障害の理解

【①家族の介護力の評価とは?】環境との関係性に着目した支援 vol.280

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「障害の理解」の中から『家族の介護力の評価』について、今日と明日の2回に分けて書いていきます。

個人と家族全体を見る視点

Contents

1.家族の介護力の評価とは?
 1⃣個人と家族全体を見る視点
 ●家族構成員の主観の差異を認める
 ●家族内の1人ひとりの思いや考えを尊重する
 2⃣障害者と家族とのバランスが取れた関係づくり
 ●関係性の構築を基盤としたアセスメント
 ●家族の歴史と関係性の構築
 ●支援者1人の限界を意識する
 ●家族の訴えを聴く
 ●時間惜しまず障害者や家族に寄り添う
 ●拙速な評価や判断は間違いを起こしやすい

1.家族の介護力の評価とは?

家族の介護力の評価とは?

家族の介護力は、単に家族の構成や年齢、職業、健康状態等の表面的な情報から「家族が本人を介護する能力」と捉えがちですが、それだけでは計れません。なぜなら、障害者の家族自体が支援を必要としている場合が多いからです。

介護福祉職は様々な支援場面で、障害のある人のニーズに合わせながら援助しますが、その中で家族として抱えるニーズに出会うことも多くあります。そして、支援を始める手がかりを見いだすために正確なアセスメントが必要となります。

現在は特に、虐待、育児不安、障害者自身と家族の高齢化による介護負担の増加など、家族との生活における問題が複雑さを増しています。

そのため、実際の支援場面では障害者個人への支援だけに留まらず、家族もまた支援対象者となっている場合が多くみられます。生活上の問題が、

  • 障害者個人に起因するものなのか
  • 家族に起因するものなのか
  • 両者の関係性や環境などから派生していることなのか

を見定めながら、評価をすることが大切です。

1⃣個人と家族全体を見る視点

家族を構成する個人と家族全体の生活を見渡す適切なアセスメントをすることが、家家家族の介護力を踏まえたを踏まえた支援を行うための基本です。

支援者は介護者の近い場所から障害者自身と家族構成員を捉えがちですが、時には俯瞰して、家族全体を捉える目で見ることで、様々な感情や関係性の濃淡が把握され、正確なアセスメントに繋がります。

●家族構成員の主観の差異を認める
家族構成員の主観の差異を認める

人は様々な集団に属して生活をしています。地域、学校、仕事、趣味のサークルや世代ごとの仲間など沢山の集団があります。一見、家族が暮らす地域では隣町との関りがなく孤立しているように見えても、実は地元から離れた仕事や趣味サークル、学校などのレベルでのつながりがある事も多くあります。

また、子どもには子どもの世代として常識や価値観、親には親の世代やこれまでの環境からくる価値観などがあるため、それらを尊重しなければなりません。

家族間の関係性によっては、家族内で印象深く共有されているエピソードや情報1つとっても、その感想や持っている印象は家族1人ひとりでは大きく異なることがあります。

●家族内の1人ひとりの思いや考えを尊重する
事例1】

【事例1】父親の失業について家族1人ひとりの違い
両親と祖母、子ども2人の5人家族において、父親が突然失業をしました。会社からの業績不振を理由にした一方的な解雇でした。父親からすれば生きていく糧を失うような大きな出来事でしたし、同居の祖母も自慢の息子であったため大きく落胆をしました。
しかし、母親は今の職場は残業や休日出勤も多く、体調不良を起こすのではないかと心配していたところだったので、良い休暇となるような転職機会になればとプラス思考で考えています。障害のある長女は、自分の車椅子を押してもらって、散歩や様々な行楽地へ連れて行ってもらえる可能性が高まったと、母親以上に今回の解雇をプラスのエピソードとして捉えていました。

上記の【事例1】のように、家族といえどもその関係性や立場により同じエピソードでも違う視点で語られることがあります。

どちらの視点も間違いではなく、家族全員からの情報を収集し、総合的にアセスメントすることにより、家族の真の姿を浮かび上がらせることに繋がるのです。

2⃣障害者と家族とのバランスが取れた関係づくり

障害者と家族とのバランスが取れた関係づくり

障害者との関係性の構築は支援の基本となりますが、中には障害者自身は困っておらず、その家族が支援を求めてくることがあります。その場合には、家族との関係性の構築から始めることになります。

障害者自身の周辺情報を含めた、家族の現状を聴き取ることで、問題の核心が浮かび上がってくることもあります。また、同居する家族のニーズと障害者自身のニーズが相反することも多くみられるため、どちらかを無視してしまうようなことは避けながらの丁寧な関係性づくりが求められます。

●関係性の構築を基盤としたアセスメント
関係性の構築を基盤としたアセスメント

障害者やその家族との関係性が築けていない状態で、日常生活に関するアセスメントを行おうとしても心を開いてくれず、想像や未確定な情報ばかりの評価に陥りやすくなります。

そこで福祉介護職は、障害者やその家族の意向を十分に聴き取り、思いや希望など、他人にはあまり知られたくないプライバシーを打ち明けらえる関係性づくりを常に意識することが大切です。人としての信頼関係構築に向けた取り組みが、家族の介護力の評価を進める手がかりとなります。

●家族の歴史と関係性の構築
家族の歴史と関係性の構築

家族介護において、家族は自分の生活を調整し様々な役割や新たな経験を得ています。その経験や思いが歴史となって重なり、家族の形がつくられることになります。これは一般的な過程も同様であり、子どもの成長や親の高齢化など、それぞれのライフステージごとに生じる新たな経験や思いが、家族の歴史を形成しています。

ある日突然、支援者の家族の現況や歴史を知ろうとしても、それは簡単な事ではありません。特に障害のある子どもが学齢期を過ぎ、社会に積極的に出る時期を迎えているのに社会参加がままならず、家族だけで障害のある子どもを抱え込んでしまうような生活を続けてきた場合には、さらに困難となります。

まずは、前項で書いた通り、時間をかけて信頼関係の構築を進めていくことが重要となります。

●支援者1人の限界を意識する
支援者1人の限界を意識する

家族の介護力と一口で言っても、それは広範囲で多岐に渡ります。支援者1人が得られる情報の限界性を認識し、関係者と共に進めていくことが重要です。具体的には、複数の関係者が支援会議などを通じて有機的な連携をすることで、様々な情報やエピソードが集約されやすくなります。

支援者自身が熱心になるあまり、独りよがりな支援になってしまう危険性を理解しておくことは重要です。

●家族の訴えを聴く
家族の訴えを聴く

障害のある利用者自身の生活環境をより良くするために、家族の状態を正しく理解することは支援を進めていくための環境作りの第1歩になります。

例えば、子どもの引きこもりの問題では、引きこもる子ども自身は何も困ってないように振るまいますが、その家族が困り果てて支援を求めてくることもしばしばあります。

●時間惜しまず障害者や家族に寄り添う
時間惜しまず障害者や家族に寄り添う

関係性を構築するには、単純に費やした時間だけでは推し測れません。「行きつ戻りつ」様々な援助場面を通じて築いていくことになります。

近道は存在しないでしょうし、利用者のペースに合わせず無理をすれば関係性の構築には繋がらず、かえって壊れてしまう可能性が高まることにも注意が必要です。

障害者自身が望む生活環境を整えつつ、家族も応援が出来る環境作りに焦りは禁物です。多くの時間が掛かるものと心得ておくことが必要です。

●拙速な評価や判断は間違いを起こしやすい
拙速な評価や判断は間違いを起こしやすい

一見すると、支援者からは非常に不合理な生活状態、例えば極端に汚れた部屋などに家族が置かれているように見えても、すぐに新たな提案や否定をすることは差し控えるべきでしょう。

例えば、加齢に合わせ調理や入浴、掃除など家事の手間を省き、いつしかそれが当たり前となってしまいます。非常に不合理な生活状態に見えますが、障害者や家族は自覚していないことが殆どです。

しかし、その状態を頭ごなしに否定したり、修正したりすることは家族の生き方を否定することになりかねません。家族1人ひとりが生きてきた歴史を大切にし、みな一生懸命生きている対象と捉える視点を忘れてはなりません。

但し、虐待等の人権侵害が生じている場合は別です。

行政等のしかるべき窓口に相談し、虐待状態の解消に向けた早急な介入が必要となります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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