こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から、『災害における要配慮者と防災対策』について3回にわけて書いていきます。今回は最終の3回目です!
スフィアプロジェクト(スフィア基準とは?)
Contents
1.地域住民が避難をする場所と環境の整備
1⃣緊急避難場所
2⃣指定避難所(指定一般避難所)
◉スフィアプロジェクト(スフィア基準とは?)
3⃣福祉避難所
◉福祉避難所のバリアフリー
1.地域住民が避難をする場所と環境の整備
1⃣緊急避難場所
「災害対策基本法」に基づき、市町村が指定する緊急避難場所は、津波警報や洪水警報が発出され危険が切迫している時に、とりあえず命を守るために逃げる施設や場所のことで、高台にある公園やグラウンド、スーパー屋上の駐車場等が災害の種類ごと(洪水、津波、地震、噴火等)に指定されています。
その目的は、とりあえず命を守ることであり、一定期間の滞在を前提にしているものではありません。
2⃣指定避難所(指定一般避難所)
「災害対策基本法」に基づき、市町村が指定する指定避難所は、避難した住民が災害による被害の危険がなくなるまで滞在したり、家が被災して自宅に戻れない住民等が滞在したりする施設になります。
指定避難所は、
- 指定一般避難所
- 指定福祉避難場所
の2つに区分され、市町村長があらかじめ地域にある施設等を指定しておき、災害が迫っている場合に市町村長の判断で開設されます。
このうち「指定一般避難所」になる学校や公共施設等は、元々宿泊する前提で作られたものではないことから、短時間ならともかく、避難が長引けば使いにくいことは明白であり、指定避難所の整備や環境の改善は喫緊の課題となっています。
◉スフィアプロジェクト(スフィア基準とは?)
その環境改善に当たって参考になるのが「スフィア基準(sphere standard)」です。スフィア基準は、NGOや赤十字などが、災害や紛争等の被災者を支援する活動を行う者の守るべき理念や支援に当たっての最低限必要な要素や条件等をまとめたものです。
内閣府の「避難所運営ガイドライン」(平成28年4月)では、スフィア基準について「参考にすべき国際基準」として、次のように説明しています。
- ◉スフィアプロジェクト(参考)
- ・被災者にとって「正しい」支援とは、被災者が安定した状況で、尊厳を持って生存し、回復するために、あるべき人道対応・実現すべき状況とはどのようなものか。この国際的なプロジェクトでは「人道憲章の枠組みに基づき、生命を守るための主要な分野における最低限満たされるべき基準」を「スフィア・ハンドブック」にまとめています。
・今後の我が国の「避難所の質の向上」を考える時、参考にすべき国際基準となります。
上記の記述からわかるように、スフィア基準は、法律や規則ではないことから市町村が従う義務はありません。
しかし、わが国の「指定避難所」の環境は劣悪であるとしばしば外国から指摘を受けていることや、実際に避難所で生活を送った人の多くが劣悪な環境だという感想を持っていることを考えれば、スフィア基準だけを参考にするかどうかはともかく、指定避難所の環境改善は市町村によって喫緊の課題になります。
福祉住環境コーディネーターには、スフィア基準の内容なども参考にしながら、市町村と連携して指定避難所の環境改善に貢献する役割が期待されています。
3⃣福祉避難所
福祉避難所は、指定避難所や避難生活を送ることが困難な要介護高齢者や障害者、乳幼児等を滞在させ、支援する場所で、
- 社会福祉施設
- 障害者福祉センター
- 老人福祉センター
- 特別支援学校
など、安全な場所にあってバリアフリー等の一定の条件が整っている施設を市町村長が指定します。
広義には、指定福祉避難所のほか、協定等により福祉避難所として確保しているものも含まれます。
これは、平常時に市町村と当該施設の間で協定を結んで置き、災害発生後、市町村長が必要だと判断した場合に開設されます。
利用できるのは、「要介護高齢者」や「障害者」「乳幼児」等で、指定避難所での生活が困難で特別な配慮が必要だと判断された人になります。なお、その人の家族も一緒に利用することが出来ます。
この福祉避難所は指定避難所開設と同時に開設されるわけではなく、災害の規模や復旧の見通し、避難所の状況等を勘案して市町村長が開設を判断します。
避難所から福祉避難所への移送は家族等が出来れば家族が、無理な場合は市町村の職員等が行うことになっています。
なお、協定等により福祉避難所のうち、指定福祉避難所の基準に適合する者は、指定福祉避難所として指定し、公示することが望ましいとされています。
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【災害時の生活支援】災害直後の支援方法4つ、安眠のポイント6つ vol.57
【災害と地域社会】災害救助法の11種類と福祉避難所の定義 vol.417
◉福祉避難所のバリアフリー
福祉避難所は、バリアフリーなどの条件がある程度整っている施設が指定されますが、多くの場合、それだけで十分とは言えません。
特に災害時には様々な想定外のことが起こり、使い勝手が悪くなることも考えられます。
その点で、福祉住環境コーディネーターには、市町村と連携して福祉避難所の環境改善に取り組む役割が期待されています。
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【バリアフリーとは?】ユニバーサルデザインの7原則 vol.118
【バリアフリー・ユニバーサルデザインの歴史と取り組み】vol.119
【①バリアフリー化の概要】国が定める7つの基本方針とは? vol.665
【②バリアフリー法概要】バリアフリー法の7つ特徴とは? vol.666
【③バリアフリー法の概要】段階的かつ継続的な発展の促進(スパイラルアップとは?) vol.667
【④バリアフリー法の概要】6つの基本構想と4つの重点設備地区について vol.668
【⑤バリアフリー法の概要】バリアフリー化の推進に向けた「バリアフリー法」の改正 vol.669
【❶建築物の環境整備】バリアフリー法による整備対象建築物と整備の義務化 vol.670
【❷建築物の環境整備】(比較)特定建築物と特別特定建築物 vol.671
【❸建築物の環境整備】東京都のバリアフリー条例の対象建築物と規模について vol.672
【❹建築物の環境整備】建築物移動等円滑化基準を遵守しなければいけない10の施設 vol.673
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