的に行われているのです。

ユマニチュードのトレーニングでは、介護の映像分析をすることでコミュニケーションの定量化を行っており、現在は人工知能を用いた評価も行えるようになってきました。

2.5つのステップ

ユマニチュードでは、全ての介護を一連の物語のような手順「5つのステップ」で行います。

その手順は、

❶出会いの準備(自分の来訪を告げ、相手の領域に入ってよいと許可を得る)

❷ケアの準備(ケアを行うことの合意を得る)

❸知覚の連結(いわゆるケア)

❹感情の固定(ケアの後で共により時間を過ごしたことを振り返る)

❺再開の約束(次回のケアを受け入れてもらうための準備)

で構成されています。

いずれのステップも、4つの柱を十分に組み合わせたマルチモーダル・コミュニケーションを用います。

3.ユマニチュードの具体的な技術

上記の5つのステップで用いるユマニチュードの具体的な介護の技術は400を超えます。これらの技術は、実践研修などで学ぶことが出来ます。

認知症

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