認知症の理解

【❷高齢者ケア・聞き書き】認知症の人への聞き書きは可能か? vol.402

2021-07-20

こんにちは。介護ラボのkanaです。今回は『聞き書き』について、前回と今回の2回に分けてまとめていきます。

開かれた聞き書きで大切にしたいこと

開かれた聞き書きのすすめ

1⃣忙しい介護現場では聞き書きは難しい?

前回の『【❶高齢者ケア・聞き書き】介護現場での聞き書きの意味とは?? vol.401』にも書きましたが、実際に聞き書きをしようと思っても、「聞き書きで高齢者の人生が理解できればその人との関係はより一層深まるだろうし、人として向き合うこともできるけど、時間に追われている介護現場では現実的に難しいし、文章にまとめる時間もない・・・」という消極的な感想を持つ人も多いかもしれません。

確かに聞き書きには時間と老職が必要ですし、ましてや文章にするのは、それに慣れていない人にはハードルが高く、ただでさえ時間のない介護現場では大きな負担になるかもしれません。

しかし、工夫次第で聞き書きは1人の介護福祉職に大きな負担をかけることなく、みんなで楽しみながら行うことが出来ます。その一例として、今日は開かれた聞き書きによるかるたづくりを書いていきます!

2⃣開かれた聞き書きによるカルタづくり

(1)食堂・デイルームなど皆の前で行う
食堂・デイルームなど皆の前で行う

介護現場での聞き書きは高齢者と介護福祉職との1対1で行われることが多いのですが(閉ざされた聞き書き)、開かれた聞き書きでは、食堂やデイルームなど、他の高齢者や職員がいるところで、1人に対して行います。

つまり、1人の高齢者の語りを、聞き手だけでなく他の利用者や職員たちにも共有してもらう、ということです。

(2)周りの高齢者や職員にも参加してもらう
周りの高齢者や職員にも参加してもらう

最初は、語り手である高齢者が恥ずかしがったり、周りで聞いている人達も戸惑ったりするかもしれません。でも、そのうちに、周りで聞いていた人たちが「私もそうだった」とか、「こういうときはどうだった?」など、自らの経験と重ね合わせて共感したり、興味を持ったりして、聞き書きに参加してくるようになるでしょう。

同世代の高齢者は同じような経験をしていることも多く、彼らが聞き書きに加わってくれることで、語り手が話しやすくなったり、語りの内容が深まったりします。

また、他の職員たちも加わって貰うことも大切です。例えばレクリエーションの一環として行えば、他の職員も参加しやすくなるかもしれません。

(3)読み札づくりも皆で一緒に行う
読み札づくりも皆で一緒に行う

ある程度聞き書きをしたら、最後にカルタの読み札にまとめていきます。レクリエーションとして行うのであれば、読み書き●●分、読み札づくり●●分など、時間配分を決めておくと進めやすいかもしれません。

字数は特に決める必要はありませんが、実際に読み札として作った時におさまる字数である必要はあります。読み札づくりにも、語り手である高齢者や他の利用者、職員たちに加わって貰います。

(4)他の高齢者や職員のカルタも作り、皆で遊ぶ

別の機会に、他の高齢者や職員のカルタも作ってみましょう。全員のカルタが出来上がったら、取り札も作って、皆でレクリエーションとしてカルタで遊んでみるとよいでしょう。

すると、カルタをすることで皆に改めて1人ひとりの思い出が共有されていきますし、そこから新たな語りが生まれてくることもあります。

3⃣開かれた聞き書きで大切にしたいこと

(1)皆を巻き込んで力を借りる
皆を巻き込んで力を借りる

開かれた聞き書きによるカルタづくりでは、他の高齢者や職員も巻き込んで皆の力を借りて行うので、1人の職員に大きな負担が掛かることはありません。

そればかりでなく、「1人の人のカルタをつくる」という、共通の目標に向かって皆で協力を重ねることで、高齢者と職員だけでなく、高齢者同士の関係も深まり、互いに助け合ったり、思いやったりするような雰囲気が出来上がっていきます。

(2)ルールは設けず予想外の展開を楽しむ
ルールは設けず予想外の展開を楽しむ

大人数が参加して聞き書きを行うと、当然横道にそれたり、話が戻ったりすることがあります。でも、そこから語りが豊かに展開していく事も多いので、「こうしてはいけない」「これは聞いてはいけない」という決まりは設けず、予想外の展開を皆で楽しみましょう。

もちろん、語り手が傷ついたり、悲しんだりするようなことは避けなければなりません。

認知症の人への聞き書きは可能か?

ここまで、認知症に特に触れてきませんでした。なぜなら、認知症であろうがなかろうが、聞き書きは出来るし、重要だと思っているからです。

確かに、認知症の人の中には、上手く語ることが出来なくなっている人もいます。しかし、認知症の進行にはプロセスがあります。

その人が語れる時に聞き書きをしておくことで、たとえ言葉を発することが出来なくなっても、その人を人として尊重し、大切な存在として向き合うことが出来ます。

また、認知症が進行し言葉が上手く出てこなくなった人でも、その人の語りの文脈や時間の流れに沿って聞いてみると、言わんとしていることが理解できてくるものです。

大切なことは、その人を理解したいという強い思いと、その人が語った言葉にいかに真剣に向き合うかということなのです。

高齢者

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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