こんにちは 介護ラボのkanaです。「認知症の理解」の中から『認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式』について今回、次回「【❷認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式】センター方式シートの全体構成 vol.497」、次々回「【❸認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式】センター方式の3つのポイント vol.498」の3回に分けて書いていきます。
センター方式の理念
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センター方式
1⃣センター方式とは
『認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式』(以下、センター方式という)は、日本で初めて「認知症の人」を対象としたケアマネジメントの方法です。
2000年(平成12年)から、認知症介護研究・研修センターが認知症介護の実践家と共同で開発をはじめ、2004年(平成16年)に現行の形で完成しました。
センター方式は、
- A:基本情報(4種類)
- B:暮らしの情報(4種類)
- C:心身の情報(2種類)
- D:焦点情報(5種類)
- E:24時間アセスメントまとめシート(ケアプラン導入シート)
の5領域16種類のアセスメントシートで構成されています。
2⃣センター方式の理念
「ケアマネジメント」とは、チームで対象者(高齢者・認知症の人達)の理解を共有し、ケアできるように、そしてその結果として対象者が尊厳を持って自立した日常生活を営めるように実施されるものです。
つまり、ケアプランである介護サービス計画を作成することが目的なのではなく、ケアにあたるチームが、対象者の理解を共有し、共通の理解に基づいててケアできることが重要となります。
センター方式では、
- 「いつでも」
- 「どこでも」
- 「その人らしく」
という、利用者本位のケアの実践を理念としています。
つまり、認知症の人の立場で理解を共有し、チームでケアするためのツールと理解することが出来ます。
そのため各シートには「私の」というキーワードが随所に出てきます。この「私」は、アセスメントの対象となる認知症の人を指します。
これは、認知症の人が、
- 「私の情報である」
と捉えられるように、認知症の人の立場を常に意識しながらアセスメントを行うという、センター方式の理念が反映されているのです。
3⃣センター方式共通の5つの視点
利用者本位のケアマネジメントを展開していくためには、センター方式だけを使えばいいというものではありません。
ケアマネジメントに携わる関係者が、認知症の人の立場に立とうとする「姿勢」を兼ね備えている必要があります。
その姿勢を支えているのが、センター方式の共有の5つの視点です。具体的には、
❶その人らしい在り方
❷その人の安心・快
❸暮らしの中での心身の力の発揮
❹その人にとっての安全・健やかさ
❺環境・関係・生活など、なじみの暮らしの継続
が位置付けられています。
センター方式では、単にシートを記入するのではなく、これらの視点をチームが意識しながらケアマネジメントを進めていく必要があるという前提に立っています。
次項からこの❶~❺を詳しくまとめていきます!!
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(1)その人らしい在り方
「その人らしい在り方」は、認知症の人それぞれのその人らしい在り方を探る視点です。
認知症という診断が下りると、
- 「介護が必要な人」
- 「庇護が必要な人」
という視点に無意識になることがあります。
そうすると、一見理屈に合わないような、でも実はその人らしい側面を、介護者の視点で修正したり、その人の決定が尊重されなかったりということが起こりがちです。
例えば、認知症の人が部屋の中でも常にカバンを持って離さないようなときに、介護福祉職側がカバンを預かった方がいいと考え、なだめたり、ごまかしたりしながら預かろうとすることがあります。
しかし、認知症ケアではその人がカバンを持っている理由や気持ちを理解する過程が重要になります。
そのカバンの中身やカバン自体が大切な物なのかもしれません。あるいは、何か手元にないと不安なのかもしれません。なぜ大事に持っているのか、その人を理解することが大切になります。
認知症で判断力が低下しているから行動を修正しないといけないと考えるのではなく、その人独自の、その人らしい在り方を捉えようとしているのか、その人なりの理由や特徴を探っているのかという視点が求められます。
(2)その人の安心・快
認知症になると、認知機能の低下によって安心して落ち着いて暮らすことが難しくなる場合があります。
時間の見当識障害があれば、今何時か、予定はどうなっているのかということが不安になり、落ち着いて過ごすのが難しくなるのかもしれません。
同様に、場所や人の見当がつかなければ、知っている場所に行ったり、人に会ったりするまでは落ち着かないでしょう。
認知症が進行すると、自宅にいても自宅と分からなくなる場合もあります。その人のなじみの場所だからいいということではなく、その人にとっての『安心・快』はどういったことかを探る視点が求められます。
(3)暮らしの中での心身の力の発揮
認知症があってもなくても、人は社会の中で力を発揮することが出来ることにより、自分を認め、満足することができます。
一方で、認知症というだけで、
- 「料理が出来ない」
- 「お金をおろすことが出来ない」
- 「ゴミ出しが出来ない」
など、出来ないことを指摘されがちです。
しかし、料理の全ての工程は出来なくても、野菜を刻むなどの手続き記憶は保たれていて、誰よりも早く刻めるといった場合もあります。
暮らしの中で存在を認められ、あるいは頼りにされて能力が発揮出来ているかを見る視点が大切です。
これは、単にリハビリテーションをして歩くことが出来るようになるというADLの維持・向上というだけでなく、暮らしの中で発揮されていることが重視されます。
(4)その人にとっての安全・健やかさ
認知症の人の安全・健やかさについても、介護者目線で展開されることによって、逆に本人を危険にすることもあります。
例えば、認知症の人が外に出て行方不明になるからと、玄関の鍵を閉めれば、窓から外に出ようとしてケガをしてしまうというケースもあります。
このような時、介護者は認知症の人の安全を願って外に出ないようにしている一方で、本人にとっては「自由に外に出られない危険なところに閉じ込められている」という誤った認識を与えているのかもしれません。
認知症の人の視点に立って安全や健やかさの見極めを行う視点を重視しようという立場です。
(5)環境・関係・生活など、なじみの暮らしの継続
なじみの暮らしの継続は、ケアマネジメントにおいて、なじみの暮らしを改めて捉え直す視点です。
これまでの4つの視点の基盤として、
- 「なじみの環境)場所・もの)」
- 「なじみの関係(なじんだ存在・関わり)」
- 「なじみの生活(暮らしのリズム、なじみの過ごし方、なじみの場面)」
が助けになる場面が多々あります。
自宅や地域には、認知症の人からは語られない、
- その人らしい在り方
- 安心・快、心身の力の発揮
- その人にとっての安全・健やかさ
それぞれを確保するための視点として意識したい点です。
自宅や地域には、認知症の人からは語られない、様々な資源が隠されていることもあります。その語られない部分を探ることは、認知症の人のことを知ることの大切な視点となります。
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