障害の理解

【❷障害者家族の支援】スティグマと障害受容について4つの提言 vol.278

2021-03-18

こんにちは🌟 介護ラボのkanaです。障害者支援について3回に分けて書いていきます。前回「【❶障害者家族の支援】障害を持って生まれた子どもの家族の場合 vol.277」、次回「【❸障害者家族の支援】より良い支援方法の提案とは? vol.279」になります。

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中途障害の家族の場合

中途障害の家族の場合

生まれたときに障害がない人も、病気や事故が原因で人生の途中から障害を持つことになる場合があります。そのような状態を「中途障害」といいます。

配偶者が「中途障害」に

例えば・・・、配偶者が中途障害になった場合を考えてみます。それまで元気に生活し働いていた人が、病気や事故で倒れたら心配でいたたまれない気持ちになる事でしょう。仕事をしながら病院に様子を見に行ったり、一方自宅の掃除や洗濯もしなくてはいけませんし、自分の食事を作る必要もあります。

子どもがいる場合、子どもの世話も必要です。親が1人入院でいなくなったわけですから、子どもも心配しています。寂しい気持ちを我慢しているかもしれません。

子どもの気持ちを察して、やさしく関わってあげる必要がある事は分かっていても、配偶者のことが心配ですし、誰も家事や子育てを分担してもらえない場合には、仕事の疲れも重なってイライラしてしまうかもしれません。

子どもが寂しさから甘えたくてわがままを言っていることが分かっても、強く叱ってしまうかもしれません。子どもは大泣きし、その鳴き声で抑えていた感情が爆発して、家庭の中の空気は張り詰めた状態になるような悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

退院後の家族との生活

その後、配偶者は障害を持って退院することになりました。障害を持つことになった事で、配偶者の気持ちは沈み込んでいるかもしれません。話を聞いて、気持ちが前向きになるように働きかけけなくてはならないでしょう。

また、その人が働いていた場合、職場に戻ることが出来れば良いですが、それが出来ない場合には収入が減り、経済的な問題が出てくる可能性があります。出費を抑えるため生活を切り詰めるか、もっと収入のよい仕事を探さなくてはならないかもしれません。

障害のある家族の介護も必要です。

  • 仕事
  • 家事
  • 子育て
  • 家族の精神的ケア的なサポートと介護
  • 経済的な問題

など、1人で担う苦労を聞いてもらえる相手も、家族の中には居ないとしたら、それがどのような状況なのか、想像しながら支援を考えることが必要です。

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障害受容とは

「障害受容」とは、文字通り本人が自分自身の障害を受け入れたり、親が子どもの持つ障害を受け入れたりすることをいいます。

支援の現場での障害受容

支援の現場では、「〇さんはまだ障害受容出来ていない…」「△さんのお母さんはどうしたら子どもの障害受容が出来るようになるだろう…」などの会話が交わされることがあります。

障害を受容していく過程を分かりやすく整理すると、以下の5段階に分けられます。

障害受容の5段階
①ショック期
②否認期
③混乱期
④適用の努力期
⑤受容期

※上記はあくまでもモデルなので、全ての障害者に当てはまるわけではありません。また各段階で行ったり来たりすることもあります。

例えば、ケガによって障害を負い、気持ちが塞ぎ込んで、なかなか前向きにリハビリに取り組めない人がいたとします。
障害受容のモデルに当てはめると、「③混乱期から⑤適応期へ進めていない状態」と捉えることができます。
しかし、リハビリがうまく進まない理由を「本人が障害を受容できていないから」と考えてしまうと、その原因を本人だけに求めることになりかねません。

障害受容について詳しくまとめています→【障害受容の5つの段階】障害者を取り巻く4つの障壁(バリア)vol.49

例えば、保育所の職員が「子どもに障害があるかもしれない」と考え、母親に医師の診断を受けるよう勧めたとします。
しかし、母親が「うちの子に障害はありません」と受診を望まなかった場合、それを「母親が子どもの障害を受容できていないから」と捉えてしまうと、母親自身を責めることにつながりかねません。

障害受容の問題

田島朋子氏

『障害受容からの自由―あなたのあるがままに』の著者である田島朋子氏は、受傷後の心理過程について、必ずしも「階段理論」どおりに進むものではないと述べています。

また、モデルを前提として当事者を捉えることの危険性を指摘し、「障害を受容すること」が、いつの間にか障害のある人に求められる義務になっていないかと問いかけています。

病気や障害を受容していく過程はあくまで当事者自身のものであり、専門家や社会が強いるものではありません。「立派な障害者」であることを期待することは、かえって新たな社会的不利を生み出す可能性がある、という考え方です。

南雲直二氏

また、『社会受容―障害受容の本質』の著者である南雲直二氏は、障害を負った後に生じる心の苦しみについて、自分自身の内面から生じるものを「自己受容」、周囲の人や社会との関係から生じるものを「社会受容」としています。

そして南雲氏は、**「障害受容とは、この2つの苦しみを緩和するための方法である」**としたうえで、次のように述べています。

  • 日本では「自己受容=障害受容」と捉えられ、「社会受容」という視点が失われてしまった
  • 自己受容は、「本人のため」というよりも、家族や医療関係者を含む周囲の人々のために求められている側面がある
  • 障害受容の本質は、本人の内面から生じる「第一の心の苦しみ」ではなく、他者や社会との関係から生じる「第二の心の苦しみ」にある

スティグマとは

前項で紹介した南雲直二氏の「第二の心の苦しみ」に対する答えの一つとして、スティグマという考え方があります。スティグマは、他者から見た「その人らしさ(社会的アイデンティティ)」を形づくるものとされています。

他にも、アメリカの社会学者のアービング・ゴッフマン(Goffman,E.)は社会的アイデンティティによって負わされる心の苦しみを『スティグマ(負の烙印・レッテル)と名付けています。

4⃣障害受容についての4つの提言

『障害受容からの自由ーあなたのあるがままに』の著者である田島朋子氏は、「障害受容についての4つの提言」として、次のように提案しています。

❶完全に「障害受容」することなどできない

❷専門家・支援者は「障害受容」は対象者に絶対押し付けてはならない

❸専門家・支援者は「障害受容」を求めるのではなく、サービスの選択肢の少なさや障害に対する負の烙印を問題視すべきである

❹「障害受容出来ていない」と思わせる人は「孤立した状態にいる」

ととらえ、行為レベルで一歩踏み出し、その人にとって希望の感じられる仲間(もちろん自分がなってもよい)や、その人にとっての目前の課題をクリアできる支援に繋がるよう働きかけることが大切になります。

次回は、「次回は、「【❸障害者家族の支援】より良い支援方法の提案とは? vol.279」について書いています。良かったら見に来てください!

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。2020年6月ブログ「kanalog(カナログ)」を開設
介護の専門学校で学んだ知識をベースに、現場ではなかなか得られない”理論的な視点”や”根拠ある介護”を中心に発信、これまでに820記事以上を筆跡してきました。
ブログの8割は、専門学校で得た知識のアウトプットが中心。ADL/ボディメカニクス・高齢者心理など、介護の基礎から応用場で幅広く取り上げています。
社会人経験を経て介護の道へ転身し、介護福祉士・環境福祉コーディネーター2級を取得。 回復期リハビリ病院2年勤務し、現在はテレワーク勤務をしています。
辞書型ブログの運営や、外部メディアへの協力など、活動の幅も広がっています。 「介護職として長く働きたい」「もっと学びながら成長したい」トンな思いを持つ人たちへ、小さなヒントや確かな知識を届けていけたらうれしいです。

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