こんにちは
介護ラボ・kanalogのカナです💚 今回は・・・
先天性視覚障害と中途視覚障害について
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視覚障害の理解
一口に視覚障害といっても、全く見えない人、見えにくい人など見え方は様々です。
また見え方にも視力の障害だけでなく、
- 視野が狭い人
- 夜盲により夜の外出が出来ない人
- 物が歪んで見える人
- 眩しさを感じる人
- 中心暗転により読書が出来ない人
などもいます。
●夜盲(やもう)
網膜色素変性症で、光を感じ取ることができなくなり、暗いところでは、物が見えにくくなる。
●中心暗転
視神経萎縮の人に見られる症状で、視野の真ん中が見えない状態をいう。
例えば…
視覚障害のある人から、
「五円玉の穴から見ているようで視野が狭くて困っている」
と相談されたら、立ち止まり、顔を上下左右に向けて対象物を見ることで視野が広がる事を伝えたり、
「戸外に出ると眩しくて見えにくくて困っている」
と相談されたら、補装具の遮光眼鏡を市町村の福祉事務所に申請し、眼科医に処方してもらう手続きをすすめるなどのアドバイスをすることが求められます。
●遮光眼鏡
紫外線をカットするレンズを使用した眼鏡。白内障初期、白内障術後、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、緑内障による視野狭窄、その他視神経疾患など眩しさにより見えにくさを感じる人に有効。
- ✅視覚障害により不便さや困難を感じたり、制約を受けること4つ
- ①移動(歩行)(特に中途視覚障害がある人の場合)
1人での歩行が困難になり、買い物等の外出が困難になる。
②コミュニケーション(読み書きを含む)
新聞や書物、郵便物等の文字を読むことや書くことが困難になる。
③日常生活(身支度、家事など)(特に、中途視覚障害のある人の場合)
1人で身支度や調理等を行うことが困難になる。
④就労(特に、中途視覚障害のある人の場合)
職場まで行くのが難しくなり、それまでしていた仕事の継続が困難になる。
(1)先天性視覚障害の理解
先天性の視覚障害のある人の場合は、心理面では、比較的不安も少なく、多くの人が明るく、楽しい会話をするなど、視覚障害のない人と変わらない生活を送っています。
教育面では、一般的に特別支援学校(盲学校)において、特別支援教育(普通教育及び職業教育等)を受け、日常生活上の不便さを克服しています。
また、視覚障害のある人の中には、見えにくい状態(弱視:ロービジョン)の人もいて、保有資格を活用しながら、日常生活を送っています。
ただ、見えにくいと言っても人により状況は様々で、見え方も視力のレベルも異なります。
●特別支援学校
2006年(平成18年)の学校教育法改正により、2007年4月より、盲・聾・養護学校は「特別支援学校」に一本化された。
●弱視(ロービジョン)
世界保健機関(WHO)では、両目に矯正眼鏡を装着して視力検査し、視力0.05~0.3未満の状態と定義している。日常生活上の読み書き、行動等さまざまな面で困難が生じる。
●保有資格
視力の低下や視野が狭くなっても保有している視覚(視力や視野)のこと。5円玉の穴から見ているような状態であっても、顔を前後左右に動かすことで視野が広がる。したがって視力や視野のあるうちに訓練を受けることが大切である。
(2)中途視覚障害の理解
先天性の視覚障害のある人と、中途で視覚障害を受けた人とは、見えなくなったことへの精神的なショックが大きく異なります。
人生の中途で視覚障害を負い、全く見えなくなったことを想像してみてください。きっと「なぜ自分が」と悩み、嘆き苦しみ、生活が荒れてしまうこともあるでしょう。また、家に引きこもり一歩も外へ出ない生活も予想されます。中途視覚障害のある人の多くはこうした経験を持っています。
しかし、いつまでもこうした生活をしてはならないといった気持ちの変化がみられることも事実です。入所施設で日常生活訓練・指導を受けることで、社会復帰(現職復帰)する人もいます。
また、日常生活訓練・指導を受けた後に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の職業に結び付けた技能訓練を受ける人もいます。さらに、自宅に戻り、住み慣れた地域の中で生活している人もいます。
一方、専門家の訪問を受けて、住み慣れた自宅で希望する訓練・指導を受けることも出来ます。例えば、好物のてんぷらを揚げる方法を習得する事や、自宅から近所のスーパーまでの移動訓練・指導を受けることなども可能です。
糖尿病により、糖尿病性網膜症と糖尿病性腎症を合併し、人工透析を余儀なくされている人もいます。そうした人には、専門家の訪問による音声パソコン訓練・指導やガイドヘルプによる医療機関への受診などの要望もあります。
観察:生活上の困りごと
視覚障害のある人は、日常生活でどのような不便さを感じているのでしょうか。
視覚障害のある人の生活を見たことがなければ、「調理等はできないだろう」「食事は誰かに作ってもらっているのだろう」など、『視覚障害のある人は調理はできない』と思い込んでいるかもしれません。
実際には、視覚障害があっても自分で買い物をして、料理を作っている人は沢山います。
一方、移動の場面では「近くまでは行くことができるが、目的地が見つけられない」ことや、「電柱、道路標識、路上駐車、放置自転車等にぶつかる」「電車を利用する際に、ホームからの転落が怖い」などの困難を感じています。特に電車の乗降に関しては、転落の危険と恐怖を考えれば、駅員や乗降客に援助依頼することが必要です。最近は多くの駅で、ホームドアや可動式ホーム柵が採用されていますが、100%安全とは言えません。
介護福祉職は、視覚障害のある人が具体的に何に対して、どのような不便さを感じているのかをアセスメントし、具体的にどのような支援が必要なのか、ニーズを聴き出す中で、解決策を一緒に考える姿勢が大切です。視覚障害のある人1人ひとりの生活上の不便さを日常的なかかわりを通して、じっくり時間をかけて聴くことが必要です。そのかかわりによって信頼関係が築かれます。
(1)移動(歩行)
介護福祉職は視覚障害のある人の自宅に出向いた際に、部屋の中がどのような状態になっているのかを確認します。1人暮らしでは、自分の周りに物を置くことが多くなります。一方、家族と一緒に生活している場合は、家族が廊下や床に物を置くことがあり危険です。この場合は、家族に対して、廊下や床に物を置かないように注意を促す必要があります。
視覚障害がある人へのアセスメントでは、まず「今いる場所からは、トイレの位置はどちらですか。指さしてください」とお願いします。次に、「この場所からトイレまでは、どのように行ったらよいですか」と質問します。視覚障害のある人の説明を聞き、きちんと頭の中に地図(メンタルマップ)が描かれていることを確認します。そのうえで、「一緒に行ってみましょう」と移動を開始します。その時は、「私が隣にいますので…・・」「後ろにいますので…」などと声をかけて、安心して移動してもらうことが大切です。
●メンタルマップ
心的地図ともいわれる。視覚障害のある人は、どんな手掛かりを使って目的地にたどり着けるのかをイメージしながら歩く。触地図なども利用するが、実際の環境を頭の中に入れながら歩くことが大切である。
移動する前に、視覚障害のある人に壁を伝って歩く方法を説明します。この伝え歩きは、伝う側の手の爪の部分を壁に触れされ、それに沿って平行ラインを保ちながら歩く方法です。同様に、洗面所や台所、玄関までの移動方法を確認することも必要です。
この段階になれば少しずつですが、視覚障害のある人自身がこれからの生活をどうするのかを考えるようになります。そこで、視覚障害のある人に、自宅の外の情報を提供することも検討します。例えば、「ご自分の移動範囲を広げるためにも自宅から近所のスーパーまでの経路を覚えませんか。歩行訓練・指導を受けることもできますよ」とはたらきかけてみます。また、訓練形態には自宅訪問と施設入所があることを伝えます。
「訓練を受けてみようかな…」という微妙なこころの動きを敏感に察知し、専門機関に繋げることが介護福祉職の役割です。その結果、視覚障害のある人は自立した生活を行うための第一歩を踏み出すことができます。
●訓練形態
施設等での訓練は、入所、通所、訪問の3つの訓練形態で実施されている。移動の確保がされていない場合は、入所が訪問訓練のどちらかを選択することになる。
(2)コミュニケーション
視覚障害のある人とのかかわりで大切な点は、インフォームドコンセントの視点を持つことです。介護福祉職が視覚障害のある人に用具や機器等の説明をする場合、言語による説明だけでは不十分であり、実際に機器に触れてもらうことが必要です。
例えば、「本体の右隅のボタンが電源のスイッチです」と説明するだけでなく、確認動作として、直接、本体に触れた視覚障害のある人が「ここがスイッチなのですね、分かりました」と言いながら納得することが大切です。利用者に分かり易い言葉で、丁寧にサービスの過程と成果を示して、説明する責任(アカウンタビリティ)を果たすことが求められています。
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(3)日常生活(身支度、家事)
視覚障害のある人にとっては、機械等を有効に活用できることが、生活を豊かにしていくことに繋がります。人生の中途で視覚障害を負い、希望を見失っていた人が、調理等の支援をきっかけに今の自分を客観的に受け入れ、自信の回復と自己実現に向かっていくこともあります。
視覚障害のある人がどのようなことに困っているのかを知るためには、ゆっくりと話を聴くことが大切です。話を聴きながら必要に応じて情報を提供することで、視覚障害のある人が自分なりに問題解決に繋げることになります。すべてに手を差しのべることだけが支援ではなく、まずはしっかりと話を聴いて必要な情報を提供することが大切です。
身近な例では、食事の際にこぼして、衣類に汚れが付いていても気づかずにいることがあります。そのような時は、洗濯機に入れる前に専用の液体洗剤を使用するとよいことを伝えれば問題は解決します。
食事などでも冷凍食品などを有効活用することで調理時間の短縮ができます。そうした情報を提供することも大切な支援です。
視覚障害のある人がどのようなことに困っているかを知るためには、積極的に話を聴きながら信頼関係を築き、困りごとを引き出します。
(4)就労
中途視覚障害のある人の場合は、職場に通勤することもままなならない状況に陥ります。つまり、視覚障害により今までの仕事を継続することが難しくなります。介護福祉職が就労に関する相談等のかかわりを持つ時期は、障害を負ってから一定程度の時間を経ていることが考えられます。具体的には、退院後、専門施設等で生活支援に関してのノウハウを学んで自宅に戻ったタイミングです。
そこで、視覚障害のある人の話を聴きながら、地域の障害者支援施設に配置されている就労支援員に繋ぐことが介護福祉職として大切な役割になります。
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