こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「生活支援技術」の中から『入浴・清潔保持における多職種連携』について2回にわけて書いていきます。今日は1回目です。
医療ニーズを要する主な疾患
Contents
1.入浴・清潔保持における多職種連携の必要性
2.他職種の役割と介護福祉職との連携
1⃣医師
◉医療ニーズを要する主な疾患
2⃣看護師
3⃣作業療法士(OT)、理学療法士(PT)
4⃣社会福祉士・保健師
5⃣福祉住環境コーディネーター
6⃣福祉擁護専門相談員
2.まとめ
1.入浴・清潔保持における多職種連携の必要性
高齢化や病院の在院日数の短縮化により、在宅や施設において医療ニーズを有する利用者が増えています。また、在宅や施設での看取りを希望する利用者も増えてきています。様々な状態・状況に応じた入浴・清潔保持の手段が必要になり、医療職との連携の必要性が増しています。
高齢者はバランスを崩しやすく、皮膚の温度感覚も低下していることから、浴室には、
- 転倒事故
- 熱い湯での火傷
- 入浴中ののぼせ
など、様々な危険が潜んでおり、安全安楽な清潔の確保が必要になります。
利用者に高血圧、心疾患、肺疾患、褥瘡、皮膚トラブルなどの疾患やケガ、運動機能の低下などがある場合は、日常生活上の諸注意とともに、入浴についての指示を医療職から受けておく必要があります。
浴室には濡れた床、湯があり、湿度も高い環境です。
裸でいるため、「温熱作用」「静水圧作用」「ヒートショック」など、体に及ぼす影響が大きくなります。
- 静水圧作用とは?
-
静止している水中の身体にかかる水の圧力のことをいう。血液循環が促進され、下肢の血液が心臓に戻りやすくなり、心肺機能が促進される。
他にも発熱、倦怠感など平常と異なる状況が発生した時には医療職への報告、相談が必要です。事前の指示のほか、状況の変化が起きた時の連絡方法、連絡が取れなかった時の対応方法などについても普段から相談しておくことが大切です。
また、高齢者の独居や高齢者世帯での「セルフネグレクト」(自己放任)の問題に対応するために、地域包括支援センターや行政、他職種、地域との協働が欠かせません。
清潔な環境、身体の清潔、社会生活の回復のための支援が必要です。
2.他職種の役割と介護福祉職との連携
1⃣医師
利用者は、主治医(慢性疾患で継続的に治療を受けている場合)や、一時的な病気で治療を担当する医師、緊急搬送されたときの医師など、生活場面で複数の医師に診てもらう機会が多くなります。
受診には、「介護福祉職」「看護職」「生活相談員や支援相談員」「事務所管理者」が同行することが多く、同行者は医師に利用者の病状のほかに、日頃の生活面での情報を提供し、
- 病気やケガ
- 透析や在宅酸素療法
- 胃ろう
- 膀胱留置カテーテル褥瘡
- 人工肛門
- 服薬
など、医療ニーズを有しながらも日常生活が円滑に営まれるように具体的な生活上の注意を確認しておきます。
入浴で得られる温熱効果・静水圧効果は、プラスにもマイナスにも働きます。マイナスの影響を最小にする必要があるため、例えば心肺の疾患や高血圧などの病気がある場合は、入浴や清潔にする方法について具体的に相談して指示を受けておきます。
上記の相談や指示は、ケアプラン(居宅サービス計画、施設サービス計画)に反映されるので、ケアマネジャー(介護支援専門員)も医師との連携が必要です。
- ◉医療ニーズを要する主な疾患
- 脳血管疾患、心疾患、治療を要する高血圧、その他の循環器疾患、糖尿病、悪性新生物(がん)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性肺疾患以外の肺疾患、大腿骨頸部骨折、大腿骨頸部骨折以外の骨折、認知症、認知症以外の精神疾患、神経難病、など
2⃣看護師
看護職は医療と介護を繋ぐ役割を担います。
- 胃ろう
- 膀胱留置カテーテル
- 褥瘡
- 人工肛門
- 白癬
- 糖尿病性神経障害
- 皮膚疾患
- 創傷
- 酸素療法
など、医療ニーズの高い利用者が施設、在宅で生活しています。
看護職は医療の専門職の視点で、利用者が安全・安楽に入浴や清潔保持が出来るように、必要時は介護福祉職と一緒に入浴や清潔の介助を行います。
入浴・清潔の場の環境と利用者の個別の状態を把握し、安全で安楽な入浴・清潔の適切な方法について介護福祉職や家族の相談に乗り、助言や必要な医療的処置を行います。
3⃣作業療法士(OT)、理学療法士(PT)
入浴や清潔の行為には、運動機能や認知機能など多くの機能や動作を必要とします。
- 寝返り
- 起き上がり
- 立ち上がり
- 姿勢の保持
- 移動
- 着脱動作
- 洗身・洗髪の動作
などについて、また認知機能の低下が危険に繋がらないように、場面を見て能力評価をしてもらいます。
運動や動作についての指導や、適切な補助具の使用についてのアドバイスなど、より安全・安楽に入浴が行えるように連携します。
4⃣社会福祉士・保健師
近年は「セルフネグレクト」状態にある人への支援が必要とされています。
- 何日も入浴せず異臭がする
- 皮膚が汚れている
- 極端に汚れた衣類を着用している
- 失禁があっても放置している
など、日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、そのまま放置され、本人の健康や社会生活が脅かされています。
近所からの通報や、離れて暮らしている家族など、周りからの相談が地域包括支援センターや居宅介護支援事務所に寄せられます。
サービスに繋げるために、地域包括支援センターの依頼で居宅介護支援事業所が緊急介入することや、行政の保健師や地域包括支援センターから直接、小規模多機能型居宅介護事業祖に相談があり、介護福祉職がかかわるケースも多くあります。
解決に時間を要することもあるので、連携して解決を目指します。
5⃣福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、医療・福祉・建築について、各種の専門家と連携を取りながら、高齢者に適切な住宅改修、バリアフリーなどの居住空間の改善のほか介護用品や生活用品などについて提案します。
例えば、
- 浴室のドアを内開きから外開きに改修
- 浴室に入る段差の解消
- 浴室への手すりの設置
など、家族やケアマネージャー(介護支援専門員)、ホームヘルパー(訪問介護員)などと連携を取りながら、介護保険の住宅改修を申請し、自立支援に向けた安全な環境作りの相談に乗ります。
6⃣福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、福祉用具の貸与や購入について助言や福祉用具の選定を行います。
安全に入浴するために、「滑り止めマット」「簡易手すり」「シャワーキャリー」などの福祉用具の選定や、入浴用の「シャワーチェアー」の購入について、家族、ケアマネージャー(介護支援専門員)の相談に乗り、利用者の状態に合った適切な用具を決めます(介護福祉士も福祉用具に関する知識を有した国家資格ですので業務に従事できます)。
2.まとめ
入浴が出来ていない人の場合、食事や部屋の掃除、身支度もできていないことが多く、生活全般に支援が必要です。
介入する際にはまず、入浴出来ない理由が、
- 環境によるものなのか
- 認知症など病気によるものなのか
その原因を探り、本人が1番受け入れやすい方法からアプローチします。
例えば体調管理のために訪問看護を利用してもらい、そこで入浴の声掛けをしてもらったりします。浴室がゴミだらけになっている場合は、自宅での入浴が難しいので、通所型サービスを利用して入浴に繋げます。
実際に何年もお風呂に入っていなかった人でも、小規模多機能型居宅介護を利用して、毎日の訪問を繰り返し入浴に繋がった例もありますので、多職種(他職種)と連携して入浴行為を支えることが大切です。
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